不倫夫たちの「クリスマス」悲話 地元から離れて密会したら…思わぬ形で妻にバレた

不倫夫たちの「クリスマス」悲話 地元から離れて密会したら…思わぬ形で妻にバレた

人はなぜ「聖なる夜」に浮かれるのか??。

 クリスマス時期、イルミネーションの輝きとともに不倫中のカップルの情熱も一気に上がる。今回は「クリスマス時期に必死に不倫中の女性に会おうと画策した結果、あるいは会った結果、脇が甘くて妻にバレた」ケースを紹介してみたい。【亀山早苗/フリーライター】


■クリスマスに東京から脱出をした悟さん(43)のケース


 まずは5年前の2016年、当時つきあって半年たった美奈子さんとクリスマス時期を迎えた悟さん(43歳・仮名=以下同)のケース。

「僕が38歳、彼女は独身で25歳でした。SNSの音楽関係のグループで趣味が一致して会うようになったんです。つきあって半年、彼女が『クリスマスは悟さんと一緒に過ごせないね。さびしい』と涙ぐんだので、彼女を寂しがらせるわけにはいかないと思った」

 彼にはそのころ8歳と5歳の子がいた。クリスマスを楽しみにしている年ごろの子どもたち、毎年、玄人はだしのケーキを作って待っている妻の顔が浮かびながらも、彼は美奈子さんの涙を見過ごせなかった。それほど好きになってもらっていることがうれしかったのだ。

 16年は、12月23日の金曜日が天皇誕生日で、イブとクリスマス当日はそれぞれ土曜・日曜日だった。世間にとってはありがたいクリスマス休暇だが、不倫カップルには厳しい3連休だった。

「こうなったら1日は出社ということにするしかない。さすがに彼女と会ってから家族でクリスマスというのも心苦しい。だから彼女には25日に会おうと言いました。24日はイブだから、クリスマス当日に、と。彼女は『会えないと思っていたのに、会えるのね』と今度はうれしがって涙ぐんだ。心が満たされるのを感じました」

 妻には「23,24の両日でめいっぱい子どもたちと楽しもう。25日はどうしても出社しなければならなくなったから。ごめんね」と早めに告げた。

「結婚して9年、初めての婚外恋愛だから、こっちもどうしたらいいかわからずドキドキものでした。でも美奈子には本気ではまっていたので、その時期に会わないなんて非情なこともできなかった。というか、僕自身が耐えられなかったんです」


■「東京から出よう」にOKしたら…


 美奈子さんは25日に東京から出ようと打診してきた。朝から、どこか海へ行かないかというのだ。その提案に悟さんの気持ちも動いた。都内のレストランなどに行ったら、どこに人目があるかわからないからだ。

「じゃあ、神奈川方面にドライブに行って、海辺を散歩したりして、素敵なレストランで食事をしようということになりまして……」

 23、24日の両日は家にいて、家事をこなし、妻や子どもたちとめいっぱい楽しんだ。妻にはほしがっていたピアスをプレゼントした。決して高いものではない。

「うちの妻は高い物はほしがらないんです。ネットで見つけた数千円のピアスです。それでも『あなたに買ってほしいの』と。よくできた人なんですよ」

 それなのに不倫をしていたのだから、なんとも言いようがないのだが。

 そして美奈子さんとのデート当日。彼は出社時刻に家を出てレンタカーを借り、彼女を迎えに行った。彼女の部屋でスーツからカジュアルな服に着替え、ドライブとしゃれこんだ。

「車の中ではふたりの好きな音楽をガンガンにかけたりしゃべったり。今思えばですが、僕は家庭をもって落ち着き払っている自分が少し嫌になっていたのかもしれない。彼女と一緒だと自分も20代の気持ちに戻れるのが楽しかったんでしょうね」

 海辺を散歩し、海の見えるレストランで食事をした。彼女には数万円のピアスを贈った。妻へのプレゼントの7倍くらいの値段である。彼女は期待以上に喜んでくれた。何もかも完璧な気がしていたのだが、意外だったのは帰り道に渋滞にはまったことだ。

「3連休の最終日の夜早めの時間です。そりゃ混みますよね。ふだん運転しないのでうっかり忘れていたんです。しかも高速で何かあったらしく、下にも降りられず。彼女は『一緒にいられる時間が長くなってうれしい』と言ってくれたけど、“出社しただけ”の僕としてはあまりに深夜に帰宅するわけにはいかない。だんだん口数が少なくなりました」

 高速道路上で夜9時になったとき、彼の携帯が鳴った。もちろん妻からだ。何かあったのではないかと心配しているはず。だが彼女の手前、出るわけにもいかない。

「こうなったらしかたがないと腹をくくって、少し進んだときにサービスエリアに寄って休憩しました。1時間くらいしたらかなりすいてきたので、あとはスイスイと」


■「テレビに映ってたよ」


 彼女の部屋に寄って着替えようとしたが、もちろん着替えだけですむはずもなく、しっぽりした時間を過ごし、ようやく帰宅したのが午前零時を回っていた。

「自宅前で、そういえばと携帯を見たら、妻からのメッセージが入っていました。『○○のサービスエリアでテレビに映ってたよ。出社だったのにおかしいね』と。心臓が口から飛び出しそうでした。テレビが取材に来ていたなんて気づかなかった。彼女と一緒にいるところが映っていたんだろうか……。家の前で引き返し、駅前で一杯ひっかけました。自宅に戻ったのは午前1時ごろ。さすがに妻も寝入っている時間だから、そうっと玄関をあけて入って行ったら、薄暗いリビングから『お帰り』という声が……」

 そこには妻が仁王立ちになっていた。そして「お疲れ様」と言いながら彼の横をすり抜けて寝室へと歩いていった。

「その晩はリビングで寝ました。朝いちで会議が入っていたので、起きてすぐシャワーを浴びてごはんも食べずに出かけました。妻は『行ってらっしゃーい』と見送ってくれたけど、僕は妻の顔を見られなかった」

 その夜、寝室で妻が言った。「さあ、説明してもらおうか」と。その言い方がおかしくて私は吹き出しそうになったが、彼はもちろん真顔である。

「ただひたすら、すみませんでしたと言うしかなかった。何もしていません、ただ彼女がドライブしたいというからしました、と。『で? 離婚したいの?』と妻に言われて『とんでもないです』と言いました。うちの妻はめったに怒らない。しかも、あんなに上から言われるとは思ってもいなかったのでビビりまくって、僕はずっと敬語でした(笑)」

 それだけ妻の怒りは大きかったのだ。それを理解した悟さんは、美奈子さんに謝り倒して「これからは友だちとして会いたい」と告げた。美奈子さんは「友だちになんてなれない、なりたくない」と去ったという。

「あれからも毎年、妻は『今年のクリスマス、どうする?』と言うんです。そのたびに僕はぎくりとし、妻はにやりと笑う。心臓によくない季節が今年もやってきたなと思います」

 13歳と10歳になったふたりの子たちは、今年も自宅でのクリスマスを楽しみにしているようだ。


■東京での逢瀬を楽しもうとした啓吾さん(48)だったが…


 ある地方都市に住んでいる啓吾さん(48)は、「3年前のクリスマスに悲惨なできごとがありました」と話してくれた。

 啓吾さんは、結婚して17年。16歳になるひとり娘がいる。高校時代の同級生である咲紀子さんとはここ5年ほど深い関係にある。咲紀子さんはすでに結婚25年、25歳と23歳の子がいて、すでにふたりとも家を出ている。

「ちょうど僕とつきあい始めた翌年くらいに、下の子が家を出て夫婦ふたりきりになったと言っていました。夫は出張も多いし、時間の自由がきくと。3年前のクリスマスも、彼女のほうから一緒に過ごしたいと言ってきたんですよ」

 3年前、2018年の12月は22日が土曜日、23日は天皇誕生日で、24日の月曜日は振替休日だった。クリスマス当日の25日は平日だ。

 啓吾さんは親から受け継いだ小さな会社を経営しており、土日が休日ではなかったので、25日に会おうと咲紀子さんに提案した。

「ところが彼女は24日にこだわっている。まあ、うちも娘が当時中学生でしたけど、もともと休日に必ずしも僕が家にいるわけでもないし、特にクリスマスに何かするような家庭でもなかったから、出かけられると思ったんです。僕の両親も同居していますから、僕ひとりいなくてもどうってこともないだろうと」

 ただ、啓吾さんは地元では多少、顔が知られていた。経営者ということもあって商店街とのつながりもあるし、中小企業の知り合いも多い。

「咲紀子とつきあうようになってからは、お互いの車で隣の市までそれぞれ出かけていって落ち合うことが多かったんです。今回もそうしようかと言ったら、彼女が『東京で会えばいいわよ』って大胆なことを言い出した。彼女のシナリオでは、『あなたは東京の大学に行ったのだから、学生時代の友人が勤務先の外国から一時帰国していて、クリスマスイブじゃないと会えないということにする。私は夫にはなんとでも言い訳がつくから大丈夫』って。たいしたものだなあと思いながら、彼女の案に賛成したんですよ」


■学生時代の憧れだった咲紀子さん


 24日、啓吾さんは奮発して都内の夜景の見えるホテルを予約した。行きは別々の新幹線に乗り、東京タワーで落ち合うことにした。

「それまでもちょこっと浮気くらいはしたことがあったけど、本気の恋は初めてだったんです。僕は高校時代、咲紀子に片思いをしていた。3回告白して3回フラれて、それでも家が近いから、たまに道で会えば立ち話くらいはしていました。だけどあるとき、行きつけの近所の居酒屋に行ったら彼女がひとりで来ていたんです。今後、子どもたちも家を出ていくだろうし、夫は出張ばかりだし、帰ってきても話が合うわけじゃないし、寂しくてたまらないと悪酔いしていたんですよ。店も困っていたので、同級生だから送っていくわと送っていったんです。実はそのまま送り狼になってしまった(笑)」

 彼としては長年の思いが叶った瞬間でもあった。それきりにしておこうと思ったが、彼女から「昨日はごめん」と連絡がきて、また会ってしまい、お互いの意志を確認したのだという。

「彼女には放っておけないところがあるんですよ。しっかりしているようで実は脆い。そこは高校時代から変わってない。だからついつい気になって深みにはまるというか」

 新幹線の中で、彼はそうやって彼女との思い出に浸りながら東京へと向かった。そして東京タワーの展望台で彼女に会えたとき、新鮮な恋心がよみがえってきたという。

「ここまで来れば知り合いもいない。そう思って彼女とべったり寄り添いながら東京の夜景に酔っていました」


■クリスマスディナーが一転、“最後の晩餐”に…


 ところが下へ降りようとエレベーターの前へ行ったとき、「あ」という大きな声が聞こえた。

「おじさん、とつかつか寄ってきたのは、妻の従兄弟でした。そうだ、彼は大学生で東京にいるんだった、と気づいたけどもう遅い。彼女はすっといなくなりましたが、従兄弟は『どうしたの、おじさん。出張?』と。う、うん、まあねと言うしかなかった。ここで口止めするべきかどうか迷ったんですが、言い出せなかった。『誰かいたよね』と言われて、ちょっと仕事先の人がとモゴモゴ言っていると、従兄弟はじゃあまた、と。後ろで彼女らしき女の子がお辞儀をしてくれましたが、僕としてはもうどうしたらいいかわからなかった」

 いつしか隣に戻ってきた咲紀子さんに、「大丈夫?」と声をかけられてようやく我に返ったという。事情を説明すると、「どうする? 帰る?」と言われたが、今さら自宅に帰るわけにもいかない。バレたらそれまでと思うしかなかった。

「ヤケですよ。その日は咲紀子とホテルのレストランで思う存分、おいしいものを食べ、夜はにぎわっている町でいいバーを見つけて、ふだん飲まないような高い酒も飲みました。最後の晩餐みたいな気分でしたね。夜はずっと咲紀子とふたりでイチャイチャし続けました」

 苦い笑みを浮かべながら啓吾さんは振り返った。

 帰りの新幹線も別々のはずだったが、啓吾さんは「もういいよ、一緒に帰ろう」と言った。隣同士に座り、お弁当を半分こにして食べ、周囲に迷惑にならない程度の声でしゃべり続けた。

「駅に着いて、さすがにそこから地元までは一緒だとまずいので握手して別れました。もしかしたらもう会えないかもしれないとふたりとも思っていた。彼女の手がひどく冷たかったのを覚えています」

 自宅に戻ると、ちょうど夕飯をとっているところだった。「あなたも食べる?」と妻がごく普通の表情で聞いてきたが、彼は「いや、駅弁食べてきた」と冷静を装って答えた。

「そうだ、東京へ行くことは妻にも伝えてある。従兄弟が東京タワーで会ったと言っても、久々に東京へ行ったから上ってみたと言えばいいんだと気づいたんです。必要以上にビビることはないんだと自分にカツを入れました」

 従兄弟が咲紀子さんを認めていたかどうか、怪しい雰囲気を悟っていたかどうかが問題だが、相手は大学生だ。気づいていないほうに賭けようと決めた。

「それでも正直言うと、3日くらいは食べるものの味がしないくらい緊張していましたね。隠れてこそこそすると、こういうことになるんだよなと反省もしました。だけど1週間もすると、どうやらバレてないとわかったため、咲紀子に会いたくなりました」

 懲りない男である。


■ますます、懲りない男


 1ヶ月ほどたったころ、妻が「東京で会ったんだって?」と従兄弟の話を突然切り出し、啓吾さんは体がこわばった。

「仕事で来ているって言ってたらしいじゃないと妻に言われて、『それは誤解だよ。周りも混んでいたからろくに話もできなくてさ』と平然と答えた……つもりでした。すると妻は、『そうなんだ。あなたが女性と一緒だったって姉さんに言ってたみたい』と。それも混んでいたからそう見えたんじゃないかと言っておきました」

 妻がもう少し執念深かったり嫉妬心が強かったりすれば、もっと探られただろう。従兄弟に直接尋問し、女性の存在を確かなものにしたかもしれない。ここはあっさりした妻の性格に救われたようなものだ。

 ただ、疑われたのは事実だ。この先、何かあったらその疑いは濃くなる。その後、啓吾さんは、咲紀子さんと会うときに以前にも増して細心の注意を払うようになった。

「実は今年もまた、東京へ行くんです。今回は土日で。東京で会うのはあれ以来。今回は都内はやめて近郊でロマンティックな夜を過ごします」

 啓吾さんはうれしそうにニヤけた。ますます、懲りない男である。家庭の平穏のためにはバレないようにと祈るしかない。

亀山早苗(かめやま・さなえ)
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。

デイリー新潮編集部

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