「正月を不倫相手と過ごしたい」夫たち 密会に成功も、自宅に帰って妻にバレた“致命的なミス”

「正月を不倫相手と過ごしたい」夫たち 密会に成功も、自宅に帰って妻にバレた“致命的なミス”

年内最後に会った人でありたい、年始最初に会った人でありたい??

 浮かれ気分で密会してしまうクリスマスと並び、不倫をしている人にとってはお正月も注意が必要な時期だ。年末年始は「せっかく会社も休みだから会いたい」と気持ちが高まりがち。お互いに年内最後に会った人でありたい、年始最初に会った人でありたい、あるいは年をまたいで会いたいと思うのだろうか。この、年末年始を特別視する日本人の体質は不倫と相容れないのかもしれない【亀山早苗/フリーライター】


■家族を妻の実家に預け、不倫相手と年越ししたら…宏一さん(39)のケース


「いつもと違うことはするものじゃないと学びました」

 しょげたようにそう言うのは、高梨宏一さん(39歳・仮名=以下同)だ。結婚して10年、8歳と5歳の子がいるのだが、「恋は別腹」が口癖の彼は、結婚後もときおり恋愛をしているという。

「情に溺れない、2年を限度に別れる。これを守ればそう簡単にはバレないはず」

 宏一さんはそう言うが、これまで冷や汗をかいたことは多々ある。

「3年前のお正月です。当時、7歳年上の多恵子さんという女性と仕事関係で知り合ってつきあっていたんですが、この彼女が本当に素敵な人で、久々にちょっと深入りしてしまった。お互いに家庭があるからお正月だけは会えないねと言っていたのに、年末が近づいてくるとやはりどうしても会いたい思いが募ってきました」

 正月は例年の行事があるわけではないが、だいたい毎年、家族で過ごすことが多かった。だがこのとき宏一さんは「長いこと帰ってないし、子どもたちを連れて君の実家に行こう。車を出すから」と妻を誘った。妻は大喜びで感謝してくれたという。ところが宏一さんには“野望”があった。“地方にある妻の実家に家族を送り届けたところで仕事の電話が入り、急遽戻らなければいけなくなった“というシナリオを作っていたのだ。もちろんひとりで帰京したら、多恵子さんに会うつもりだった。

「多恵子さんは、そううまくいくかなあと半信半疑だったんですが、とにかく彼女にも嘘をついて外に出てきてほしいと伝えておきました。そしてふたりで除夜の鐘を聞くという計画を立てたんです」


■ちょっとした電話のトラブル


 30日に、家族と一緒に車で2時間ほどの妻の実家へ行き、31日の夕方、多恵子さんから電話をしてもらう。そしてそれが仕事の緊急電話だと偽って車でひとり帰京し、多恵子さんと新年を迎える。妻帯者がこれほど大胆な計画を立てるのは珍しいが、つきあって半年、いちばん恋が盛り上がっていた時期だった。どんな手段を使っても、元旦をともに迎えたいと願っていたという。

「もろもろうまくいったんです。ところがひとつだけ甘く見ていたことがあった。それは多恵子さんとの待ち合わせ場所。彼女の家の最寄り駅などで待ち合わせるわけにはいかない。だから彼女の自宅のある都内の区へ入ったら連絡し、その時に落ち合う場所を決めようということになっていました。ところが路肩に車を止めて連絡しようとしたら、なぜかスマホが動かない。どうしてこんなときに焦りましたね。強制起動しようとしたけどダメで……。彼女に電話しようとしたけど、電話番号はスマホの中。いや、待て。どこかに彼女の名刺があったかもしれない。そこには携帯の番号もあったはず……と思い、家に戻って鞄から名刺入れを取り出し、自宅の電話から彼女に連絡をとりました。『メッセージが来ると思ってたのに電話だなんてびっくりした』と言われ、とにかく会おうよと、やっと場所を決めました。彼女もそれから嘘をついて家を出てくるのは大変だったみたいですが、とにかく会えたときはお互いに手を取り合って泣き出しそうになりましたね」

 元旦は東京を離れた場所でご来光を拝んだ。それから昼過ぎまで、ふたりはゆっくりと逢瀬を楽しんだという。

「彼女は『離婚した親友が、大晦日の夜は寂しくて死にたいと言うから行ってくる』と家族に告げたそうです。高校生の娘さんは友だちと初詣に出かけ、その後、友だちの家に行くからかまわないと。夫のほうが問題だったようですが、振り切って出てきちゃったと言ってました。本当はもっと一緒にいたかったけど、彼女の家族のこともあるので、何度も何度も抱き合いながら別れたんです」


■実家にいるはずの妻が、なぜ…


 その後、本来なら家族の待つ妻の実家へと行くはずだったのだが、なんとなく行く気を失った宏一さんは、ひとりでドライブをしながら時間をかけて自宅へ戻った。妻子は3日に迎えに行ってもいいなと思いながら玄関を開けると、妻が仁王立ちになっていたので、思わず後ずさりするほど驚いたという。

「ど、どうしたのと言うと、妻が『多恵子っていうんだ』と一言吐き捨てて背を向けました。どうしてわかったんだろう、何があったんだろう。ここは下手に何も言わないほうがいい、妻の出方を見ようと思いました。妻を追ってリビングに行くと、彼女はソファにどっかと座ってる。『どうしてわかったのって聞かないの?』と先回りされました。黙っていると、『家の電話のリダイヤルよ』と。あのときばかりは、あっ、しまったと思いましたね」

 固定電話をお持ちでない方のために補足をしておくと、リダイヤルとは直前に電話をかけた相手に、もう一度電話をかける機能のこと。自宅の電話を使って待ち合わせ場所を決めたことがアダとなった。思わず「あっ」と声が出てしまった宏一さんに、妻は「悪いことはできないわね」と言い、「しばらく戻らないから」と出て行った。

「翌日、多恵子さんから連絡があって、元旦に妻から電話があった、と。『高梨の妻ですけど、あ、今のところ妻という意味ですが、あなたは誰?』と言われたそうです。妻としても、僕の不貞を薄々感づいていたのでしょう。今のところということは妻には離婚する意志があるということなのか、とちょっと恐怖を覚えました。そしてこういう場合は、やはり迎えに行くしかないんだろうなと3が日が過ぎたころ、迎えに行ったんですが、妻は帰らないと言う。当時5歳だった長男が、『うちに帰りたい』とぐずったので、やっと帰る気になったようです」

 そこからもしばらくはギクシャクした。宏一さんも多恵子さんも、あれほど盛り上がっていたのに会う気がなくなってしまったそうだ。

「バレたら離婚する選択肢があるならともかく、僕たちの場合はその選択肢はなかった。そういうケースではもう謝るしかありませんよね。謝り倒して許してもらう。僕もそうやって、なんとか口をきいてもらえるようにはなりました」

 ただ、妻は最後まで怒りをぶつけてこなかった。もっと怒ってくれればいいのに、と彼が言ったら、「あなたはそのほうが気が楽なんでしょ」と冷たく言われた。妻の怒りの深さがわかろうというものだ。


■いっそ海外へ――18歳年下の相手と高飛び不倫 隆治さん(48)のケース


 年末年始、どこへ行っても人出は多いし、いっそ海外へ行ってしまえば誰にも会わないはず。そんなふうに思って不倫相手と海外へと高飛びした男性がいる。小さいながら会社を経営する秋山隆治さん(48歳)だ。

「4年前のことですけど、当時、18歳年下で26歳の真智子と友だち以上恋人未満みたいなつきあいをしていたんです。若い女性が好きなわけではないですよ。彼女は帰国子女で4カ国語をしゃべり、なおかつ大学を主席で卒業した才女。本当は仕事を手伝ってほしかったのですが、それより先に惚れてしまった。彼女は引く手あまたで、外資系企業に採用されました。僕は本気で彼女のことが好きだったから、年末年始に海外に仕事も絡めて視察旅行をしたいのだけど、一緒に行かないかと誘ったんです。もちろん費用は全部、僕がもつから通訳代わりにお願いできないかと」

 才女の真智子さんは引き受けてくれた。隆治さんは見栄を張ってシングルの部屋をふたつ予約。自分が惚れていることを彼女に悟られてはいけないと感じていたという。行き先はフランスとイタリアだ。

「お金を出すから部屋は一緒でいいだろうというようなせこい人間じゃない、と彼女に思ってほしかった。彼女は現地で初めて別の部屋だと知ったんです」

 フランスでは、別々の部屋のまま3日間を過ごした。朝から晩まで一緒にいて、隆治さんはますます彼女に引き寄せられていった。才覚があるのはもちろんだが、誰にでも愛想がよく、親切なのだ。彼が行きたいところは、彼女が交通手段を調べて連れていってくれた。

「彼女はスペイン語と英語に堪能なんです。フランス語は片言だと言っていましたが、それでもかなり通じていた。『ずっと一緒にいて不自由だなと思ったら、別行動の時間をとってもいいよ』と言ったら、『私は秋山さんと一緒にいるのが楽しい』なんて言ってくれて」

 その後、イタリアに移動。ミラノからフィレンツェに入り、数日間を過ごす予定だったのだが、フィレンツェに着くなり、真智子さんが「ここでも別の部屋なんですか」と言い出した。予約ではそうなっていると彼が言うと、「寂しい」とつぶやく。

「これはと思い、チェックインのときにフロントにツインかダブルの部屋がないかと聞くとあるという。そちらに移りました。まさかそんな展開になるとは思っていなかったので、天にも昇る心地でした」

 その晩はおいしい料理のあと、さらに今まで「ありえない」と思っていた時間を過ごした。隆治さんは、ますます「彼女の虜になった」そうだ。


■朝靄の中から現れたのは…


 安心したのか、ふたりとも深い眠りにつき、朝早く同時に目を覚ました。

「早朝のフィレンツェの町を散歩したいと彼女が言うので、ふたりで外へ出ました。寒かったからぴったりくっついてね」

 かの有名なヴェッキオ橋のあたりも、深くもやっていてまだ人はほとんどいない。ふたりはどっぷりとロマンティックな気分に浸っていた。

「途中でキスをしたりしながら歩いて行くと、向こうからふたりの女性がやってきた。それでも僕らは気にせず手をつないで歩いていったんです。ところが近づいてきた女性の顔を見てひっくり返りそうになりました。妻だったんです」

 聞いているこちらが吹き出してしまうような告白だ。そんなことがあり得るのか。

「それは僕のセリフですよ。驚いたなんてものではなかった。しかも妻、『あら、こんなところで会うなんて』と立ち止まるんですよ。真智子も立ち止まってしまったけど、僕は真智子を引きずるようにして歩きました。妻は妹と一緒でした」

 隆治さんは35歳で結婚した。子どもはいない。妻は仕事が趣味のような女性で、バリバリのキャリアウーマンだ。年末年始は、それぞれの実家に帰るのが常だったが、その年は隆治さんが仕事がらみの視察旅行に行くとだけ告げていた。

「どこへ行くとは言ってないんですよ。何かあったら携帯に連絡してとは言っておいたけど。うちはそういう距離感の夫婦だった。僕がいない間、妻がどうするかも尋ねなかった。まさか妻もフィレンツェに来ているなんて思いもよりませんでした。そもそも妻は、あまり海外旅行とかするタイプじゃないし」

 だからこそ驚いたのだ。

 さっさと歩き出した隆治さんのもとへ、妻の妹が追いかけてきた。

「ちょっとお義兄さん、これ、どういうことなのと義妹が大声で叫んで。『とりあえず、ここは……』と言ったけど義妹は真智子に、『あなた、誰なの? 私はこの人の奥さんの妹』と言ってしまった。真智子はショックを受けていました」


■そしてすべて失った


 振り切ってホテルに戻ったが、真智子さんは何も言わない。隆治さんは苦笑いするしかなかった。

「こんなことになるとは思わなかった。嫌な思いをさせて申し訳ないと言うしかありませんでした。真智子は、『私、帰りましょうか』とせつないことを言うんですよ。いや、僕が愛しているのは君だと、流れで言ってしまった。すると真智子の目がキラッと光ったんです。『あなたを奪い取りたい』と抱きついてきました。そうか、そういう選択肢もあるんだと初めて思いましたね。子どもがいないし、妻はバリキャリだし、離婚することもできるんだと。きみが本気なら僕は離婚するよと言いました」

 真智子さんは泣いて喜んだ。それからの数日間はフィレンツェで、さらに情熱的な時間を過ごしたという。年越しも一緒にした。

「ところが帰国して自宅に戻ると、すでに帰っていた妻が『私は別れないから』と。自宅もきみのものにしていいし、オレは何もいらないからと言うと、『何を言われても別れない』と」

 さらに急転直下、真智子さんに連絡をとろうとすると電話番号が変えられていた。

「何が起こったのかわかりませんでした。会社に電話をすると彼女は、『ごめんなさい、私、どうかしていた』と別れを告げられました。意気消沈して自宅に戻ると、妻が『離婚するわ』と離婚届を突きつけてきた。もしかすると、真智子から妻に別れますと報告があったのかもしれません。だったら自分も別れようと妻は思ったんじゃないか……」

 結局、彼は妻も真智子さんも失った。あのとき、家のパソコンから旅行の予約をしなければバレなかったはずなのにと、どんなに悔やんでも悔やみきれなかった。

 ただ、あの時点では彼自身、真智子さんと恋人同士になれるかどうかはわかっていなかった。だから「不倫旅行」にならずに帰国する可能性もあったわけだ。もちろん、妻から見れば関係の有無にかかわらず、海外にふたりで行った時点で「アウト」なのかもしれないが。

「4年たった今、あの一件は何だったのかと考えることはありますね。妻とはいい夫婦だったと思うんですよ。お互いに仕事を最優先させていたけど、時間が合えばよく一緒に食事にも行ったし朝まで話すこともあった。でも妻にとっては、僕はあの程度のことで失ってもいい相手だったんでしょう」

“あの程度”のことだったかどうかは妻に聞かなければわからない。信じていたからこそ、手ひどい裏切りだと思ったかもしれない。

 今も正月になると、あのフィレンツェの墨絵のような朝靄と妻の泣きそうな顔を思い出すと隆治さんはせつなそうに言った。

亀山早苗(かめやま・さなえ)
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。

デイリー新潮編集部

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