国民は悠仁さまではなく「愛子天皇」誕生に前のめりに…専門家は「内閣も国会も怠惰の謗りを免れない」と指摘

愛子さま即位の是非巡り議論盛んに 国民の秋篠宮家に対する不信感などが追い風にも

記事まとめ

  • 愛子さまが即位されることの是非を巡り、ネット上での議論が盛んになっている
  • 「安定的な皇位継承のあり方を議論する政府の有識者会議」に動きがあったことが理由か
  • 国民が小室眞子さんの結婚から秋篠宮家に不信感を抱き、愛子さま即位の追い風に

国民は悠仁さまではなく「愛子天皇」誕生に前のめりに…専門家は「内閣も国会も怠惰の謗りを免れない」と指摘

国民は悠仁さまではなく「愛子天皇」誕生に前のめりに…専門家は「内閣も国会も怠惰の謗りを免れない」と指摘

国民から愛される愛子さま

 天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(20)が即位されることの是非を巡って、ネット上での議論が盛んになっている。担当記者は「議論のきっかけは、次の2つの背景があると考えられます」と言う。

「第1点は、愛子さまが12月1日に誕生日を迎えられ、成人となられたことが挙げられるでしょう。愛子さまは決意などを文書で発表されましたが、『素晴らしい内容』と絶賛の嵐でした」

 2点目は、「安定的な皇位継承のあり方を議論する政府の有識者会議」(座長=清家篤・元慶応義塾長)に動きがあったからだ。

「12月6日、政府は有識者会議による最終報告書の骨子案を了承しました。女性皇族が結婚後も皇族にとどまること、旧皇族の男系男子が養子として皇族復帰すること、この2案を軸とする報告書を取りまとめることになったのです。22日に提出された報告書も同じ内容でした。有識者会議の議論では愛子さまが即位されることが考慮されておらず、そのため特にネットでは、『愛子天皇待望論』が言及されたのだと思います」(同・記者)

 更に秋篠宮家の長女である小室眞子さん(30)と圭さん(30)の結婚も、議論に大きな影響を与えたとされている。

「婚約から結婚までのプロセスで、相当数の国民が秋篠宮家に不信感を抱きました。皇室典範の規定と秋篠宮さまの年齢などを考えれば、近い将来、長男の悠仁さま(15)が即位される可能性が高い。ところが、『それだけは絶対に嫌』というネット世論も根強いものがあります。そのような秋篠宮家に対する不信感が、『悠仁さまではなく愛子さまに即位してほしい』という意見の追い風になっていると考えられています」(同・記者)


■小泉内閣で議論


 改めて小室夫妻が世論に与えた影響の大きさを感じるが、「愛子天皇待望論」は、愛子さまが誕生された時から常に語られてきたことも事実だ。

「愛子さまは2001年12月1日に誕生されましたが、毎日新聞が同年12月11日に世論調査の結果を掲載しました(註1)。女性天皇を容認するかを質問したところ、実に86%が賛成したのです。世代別で最も多かったのは20代の91%でしたが、最低だった70代でも73%が賛成しました。これは実質的に、全ての世代が賛成したと言っても過言ではありません」(同・担当記者)

 愛子さまが誕生された瞬間から、大多数の国民が「愛子さまが即位されるといいな」と考えていたのだ。

 この時、皇室典範の改正に向けて大きく動き出したことは偶然ではない。愛子さまが誕生された時の首相は小泉純一郎氏(79)だった。

 ご誕生に先立つ半年前の01年5月、小泉首相は「個人的には女性の天皇陛下でもいいんじゃないか」と発言。これをきっかけとして、有識者による議論がスタートした。

「05年2月に朝日新聞が世論調査の結果を発表しましたが(註2)、女性天皇を容認するという回答は86%に達しました。国民の間で意見が割れたのは皇位継承の順位です。『最初に生まれた子供』は性別にかかわらず継承されるべきという意見が47%、『生まれた順番より男子という性別を優先する』が41%という結果でした」(同・担当記者)


■女性天皇と女系天皇


 そして05年11月、「皇室典範に関する有識者会議」(座長=吉川弘之・元東大総長)は「女性天皇」と「女系天皇」の容認を報告書に記載した。

 ここで「女性天皇」と「女系天皇」の違いについて簡単に説明しておこう。

 そもそも男系天皇とは「天皇の父親を辿っていけば、初代天皇とされる神武天皇まで遡ることができる」ことを指す。そのため「母方の血統を辿る」女系天皇は未だかつて存在せず、現在の皇室典範も男系男子の天皇しか認めていない。悠仁さまが皇位継承権の第2位とされているのは、これに基づく。

 一方の女性天皇とは、何らかの事情で「父親である天皇陛下の娘」が即位するというケースだ。天皇家の長い歴史で女性天皇は8人。次期天皇が幼年だったといった理由から、あくまで“ワンポイントリリーフ”として即位した。

 また、8人の女性天皇うち6人が、飛鳥時代から奈良時代にかけての約200年間に集中している。皇位継承を巡って皇族間で激しい権力闘争が起きていたことと関係があるようだ。

 今後、「女性・女系」のうち「女性天皇」だけを認めたとすると、仮に女性天皇が結婚をし子供を生んだとしても、その子供は性別を問わず皇位を継承できない。

 現在の皇族に当てはめると、何らかの事情で愛子さまが9人目の女性天皇として即位されたとしても、愛子さまの退位後に悠仁さまが即位されたら、「男系天皇」は維持されたことになる。


■女系天皇容認


 もし「女性・女系」の両方を認めた場合は、愛子さまだけでなく、愛子さまのお子さまも皇位継承者となる。

 だが、天皇家の長い歴史をどれだけ遡っても、「男系を辿らない天皇」は一人もいない。これが保守層の一部が女系天皇に強く反対する理由の一つだ。

「当時の有識者会議は、一歩踏み込んで女系天皇も容認しました。発表のタイミングに合わせて、朝日新聞は世論調査の結果を報じました(註3)。注目された『男系天皇の維持』が必要だとする回答は17%にとどまり、『女系天皇を認めてもよい』との回答は71%に達したのです」(同・担当記者)

 しかし、この数字には注意が必要だ。NHKが2009年10月30日〜11月1日に行った世論調査で「『女系』天皇の意味を知っているか?」と質問したところ、「全く知らない」が12%、「あまり知らない」が33%となり、合計すると45%になる(註4)。

「大多数の国民は『愛子さまが即位されるといいな』と素朴に考えている一方で、『男系天皇か女系天皇か』という問題はよく分からないという層も相当数に上る。これが平成でも令和でも変わらない傾向でしょう。女性天皇だけでなく女系天皇の容認も打ち出した小泉内閣時の有権者会議は、国民世論より一歩前に進んだと言えます。当時のメディアもこの点に注目し詳報しました」(同・記者)


■悠仁さまご誕生の影響


 だが小泉内閣は、有権者会議の結論を元に皇室典範を改正することはなかった。2006年2月、紀子さま(55)のご懐妊が報じられたからだ。

「9月に悠仁さまが誕生されると、自民党の幹部からも『これで男系天皇が維持できる』と安堵の声が上がったそうです。政治の世界では一気に議論が沈静化。女性・女系天皇の問題は先送りされることになりました。一方の世論は、悠仁さまがお生まれになってもあまり変化していません。読売新聞が2020年5月の憲法記念日に行った世論調査では、女性天皇賛成が67%に達しています(註5)」(同・担当記者)

 この調査で興味深いのは、自民党の支持層でも66%が女性天皇を支持したことだ。

「愛子さまが誕生されてから、常に国民は『愛子天皇待望論』で前のめりだったことが分かります。この歴史を考えれば、有権者から付託を受けた国会議員は、与野党を問わず、国民の声に応えてこなかったと批判されても仕方ないでしょう」(同・担当記者)


■日本国憲法の問題


 皇室ジャーナリストの神田秀一氏は「皇室が存続の危機に直面していることは明らかです。内閣も国会も怠惰の謗(そし)りを免れないと思います」と言う。

「女性皇族は結婚されると民間人になります。決して遠くない将来、佳子さま(26)も愛子さまも皇室を去られ、悠仁さまだけがお残りになるかもしれません。天皇家が直面しておられる状況を考えれば、国会では待ったなしの大激論が行われていて当然なのです」

 神田氏は「もう皇室典範の改正で済むような状況ではないでしょう」と言う。

「日本国憲法は第1条から8条まで、天皇について規定しています。ただし、皇位継承については第2条に、『皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する』とあるだけです。男系とも女系とも書かれてはいません」

 終戦直後、天皇家は、太平洋戦争の責任を巡って存亡の危機に立たされた。特に東京裁判が始まる前までは、“天皇戦犯”の可能性は突拍子もない極論ではなく、一般市民も普通に議論していた。そんな時代の空気を反映するようにして、日本国憲法は制定された。

「憲法の第1条から8条までは天皇家を存続させるための“緊急避難”的な色彩が強く、現在の社会情勢とは大きく齟齬を来しています。いくら皇室典範を改正しようとしても議論が進まないのは、結局のところ小手先の解決策だからではないでしょうか。憲法に根本的な問題があるのですから、憲法改正を正面から議論する以外の方法はないと思います」(同・神田氏)


■主権在民


 抜本的な議論を常に先送りしてきた内閣も、国会も、宮内庁も、有識者会議もだらしない。だとすれば、国民が皇室の未来を考えるしかない──ここで大きな意味を持つのが、改憲にあたっての国民投票だ。

 憲法を改正するためには「国会で衆参各議院の総議員の3分の2以上の賛成を経た後、国民投票によって過半数の賛成を必要とする」と定められている。

「皇室が今後も安定的に存続・発展するため、国会で与野党が一致団結して論点を整理し、改憲案として国民に提示する。それを国民投票で結論を出す。象徴天皇制は『主権の存する日本国民の総意に基づく』と憲法第1条は定めています。男系か女系かという問題を改憲プロセスによって解決できたなら、主権在民の精神に最も相応しいのではないでしょうか。皇族のみなさまも『国民に寄り添う』ことを最優先に掲げておられます。国民投票によって皇室のあり方が決まったとすれば、きっと歓迎してくださるはずです」(同・神田氏)

註1:女性天皇「容認」86%、若年層が高支持――毎日新聞世論調査(毎日新聞・2001年12月11日朝刊)

註2:女性天皇、容認86% 継承順位は意見二分 朝日新聞社世論調査(朝日新聞・2005年2月1日朝刊)

註3:女系天皇71%容認 継承順は第1子47%、男子39% 朝日新聞社世論調査(朝日新聞・2005年11月29日朝刊)

註4:「平成の皇室観 『即位20年 皇室に関する意識調査』」(NHK放送文化研究所「放送研究と調査」2010年2月号)

註5:象徴天皇 8割肯定 「女性天皇」賛成67% 全国世論調査(読売新聞・2020年5月3日朝刊)

デイリー新潮編集部

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