「オミクロン株」感染者急増中 2類相当をインフルエンザと同じ5類相当に引き下げるのはいつか

「オミクロン株」感染者急増中 2類相当をインフルエンザと同じ5類相当に引き下げるのはいつか

コロナ"5類引き下げ"の時期

「オミクロン株」感染者急増中 2類相当をインフルエンザと同じ5類相当に引き下げるのはいつか

岸田文雄首相

 岸田文雄首相(64)は1月4日、三重県伊勢市の伊勢神宮に参拝した。その後、記者会見に臨み、新型コロナ対策の“抜本的改革”とでも言うべき大きな変更を発表した。担当記者が言う。

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「これまでコロナ対策は自治体の判断で、陽性者は全員入院、濃厚接触者は全員宿泊待機としていました。これを岸田首相は『見直す』と言明したのです。具体的にはオミクロン株の感染が急拡大した場合、該当する自治体の判断で、陽性者でも自宅で治療できるとしました」

 角田外科消化器科医院(東京都三鷹市)の院長で、都医師会の副会長を務める角田徹医師は、「現実的な対応策だと言えるのではないでしょうか」と評価する。

「オミクロン株の感染力は、今までのデルタ株に比べ4倍に達するという報告もあります。これまで飛行機の乗客からオミクロン株の感染者が見つかった場合、入院措置を取ってきました。更に、他の乗客も全員を濃厚接触者とし、宿泊待機としています。これだけ厳しい方針ですと、オミクロン株の感染が拡大すれば高い確率で医療の逼迫が起こる懸念があります」

 だがTwitterでは、否定的な意見が散見される。《自宅療養と言う自宅放置》と、今回の決定を不安視する投稿はかなりの数にのぼる。

 他にも《何処に感染者がいるか解らないのは不安》《ゴミ収集もコンビニも危険》と、近隣に患者が存在する不安を訴えるツイートもあった。


■コロナと戦う“武器”


 だが角田医師は「入院から自宅療養へ」という“方針転換”を、「一人の医師としては当然の施策だと考えています」と言う。

「昨年8月に第5波の感染拡大が発生しましたが、あの時の我々はコロナと闘う“武器”を持っていませんでした。重症化した患者さんは入院してもらい、ステロイドを投与するなどの治療法しかなかったのです。しかし“武器”は次第に増えています」

 例えば「中和抗体薬(抗体カクテル療法)」だ。第5波の感染拡大に対応するため、政府は特別承認した。NHKは「入院や死亡リスクが70%低下する」と報じている(註)。

「ワクチン接種も最初は出遅れが批判されていました。しかし気がつけば、OECDでトップクラスの接種率になっています。かなりの日本人が新型コロナに対する基礎免疫を獲得していると考えられます。更に昨年末から、軽症患者に使える飲み薬『モルヌピラビル』を医療機関や調剤薬局に送付する動きが始まっています。実際のところ量に不安があるのですが、コロナと闘う“武器”が揃いつつあるのは間違いありません」(同・角田医師)


■下がる重症化率


 オミクロン株の感染力は桁違いに強いが、重症化率は低いことも分かってきた。

「オミクロン株の感染が急拡大しているイギリスのイングランドでは、12月21日までに約5.6万人の感染が確認され、入院した患者さんは129人、死亡14人でした。入院(重症化)率を計算すると0・23%、インフルエンザの重症化率0・1%に近づいてきていることが分かります」(同・角田医師)

 ここまで重症化率が下がっているとなると、注目したいのが感染症法による指定感染症の問題だ。

 感染症の危険度に応じて1類から5類までに分け、それぞれの対応策を定めている。数字が小さいほど危険度は高い。

 例えば、1類はエボラ出血熱やペストなどが該当する。2類は結核やSARS(重症急性呼吸器症候群)など。

 3類はコレラや腸チフスなど、4類は黄熱やマラリアなど、そして5類はインフルエンザなどが該当する。

 類ごとの措置を見てみると、例えば「死体の移動制限」が課せられるのは1〜3類だ。「入院の勧告・措置」は1〜2類となっている。

「新型コロナは『2類相当』に分類されています。だからこそ感染者は、医療機関で入院しなければならないのです。ところが岸田首相は、自宅療養も認める方針を打ち出しました。これは実質的に2類相当を引き下げようとする文脈に位置づけられるのです」(前出の記者)


■PCR検査の“価格”も変化


 週刊新潮は以前から「5類相当への引き下げ」を誌面で訴えてきた。ここではデイリー新潮の記事をご紹介しておこう。

◆コロナを5類感染症に引き下げるべきか 専門家の意見は(20年11月14日)

◆保健所が厚労省に「2類指定を外して」 体制の見直しで医療逼迫は一気に解消へ(20年12月27日)

◆「感染症法の改正」より優先すべきは? 民間病院の患者受け入れ、2類相当の引き下げ(21年1月27日)

 角田医師は「厚労省は昨年の12月8日、健康保険を使ってPCR検査を受ける場合、価格を引き下げると発表しました。これも同じ『2類を引き下げる』という文脈に位置づけられます」と指摘する。

「1類や2類は検査でも危険度が高く、厳重な防疫が求められます。そのため新型コロナのPCR検査でも、外部に委託する場合は1万8000円、病院が自ら行う場合は1万3500円と、価格が決まっていたのです。ところが岸田内閣は、厚労省や医師会に充分相談することなく、トップダウンで7000円に引き下げました。無料のPCR検査を拡充するという政策も影響を与えているとは思いますが、やはり2類相当を引き下げようとする動きだと考えるべきでしょう」


■1日も早く実施すべき


 どうやら、外堀を順調に埋めているようなのだ。

「2類相当の場合、普通の病院では患者さんを入院させることができません。医療逼迫が起きやすい理由の1つでもあるのです。充分な感染対策は必須ですが、もし5類相当になれば、制約なく広く検査を受けることができ、必要なら家族が近くの処方薬局で薬をもらい、自宅で治療できるようになります。ただ、5類にすると薬の自己負担分が増えるなどの弊害もあります。メリットを増やし、デメリットを減らす制度設計が求められていると思います」(同・角田医師)

 いよいよオミクロン株は、日本でも猛威を振るいそうだ。5日は新規感染者が2000人を超え、6日は4000人を超えたと報じられた。

 4000人を超えたのは昨年9月18日以来だ。東京、大阪、沖縄で感染拡大が続き、沈静化する気配はない。

「医師としての見地から申し上げれば、その感染力の強さは十分に考慮しなければなりませんが、2類相当を5類相当に引き下げることをしっかりと議論しなければいけないと思います。感染者数が激増すれば、低い重症化率であっても重症者の絶対数は増加します。引き続き感染予防は徹底していただきたいと思いますが、重症化率が低いことが分かっているオミクロン株の取り扱いに関しては、医療逼迫が起きないように早急な検討が必要でしょう」(同・角田医師)


■いつかは人類と共存


 5類への引き下げが、待ったなしの状況であるのは間違いないようだ。

 ちなみにネット上では「2類相当だからコロナが怖い病気というイメージが生まれ、患者が差別されている」という指摘が散見されることも付け加えておこう。

 角田医師は今後、新型コロナも「インフルエンザ様疾患の一種」になっていく可能性が高いと指摘する。

「猛威を振るった感染症は必ず、弱毒化していき、最後は人間と共存するようになります。ウイルスにとっても、寄生した人間が皆病死すると、自分も存続できません。大きな被害を与えた2009年の新型インフルエンザも、今では季節性インフルエンザの一種に過ぎません。新型コロナも同じ状況になるのは間違いないでしょう」

註:オミクロン株 コロナ治療薬の効果に変異の影響は? 専門家に聞いた(NHK首都圏ナビ:21年12月7日)

デイリー新潮編集部

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