「愛子天皇」待望論と20代以下の「男系男子」のいる「4つの旧宮家」復帰シナリオの実現度

「愛子天皇」待望論と20代以下の「男系男子」のいる「4つの旧宮家」復帰シナリオの実現度

「愛子天皇」を支持する声があがっているが

■女性天皇への賛成はおおむね80%程度


「愛子天皇」という4文字がメディアをにぎわせるようになってしばらく経つ。この動きは、いわゆる「小室問題」をめぐって秋篠宮家への風当たりが強まっていることとの関係が指摘されてきた。その一方で、女系天皇に反対する勢力は、20代以下の「男系男子」のいる「4つの旧宮家」復帰シナリオに期待しているという。(週刊新潮2019年10月3日号掲載の記事などに加筆・修正しました。肩書や年齢などは当時のママです)。

 実はここ20年ほど、世論調査を行うと、女性天皇への賛成はおおむね80%程度で高止まりしてきた。

「『男女同権』意識の浸透に加え、現在の皇族において、年若の男性は悠仁さまただ一人。その先に男性皇族が誕生する保証はありません。現行の『皇位継承者は男系男子に限る』という制度を維持する限り、皇室の存続は危うくなるのではないかという考え方が幅広く浸透してきたゆえのことと思われます」(皇室問題に詳しいジャーナリスト)

 近代的な概念とは必ずしも相容れない皇室制度を「男女平等」という思想で切ることの是非はともかく、こうした世論の傾向はさらに強まりそうだと言うのは、さる宮内庁関係者だ。


■秋篠宮家への国民の風当たり


「秋篠宮家への国民の風当たりが依然として強いのです。いわゆる『小室問題』について、“公”より“私”を優先させるかのような眞子さんの振舞いと、それを後押しされる佳子さま。これに対して、父である秋篠宮殿下はなすすべがない、といった状況が続いてきました」

 他方の新天皇家は、

「長年の懸案だった皇后陛下のご体調が回復基調にあることに加え、愛子さまも『成年デビュー』され、立派に成長された姿をお披露目されたばかりです」(同)

 こうした両家の現状への国民のまなざしが、皇室制度を巡る議論に影響を与えかねないと見るのである。

一方、安定的な皇位継承のあり方などを議論してきた政府の有識者会議は昨年12月に最終的な報告書をまとめた。皇族数を確保する方策として、「女性皇族が結婚後も皇室に残る案」と「旧皇族の男系男子を養子に迎える案」が盛り込まれた。

 社会部デスクによると、

「報告書に真新しい観点はなく、現在の皇室典範に定められている『皇統に属する男系男子が皇位を継承する』との部分には手をつけないというのも既定路線でした。表向き“愛子さまか悠仁さまかという風に、お世継ぎ候補で世論が二分されてはいけないから”という考えでいるわけですが、事実上、80%が賛成している『愛子天皇』の可能性を封じ込めた格好です」


■安倍元首相の論文


 とはいえ、繰り返しになるが、皇位の安定的継承は喫緊の課題。そこで旧皇族の復帰プランが意味をもってくるのだ。

 1947年、GHQの意向もあって11宮家51人が皇籍を離脱した。すなわち伏見、閑院、久邇、山階、北白川、梨本、賀陽、東伏見、朝香、竹田、東久邇の各宮家である。

 すでに断絶の憂き目に遭った家もあるが、2700年にわたり連綿と受け継がれてきた皇統の「Y染色体」を有する未婚男子は、複数の家庭に存在する、というのが旧皇族復帰プランを唱える側の共通認識である。安倍晋三元首相はかつて野党時代にはこんな論文を寄せていた。以下、『文藝春秋』2012年2月号より抜粋する。

〈敗戦という非常事態で皇籍を離脱せざるを得なかった旧宮家の中から、希望する方々の皇籍復帰を検討してみてはどうだろうか〉

〈三笠宮家や高円宮家に、旧宮家から男系男子の養子を受け入れ、宮家を継承していく方法もある。現行の皇室典範では、皇族は養子をとることができないことになっているが、その条文だけを特別措置によって停止させればよい〉

 さらには、

〈敗戦後長きにわたって民間人として過ごされた方々が急に皇族となり、男系男子として皇位継承者となることに違和感を持つ方もおられよう。そうした声が強ければ、皇籍に復帰された初代に関しては皇位継承権を持たず、その次のお子さまの代から継承権が発生するという方法も考えられよう〉


■血が繋がっているので復帰します


 が、そこは疑問の声も上がるわけで、先の宮内庁関係者によれば、

「離脱された方々と現在の皇室との繋がりとなると、実に600年ほど遡らねばなりません。そもそも、臣籍降下した後は一般社会に身を置き、皆さん世俗にまみれて暮らしているわけです。その後の暮らしをみると、たとえば昭和の時点ですでに、消費者金融や風俗店経営に携わっているような末裔もいました。国民感情としては、70年の時を経ていきなり“血が繋がっているので復帰します”と言われても受け入れがたいのではないでしょうか」

 かつては“事件”も起きていた。12年前に84歳で亡くなった旧梨本宮家の梨本徳彦氏のケースである。

「徳彦氏はもともと久邇宮の血筋で、1943年に臣籍降下した伯爵家の当主でした。66年には梨本家に養子に入り、旧宮家を継ぐことになったのですが、他人を疑わずすぐに信用してしまう性格が災いし、トラブルを招くことになりました」

 とは、さる皇室ジャーナリストである。

「自身が名誉総裁に就任していた団体が、元皇族という肩書を利用して寄付集めをし、詐欺の疑いをかけられたのです。徳彦氏も警察の事情聴取を受けるはめになりました。その後、出羽三山の一つ・羽黒山の山伏だった男性が、皇室とは無関係にもかかわらず家に入り込んだ。徳彦氏は彼と養子縁組し、梨本家を継がせてしまったのです」

 結果、旧梨本宮家は断絶。が、こうした宮家ばかりでないのは言うまでもない。


■にわかに脚光を浴びる東久邇家の存在


「現在、旧宮家の男系の血を引く子孫には、少なくとも10人の独身男子がいるとされます。内訳は、久邇家と竹田家に一人ずつ、賀陽家に二人、そして東久邇家の系統に6人というものです」(先の宮内庁関係者)

 なかでも東久邇家の存在が、にわかに脚光を浴びているという。それは何故か。

 久邇宮家から分かれ、1906年に創設された東久邇宮家の初代当主は、終戦直後の“宮さま宰相”として知られた稔彦(なるひこ)王。夫人は明治天皇の9女にあたり、その長男・盛厚(もりひろ)氏も、昭和天皇の長女・成子(しげこ)さんとの間に3人の男子をもうけた。

「長男は昭和天皇の初孫で、上皇さまの甥にあたる信彦さん。慶大を出て三井銀行に勤務し、日本タイ協会常務理事などを務めた人で、今年3月20日に74歳で亡くなりました。その10日ほど前、家族から連絡を受け、上皇さまは美智子さまとご一緒に都内の信彦さん宅をお見舞いに訪ねられています。上皇さまがご成婚された頃、信彦さんはまだ中学生でしたが、当時から親しいお付き合いを続けていて、お見舞いを大変喜んでいました」(旧宮家関係者)

 血筋のみならず、現在の皇室と極めて近しい間柄である事実が窺えるエピソードだが、命日となった3月20日、国会でも同家の話題が取り上げられていた。


■男子が随分いらっしゃるがご存じか


「参院の財政金融委員会で、国民民主党の大塚耕平議員が“東久邇宮さまの系譜に男子が随分いらっしゃるがご存じか”“血統的には天皇家に近いのか”などと出席した宮内庁幹部に質問したのです。答弁に立った安倍首相は、あらためて“男系継承が古来例外なく維持されてきたことの重みを踏まえ、(法的な工夫を)慎重に検討していきたい”と述べていました」(前出デスク)

 亡くなった当主の信彦氏には、大手生命保険会社に勤務する長男・征彦(まさひこ)氏(46)がおり、その家庭には男の子が2人いるという。

 また信彦氏の弟の秀彦氏(70)は、親戚筋にあたる旧伯爵の壬生(みぶ)家に養子入りし、壬生基博と改名した。慶大を卒業後、日本航空に勤務。第一ホテル副社長などを経て、現在は皇室とも縁が深く、サーヤこと黒田清子さんが勤務していたことでも知られる山階鳥類研究所の理事長の任にある。

“世俗まみれ”との論難を超越するやんごとなき職位にあるわけで、この基博氏の長男と次男の家庭にも、それぞれ10歳前後の男児がいる。

 さらに信彦氏の下の弟である眞彦(なおひこ)氏(66)は玉川大農学部を卒業後、伊藤ハムに入社。長男は住宅建材商社に勤め、やはり高校生の男の子が。さらにもう1人、眞彦氏の孫には男児がいるという。


■GHQがなくした仕組み


 国士舘大学の百地章・特任教授が言う。

「旧宮家の復帰に否定的な『女性・女系天皇』容認派はこれまで、天皇の直系、または血縁が近いことを重視する傾向がありました。この点、東久邇家は男系の継承者であるのはもちろん、女系においても今上天皇と血縁関係が濃いわけですから、おそらく抵抗感も薄まるのではと思います」

 さらには、こう指摘する。

「かつて皇室には『世襲親王家』が四家あり、天皇家に男系の血筋が途絶えた際、その家から天皇を出してきました。まさしく“血のリレー”で、戦後はGHQの意向によって失われてしまったこの仕組みを、再び作るべきです。新たに復帰させる皇族を秋篠宮殿下の次の世代、悠仁親王をお支えする20代以下の男子に絞れば、国民の理解も得やすいのではないでしょうか」

 その手順として、前述の安倍元首相の論文にもある“養子”を挙げるのだが、

「現代に強制結婚などあり得ませんから、内親王や女王と一緒になるという意味では決してありません。まずは宮家に養子入りし、独立する時にはその宮家を継ぐ、あるいは新たな宮号を戴くなどの方法があるでしょう。皇室典範で養子が禁じられているのは、一つは皇族が増えすぎて皇族費が枯渇する恐れがあったから。今は減少が危ぶまれているのだから、禁止は不要だと思います。実際に、旧宮家の若い男性の中には『いざとなれば……』と、決意を固めている人もいます」

 一方で百地特任教授は、「女性天皇」待望論に対して、「ムードに流されて、皇室制度の本質を見誤るなど言語道断」と警鐘を鳴らし、こう続ける。

「“愛子さまを天皇に”という議論は、必ず“その次の天皇は愛子さまのお子さまに”という議論に繋がります。すると次の次の御代には、『女系天皇』が誕生することになる。2000年以上の伝統を持ち、126代に亘って継承されてきたわが国の『男系天皇』の歴史を閉ざしてしまうことになるのです。女性天皇に賛成という人のうちどれくらいが、こうした歴史や理論を理解して答えているのか。はなはだ疑問に思います」

デイリー新潮編集部

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