6人犠牲の「三幸製菓」火災 2年前の出火事故で「右翼」の指弾を受け約束していた「再発防止策」

6人犠牲の「三幸製菓」火災 2年前の出火事故で「右翼」の指弾を受け約束していた「再発防止策」

荒川工場の火災現場

■公開質問状


 2月11日深夜、新潟県村上市の「三幸製菓」荒川工場で、6人が亡くなる凄惨な火災事故が起きた。三幸製菓の工場では火災や出火事故がたびたび発生しており、地域住民は杜撰な防火体制に危惧を抱いていたという。その“声なき声”を、地元の右翼活動家が三幸製菓トップに届けていた事実は知られていない。

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 右翼活動家とは、「菊守青年同盟薫風櫻花塾(くんぷうおうかじゅく)」の佐藤和基塾長である。塾長によると、2020年5月14日、三幸製菓の佐藤元保CEO宛てに「公開質問状」を送付。きっかけは、新潟市の新崎(にいざき)工場で起こった火災だった。

「乾燥機の一部が焼け焦げたくらいで済みましたが、付近は大騒ぎになった。延焼を怖れる住民から、かねてより相談が持ち込まれていたのです」

 そのほか、三幸製菓本社の従業員からは、「工場はネズミだらけ」「機械の老朽化で煎餅クズがすぐに発火する」といった話も聞かされていた。

 塾長が送った公開質問状は、安全管理などについて糾(ただ)したうえで、〈安心と幸せに付いて対処案の回答を請うものである〉と締め括られている。


■恐喝のダシ


 5月末、佐藤CEOは塾長に回答書を返送。新崎工場で起こした火災事故について縷々(るる)謝罪し、今後の再発防止策を列挙している。そして、〈今後このようなことが起きないよう、再発防止のために、しっかりと対策を取ってまいります〉と約束していた。

 これですべては収まったはずだったが、20年6月18日、塾長は自称経営コンサルタントの男とともに新潟県警に逮捕される。三幸製菓から、現金500万円を脅し取ろうとした恐喝未遂の疑いだった。

「自称コンサルタントはどこかで公開質問状のことを聞きつけたらしく、三幸製菓の執行役員に一報を入れていました。そのとき、“工場火災の件で、全国の右翼が動いている。街宣車10台用意しているよ”と脅し文句を並べ立てたのです」

 さらに、自称経営コンサルの男は三幸製菓の本社に押しかけ、執行役員を前にして「500」という具体的な金額を口にしていた。要するに、塾長は恐喝するためのダシに使われ、単なる恐喝未遂事件として幕が引かれたのだ。

 三幸製菓によれば、佐藤CEOの回答書にある再発防止策は、他工場も含めて実行されたという。だが、惨事は起きた。「右翼の警告」に耳を傾けていれば、6人の命は失われなかったかもしれない。

「週刊新潮」2022年3月10日号「MONEY」欄の有料版では、三幸製菓と右翼活動家のやりとりを詳報する。

「週刊新潮」2022年3月10日号 掲載

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