「コロナ治療薬」開発を巡るインサイダー事件 「元組長」も登場した仁義なき戦いの全内幕

「コロナ治療薬」開発を巡るインサイダー事件 「元組長」も登場した仁義なき戦いの全内幕

テラHPより

■乱高下したテラの株価


 警視庁が2月に摘発した、新型コロナ治療薬の開発を巡るインサイダー事件。先端医療を手掛ける「セネジェニックス・ジャパン」元取締役の竹森郁容疑者ら3人が金融商品取引法違反(偽計)などで逮捕された。セネは、2020年、業務提携していたバイオベンチャー「テラ」の株価を吊り上げるため、テラに資金調達関連の虚偽情報を公表させたとされる。実はこの件、20年当時からキナ臭い雰囲気に包まれていた。

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 東証ジャスダック上場のテラの株価が乱高下したのは20年6月のこと。テラはセネとともに、メキシコで新型コロナ治療薬の臨床研究を開始すると発表。途端に、150円前後だった株価は連日ストップ高を繰り返し、6月9日には2175円にまで跳ね上がった。

 ところが、直後に発売された写真週刊誌「FRIDAY」が、「新型コロナ治療薬開発は本当か?」と題し、テラの臨床研究に疑問を呈する記事を掲載した。治験を行ったとされるメキシコの病院に取材したところ、治験責任者の医師は存在せず、日本の会社による治験や診療法の話も聞いていないとの回答を得たという。

 その記事の煽りを受け、テラの株価は一転して、急落。結局、ストップ安となる1327円の終値を記録したのである。


■「特定人」とは


 これに対し、「反社会的勢力から公正な市場を守る会」なる団体が反撃に出た。FRIDAYなどのテラに関する記事は、「特定人」が株価操作を目的に提供した虚偽の情報に基づいているため、金商法158条(風説の流布)違反で刑事告発に踏み切ると明らかにしたのだ。

 実は、テラの株価の乱高下から特定人の刑事告発に至るすべての出発点になったのは、投資顧問会社「ブルーオーシャン・アソシエイト」の山崎平馬社長だった。今回、竹森容疑者とともに逮捕された人物だ。一方、特定人とは、猫組長こと菅原潮氏。「元経済ヤクザ」の肩書で投資家、経済評論家として活躍する元山口組系暴力団組長である。

 FRIDAYなどの記事を巡る衝突の約1年前。山崎容疑者と猫組長は知り合い、オンラインサロン事業などを手掛けるべく動き出した。その後、テラ株の購入を勧められた猫組長は、購入寸前までいったものの、竹森容疑者も関わっていた取引の危うさに気づいて激怒。以降、ツイッターなどで逆に取引の裏側を告発する側に回り、全面戦争へと発展したのだった。

「週刊新潮」2020年7月30日号「MONEY」欄の有料版では、竹森山崎両容疑者と猫組長こと菅原潮氏の証言を詳報する。

「週刊新潮」2020年7月30日号 掲載

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