【ウクライナ侵攻】NHK編集局幹部が急に「BBCやCNNを目指せ」…内部から失笑のウラ事情

 ロシア軍がウクライナに侵攻した2月24日、TBSと日本テレビはすぐさまウクライナ国内からの中継に切り替えた。一方、同国内に取材クルーが不在で、国会中継をダラダラと流し続けたのがNHKである。内部からも「弱腰すぎる」と批判の声があがるなか、3月上旬、ある編集幹部が放った発言が編集局内で失笑を買っているという。

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■御前会議


 東京・渋谷区神南のNHK放送センターでは、平日の午前中に「御前会議」と呼ばれる報道局の編集会議が開かれる。中央に座する「御前様」は山下毅・報道局長で、その右に控えるのが、次期局長と目されている原聖樹・編集主幹だ。

 会議では、その日の主要ニュースの予定や番組の編成などを各部の部長級が報告。局長が評価したりダメ出しをしたものが、「編集会議メモ」としてまとられ、全職員が閲覧できるイントラネットに掲載される。「大本営発表が好きなNHKらしい、昭和テイストな会議です」(報道局関係者)。

 多くの幹部職員の冷笑を買ったというのが、3月1日の編集会議で原編集主幹が放った発言だった。

「視聴者から、今の時代BBCやCNNとNHKが手軽に見比べられるようになったとして、ウクライナ情勢のニュースの充実に期待を寄せる声があった。今はご存じのとおり平時ではなく世界を巻き込んだ戦争が行われている。伝えるべきニュースと伝えたいニュースをいつも以上に峻別する必要があるように思う」

 この後も繰り返し「BBC」と「CNN」が続いていく。

■ウクライナ侵攻が始まってから増えた


「ニュース時間中にBBCやCNNなどが同時に中継しているようなネタがあれば、声をかけあって突っ込む努力をしてほしいと思う」

「BBC、CNNと競合していけるよう力を結集してほしいと思う」

 ある幹部職員が呆れて語る。

「ウクライナ侵攻が始まってから、原さんだけでなく上層部は、BBC、CNNにえらくご執心です。侵攻開始のタイミングで、ウクライナ国内にクルーすら出していなかったくせに、命がけの中継を敢行している彼らに比肩したいなんて、どの口が言うのでしょう。あれは報道を指揮する上層部として、あってはならなかった判断ミスなのです。2月11日に外務省がレベル4の『邦人退避勧告』を出した時点で、原則として人を入れないという暗黙のルールを作ってしまった結果、民放2社にも完敗する赤っ恥をかいてしまった」

 戦争が始まって1週間くらい経ってくらいから、西部の都市リビウにクルーを出すようになったが、

「じゃあ、あの時の判断は何だったんだって、誰だって思うでしょう。視聴者から高い受信料をいただいているんだから。安全を確認しながらもっとギリギリの取材を展開できたはずなんです」(同前)

■「外交の安倍」を支えたプロパガンダ機関


「そもそも、彼らは過去の行状についてどう思っているんですかね」とモノ申すのは、別の幹部職員である。

「今の報道担当理事、報道局長、記者主幹はみんな、安倍政権時代に官邸キャップや政治部長など政治部内の要職についていた人たちです。2012年の第2次安倍内閣発足から、2016年に山口県長門市で安倍さんがプーチン大統領と会談するまで、NHKは『外交の安倍』に利用され続けました」

 当時、安倍政権はプーチン大統領にへつらい続ければロシアと平和条約が締結できるという甘い見立てで動いていたが、

「そんな安倍さんの希望的観測を垂れ流し続けていた“戦犯”こそが、今の上層部なんです。彼らは安倍政権の対ロ外交を全面的に肯定し、バックアップしてきた親ロシア派だった。あのとき、国際社会でプーチンがどのように評価されているか深く考えようともしなかったくせに、今更、恥ずかしげもなくウクライナ側に立って、プーチン叩きの番組やニュースを指揮している姿に呆れますよ。彼らが勝手に憧れているBBCやCNNは、一貫してプーチン政権の独裁的な政治手法に警鐘を鳴らしていました」(同前)

■大越キャスターの活躍


 そんな上層部の体たらくに呆れ果ててか、NHKではここ数年、実績と志のある記者やディレクターが次々に退職しているという。とりわけ、定年退職ではあるものの活動の場をテレビ朝日の「報道ステーション」に移した大越健介キャスター(60)の活躍が、残された職員たちに暗い影を落としているという。

「60歳で全員辞めろという組織ではないんです。希望すれば定年延長の制度もあるし、嘱託職員として残り続ける人はたくさんいます。大越さんほどの実績と実力を兼ね備えた人ならば、番組のキャスターだろうと、ナレーターだろうと、本人が望む仕事を続けることができた。そのまま会長まで上り詰めて欲しいという声もあったほどです。しかし実際は、“官僚”のような幹部職員たちが実力派の大越さんの出世を阻止し、理事にも局長にもなれなかった。挙句の果てにライバル局のメインキャスターに就任したことで、若手・中堅は少なからずショックを受け、今も引きずっています」(同前)

 まずは、時の政権におもねるばかりで、プーチンの強権政治に無批判だった自分たちの姿勢を見つめ直すところから始めるべきではないだろうか。

デイリー新潮編集部

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