少年法改正で実名報道「第1号」の19歳 家裁が異例の表現で痛烈指弾

少年法改正で実名報道「第1号」の19歳 家裁が異例の表現で痛烈指弾

昨年10月12日午前4時ごろ。燃え盛る被害者宅(近隣住民提供)

 4月1日の民法改正で成人年齢が引き下げられるのに伴い、改正少年法が施行されることとなった。今後は、罪を犯した18、19歳の「特定少年」が起訴に至れば、実名報道が解禁となる。今月8日、その「第1号」となったのは、「甲府夫婦放火殺人事件」を引き起こした特定少年・遠藤裕喜被告(19)だった。

 ***

 甲府地検による起訴に先立って、甲府家庭裁判所が少年審判を開き、遠藤被告には大人と同様の刑事処分が妥当と判断。検察官送致、いわゆる「逆送」を決めている。その際に家裁は、非人道的な犯行の態様と一向に反省の色を見せない被告の態度について、口を極めて非難していたのである。

 事実、逮捕当時は「少年A」だった遠藤被告が手を染めた犯行は凄惨極まるものだった。社会部記者が振り返る。

「事件が発覚したのは昨年10月12日未明のことです。甲府市内の一軒家に暮らす井上盛司さん宅が猛火に包まれて全焼し、焼け跡から盛司さんと妻の遺体が見つかった。夫婦は焼死ではなく、死因は果物ナイフでメッタ刺しにされたことによる失血死と判明。夫婦には娘が二人いましたが、その二女も鉈で頭部を殴られて裂傷を負っています」


■逆恨みで家族を惨殺


 山梨県警は、それからまもなく県内の駐在所に出頭したこの男を逮捕する。県警の取り調べに対し、遠藤被告は「(井上さんの長女に)好意を持っていた。交際を申し込んだが断られた。LINEもブロックされた」と供述していた。

 一方的に思いを寄せる相手から交際を拒否され、その腹いせに彼女の両親を惨殺。あろうことか、被害者宅にライターオイルをぶちまけて放火するに至っては、もはや擁護する言葉も浮かばない。

 家裁が「逆送」の判断を下した際の「決定要旨」には、次のような峻烈な言葉が並ぶ。

〈本件は、高校の後輩に対する逆恨みから、後輩を含む家族全員ないし後輩を除く家族全員を殺害することを企てて、凶器や逃走場所を確保するなど計画的に準備して〉、〈何ら落ち度のない被害者夫婦を殺害し、被害者夫婦の二女に傷害を負わせて、さらに証拠を隠滅するために住居に放火して全焼させている〉

 こうした遠藤被告の犯行について家裁は〈計画的な非行〉で、〈行為態様は残虐さを極め〉、〈その犯情は極めて重いものであり、少年(当時)の責任は重大である〉と指弾するのだ。


■〈少年の内省が深まっているものとは到底いえない〉


 さらに、少年審判においても〈非行の動機や目的について自ら語ろうとせず〉、〈非行に真摯に向き合って反省したり〉、〈被害者に対して誠実に謝罪したりする態度がみられない〉ままで、〈内省が深まっているものとは到底いえない〉などと厳しく断じている。

 加えて、〈犯行態様は残酷さを極め、結果も重大であって、犯情は極めて重い〉。〈被害者や遺族の処罰感情も極めて厳しいことなどに照ら〉した上で、“逆送”という判断が下されたのである。

「少年事件の実名報道“第1号”となるため、司法当局は起訴までかなり慎重に準備を進めていた印象です。今回、家裁が異例と呼べるほど厳しい言葉を用いた背景には、国民に対して“19歳とはいえ、これだけ酷い事件を起こしたのなら実名報道も仕方ないだろう”と印象づける目的があったのかもしれません」(先の記者)

 第1号となった“元少年”が自らの罪を真摯に反省する日は訪れるか――。

デイリー新潮編集部

関連記事(外部サイト)