元極道YouTuberが振り返る「ヤクザの壮絶リンチ現場」 恐怖の絶頂で人間が放つ「凄まじい臭い」とは

バーチャルYouTuberの元暴力団が“壮絶リンチ現場”回顧 ガラの悪い二人組を組長殴打

記事まとめ

  • バーチャルYouTuberとして活動する元暴力団が、“壮絶リンチ現場”を振り返っている
  • 40年前、組長の運転手をしていた時に、ガラの悪い二人組に絡まれたという
  • 二人組は事務所に上がらされ組長に灰皿で殴られるなどしたが、一命は取り留めたらしい

元極道YouTuberが振り返る「ヤクザの壮絶リンチ現場」 恐怖の絶頂で人間が放つ「凄まじい臭い」とは

元極道YouTuberが振り返る「ヤクザの壮絶リンチ現場」 恐怖の絶頂で人間が放つ「凄まじい臭い」とは

バーチャルYouTuber・懲役太郎氏

 人は死の一歩手前まで、殴る蹴るの暴行を受けた時、どうなるのか――。15年前に暴力団組織を抜け、現在はバーチャルYouTuberとして活動している懲役太郎氏(57)が、所属していた暴力団事務所内で起きた壮絶なリンチ現場を振り返る。

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■「舐めてんのか、このクソガキ!」


 いまから40年前の話です。某暴力団組織傘下の3次団体で、組長の運転手をしていた私は、組長が出かける10分くらい前には、事務所に車を横付けして待機するのが日常でした。ある時、そんなタイミングで、ガラの悪い二人組に絡まれてしまった。

 組長の車は新車のセドリック。まだ18歳の小僧が高級車に乗っているのが、彼らは面白くなかったのでしょう。運転席の私に向かって、「あーん?」とやってきた。見たこともない顔で、明らかに地元の不良ではありませんでした。

 いま組長が降りてきたら大変だと思った私は、「わかったから早く行きな」と、シッシッって追い払おうとしました。それがよくなかった。かえって相手を刺激してしまったのです。一人の男がすごい剣幕で運転席の私につかみかかってきて、「舐めてんのか、このクソガキ!」と大声で騒ぎ出す事態に。彼らはここが組事務所前だと、まったく気づいていないのです。


■「よう、ワシの体に傷をつけたな」


 やがて騒ぎを聞いた若頭が、「何があったんや」と上の事務所の窓から体を乗り出してきた。「いや、ちょっと」とその場をしのごうと思ったんですが、カシラは「連れてこい」。すぐにわーっと2、3人の組員たちが上から降りてきて、あっという間に二人は事務所に連れられて行ってしまった。自宅から降りてきた組長も「なにぃ、ワシの車にいちゃもんつけてきたのか!」とやる気満々です。

 事務所に上がると、二人は正座させられ、カシラに焼きを入れられていました。組長も制裁に加わります。事態が急展開したのは、しばらくして、彼らの仲間が一人、威勢良く事務所に入ってきてからのことでした。彼は一度現場から逃げたのですが、二人を助けようと戻ってくるなり、組長めがけて殴りかかってしまったのです。額から出血した組長は、「よう、ワシの体に傷をつけたな」と、いよいよ収まりがつかなくなってしまった。

 そこからは灰皿でボコボコです。でも、彼らもなかなか謝らない。同じヤクザ者だったこともあり、なかなかの根性を持っているのです。


■忘れ得ぬ臭い


 では、どうやって謝らせるか。実は、人の心を折るのに一番有効なのは、殴る蹴るの“打撃”ではありません。流血させること。これが一番効果的なのです。でも、ナイフを使えば死んでしまいます。

 どうするかというと、パンツ一丁にして、革靴の踵で、体じゅう切るように蹴っていくわけです。額、頬、肩、背中、太もも……。体じゅうの皮膚をあますことなく切りつけていく。人は自分の血を見ると、恐怖に支配され、闘争心を失ってしまう。最後は「すみませんでした」と全員落ちました。リンチが始まって、3〜5時間くらい経過していたと思います。

 私は立ち尽くし、見ているのが精一杯でした。忘れ得ないのは、あの時感じた臭いです。最初は血の匂いかなと思ったんですが、”いや、違う、口臭だ”と気づいた。彼らの口から漏れ出る息は、血の臭いとあいまって、すさまじい悪臭を放っていました。

 ニンニクを食べた後の臭いに似ていました。もう一発入ったら死ぬぞ、というくらいの息絶え絶えの状態で、人は恐怖の絶頂に立たされると、こんな生臭い息を放つんだと思いました。


■小さな塊


 結局、組の者を迎えに来させ、彼らは病院に運ばれ、一命は取り留めました。すごかったのは、組長はやってきた敵方の組員たちに後片付けまでさせたこと。彼らもびっくりして何も言い返せず、黙って血だまりを雑巾がけさせられているのです。

 その様子を傍観していた私は、床に小さな塊が落ちているのに気づきました。拾い上げると、爪のついた指でした。刃物は使っていないのに、どんな蹴り方をすればそんなことになるのか、今もわかりません。カシラは「トイレに流しておけ」と私に言いつけました。

 翌日、警察が入ることになり、カシラが自分一人でやったと出頭して逮捕されました。鑑識が事務所中に薬品をかけ、ルミノール反応で浮かび上がった時のあの白さも目に焼き付いています。前の晩に目撃した、血の黒色とのコントラストがすごかった。血は赤色だと思っている人も多いと思うのですが、実はどす黒い色をしているんです。


■臆病者でいられたからいまがある


 私はそのリンチ現場に居合わせながら、これは自分にできないと思った。自分が臆病者なんだと知りました。こんなところから早く離れなきゃとも思いましたが、その後ずるずる20年くらい稼業を続け、3度も懲役にも行き、最後は出奔して組から抜けました。

 その間、非暴力を貫きました。若い衆がつくようになっても、ヤキを入れたことは一度もありません。刑務所の中では、同じヤクザ者に殴られるようなこともありましたが、決して殴り返さなかった。

 みんな笑っていましたよ、「お前、本当にヤクザなのか」と。でも、私は構いませんでした。一度、暴力の恐怖で人を制御し、支配する手法を覚えてしまい、それを貫いたらどうなるか。

 あの時、何食わぬ顔でリンチしていた組長は、非業の死を遂げたと伝え聞いています。カシラも、いまどこで何をしているか、生きているのか死んでいるのかもわかりませんが、きっと畳の上で死ねるような人生を送っていないでしょう。

 元ヤクザYouTuberなんて名乗っていますが、ニセ物のヤクザだったのかもしれません。でも、それで結構です。任侠道をまっとうできなかったかもしれないけれど、人としてギリギリ、道を踏み外さなかった。だから、いまこうして、シャバで暮らし続けられているんだと思っています。

懲役太郎(ちょうえきたろう)
バーチャルYouTuber。2018年に活動を開始。YouTubeチャンネル登録者数41万人。総再生回数は1億5000万回を超える(2022年4月現在)。「バーチャル刑務所」に服役中で、「前科3犯、893番、懲役太郎です」がお決まりの挨拶。

デイリー新潮編集部

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