三重の大麻栽培農家が憤る厳しすぎる条件 「免許があろうと禁止と言っているようなもの」

三重の農業法人、大麻栽培免許を申請も思わぬ出費強いられ断念 会長の松本氏は憤慨

記事まとめ

  • 三重の農業法人が大麻の栽培免許を県に申請したが、思わぬ出費を強いられ断念した
  • 県からフェンス設置を求められたが、約850万円かかるため、採算が合わなかったという
  • 「免許があろうが大麻の栽培は禁止と言っているようなもの」と農業法人会長は憤慨

三重の大麻栽培農家が憤る厳しすぎる条件 「免許があろうと禁止と言っているようなもの」

三重の大麻栽培農家が憤る厳しすぎる条件 「免許があろうと禁止と言っているようなもの」

日本の大麻は「効き目」が薄い(一般社団法人「伊勢麻」振興協会facebookより)

 押入れの中で勝手に育てるのは違法だが、大麻は免許を持っていれば栽培できる。大麻取締法第2条にある「大麻栽培者」になればいいのである。だが、法律で厳しく取り締まっている植物だけに、実際は簡単ではない。もし、農家が大麻を育てようとすると大きな“試練”が待っている。

 三重県南伊勢町の農業法人が、大麻の栽培免許を県に申請したところ、思わぬ出費を強いられ断念したと東京新聞で報じられたのは、4月9日のこと。

 その農業法人「伊勢麻」の松本信吾会長が言う。

「もともと日本の神社では神職が着る衣服などを麻で作る伝統があります。しかし、国産の麻は減っており、中国産や化学繊維に置き換わっている。せめて神事に使う麻は復活させたいと、10年ほど前から国に働きかけてきたのです。結果、山間地の人目につかない場所であることを条件に許可をもらい、2018年から栽培を始めました」


■農業法人会長は憤慨


 だが、大麻は連作障害を起こす植物で、同じ場所で3年ほど育てると害虫にやられたり、収量が極端に落ちる。

「そこで、道路に近い別の畑を確保し、県に免許を申請したのです。ところが今度は、盗難防止のため外から全く見えないようにフェンスを設置するよう求められた。それが約850万円かかるのです。大麻は出荷価格で1キロあたり3万円前後。農家1軒で栽培できるのは40キロぐらい、120万円になりますが、これでは採算が合いません」(同)

 ちなみに、日本の産業用大麻は幻覚成分(テトラヒドロカンナビロール)の含有量が少なく、そのまま乾燥させて吸っても、「効く」ことはない。厚労省では、コロナ禍で農家の収入が減っていることや産業用大麻の幻覚成分が少ないことから、21年から2度、農家に過度の負担を求めないよう、都道府県に通知を出している。だが、三重県は頑なで、フェンスなどの設置を条件にした。

「これでは、免許があろうが大麻の栽培は禁止と言っているようなもの」

 と松本会長は憤る。そこで、三重県の薬務課に聞いてみると、

「産業用大麻でも、場合によっては幻覚成分が多く含まれていることがあります。ですから農家さんには、人が立ち入らない場所であることや盗難防止設備の設置を条件に許可を出しています」(担当者)

「農業を魅力ある産業に」

 とは国のスローガンである。三重県での大麻栽培はまだ農業になれないようだ。

「週刊新潮」2022年4月28日号 掲載

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