『ゲームの達人』が揃った「地面師」たちの“余罪” 55億円「積水ハウス事件」主犯格の配役は

『ゲームの達人』が揃った「地面師」たちの“余罪” 55億円「積水ハウス事件」主犯格の配役は

積水ハウス事件前の一仕事(カミンスカス操)

■まっさらな土地


 4月末、警視庁が「地面師グループ」の男4人を逮捕した。偽造書類を使って東京・中野区沼袋の土地の所有権を移そうとした疑いである。実は、グループの指示役の上野健二容疑者は“大物地面師”カミンスカス操らの一味だった。以下に紹介する渋谷区富ケ谷の土地取引を巡る事件で、昨年1月、ともに逮捕されていたのだ。

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 東京・JR五反田駅近くの旅館「海喜舘(うみきかん)」を舞台に、地面師たちは女将の「なりすまし役」や書類の「偽造役」といった配役を揃え、まんまと積水ハウスから55億円を騙し取った。

 この「積水ハウス事件」の主犯格であるカミンスカス操は、別の詐欺も仕掛けていた。舞台は、「アカデミー出版」が関連会社「東京音楽アカデミー」名義で所有する富ケ谷の土地だ。

 アカデミー出版の益子(ますこ)邦夫社長は「天馬龍行」のペンネームで米国の作家シドニィ・シェルダンの『ゲームの達人』などの翻訳を手掛け、ベストセラーを連発。自己資金で渋谷区内に複数の土地を取得していた。

 事情を知る不動産業者によると、

「カミンスカスらが目を付けたのは、海喜舘と同じように金融機関からの抵当権が付いておらず、“まっさらな土地”だったというのが理由の一つ。益子社長になりすませば、すんなりと契約が進められる」


■ダミーの口座


 17年3月、益子社長に化けた老人が、日本橋の弁護士事務所を訪れた。「土地売却の代理人になってほしい」との依頼に、弁護士が土地を売りたい理由を訊ねると、ニセ益子社長はこう説明したという。

「恥ずかしながら若い娘にカネをつぎ込み、その穴埋めを迫られている。土地売却が女房にバレないように、買い手が会社に来ることがないかたちで取引を進めたい」

 被害に遭ったのは「北極星コーポレーション」なる不動産会社だ。

「土地代金は4億円。まずは手付金として8000万円が支払われることになった。振込先は、三井住友銀行浜松町支店の東京音楽アカデミー名義の口座でした」(先の不動産業者)

 振込先を用意したのはカミンスカスだった。愛人のフィリピンパブ嬢の名を冠した「万里亜(まりあ)」という会社を東京音楽アカデミーに商号変更し、ダミーの銀行口座を開設したのである。積水ハウスを騙す前に一仕事終えていたわけだ。

「週刊新潮」2020年3月12日号「MONEY」欄の有料版では、富ケ谷の土地取引を巡る顛末と地面師たちの動きを詳報する。

「週刊新潮」2020年3月12日号 掲載

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