安倍元総理の命を奪った“現代版の火縄銃” ミリタリー雑誌編集長が解説

犯行現場に設けられた献花台に並ぶ市民

■自衛隊の任期中に製造技術を学んだのか?


 安倍元首相を銃撃した、奈良市在住の無職、山上徹也容疑者(41)。凶器は“手製”の銃で、逮捕後の家宅捜索では、自宅からさらに数丁の自作銃や爆弾らしきものが発見されている。

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 容疑者は2002年から3年間、海上自衛隊の任期制隊員として勤務していた過去がある。その経験が銃器の製造に生かされたのだろうか?

「海自では基礎訓練で小銃を扱う程度で、任期制の隊員に銃の製造技術を教えることはない。どこか別の場所で知識を得たのでは」(海自幹部)

 この点、銃や特殊部隊に詳しい「SATマガジン」編集長の浅香昌宏氏によると、

「犯行で使われた自作銃は、極めて原始的な仕組みです。鉄パイプの片方の端を密封し、反対側の先端から火薬と弾丸を詰めます。あとは火薬に着火すれば弾が前に飛んでいく。一言で言えば“現代版の火縄銃”ですね」

山上容疑者の自宅から押収された別の自作銃(写真・読売新聞)

■2連装にしていたのは、1発目が外れることまで想定のうえだった?


 要するに、作ろうと思えば誰でも作れる代物だという。

「火薬は花火に使われる黒色火薬でしょう。着火は電気式で、プラスとマイナスの電極を火薬につなぎ、スイッチを押してショートさせるだけ。弾丸はガチャガチャのカプセルか何かにパチンコ玉のようなものを複数入れたと思われます」(同)

 元首相の命を奪った武器は、身近にある素材だけで作られていたのである。一方で、

「弾を真っすぐ飛ばして確実に対象に当てるのは案外難しい。だから初弾を外しても2発目を撃てるよう、銃身を2連装にしたのでしょう」(同)

 事件前に試射を繰り返していたことからも、強い殺意があったのは明白だ。

 今回の事件により、アメリカのような銃社会でなくても、強い殺意を持つ人間がいれば、こうした犯行を起こせることが露呈したともいえる。

 世界有数の治安の良さが、国際ランキングなどで評価されることの多い日本だが、その評判にも影を落とす凶行だった。

送検される山上容疑者

撮影・吉川 譲

「週刊新潮」2022年7月21日号 掲載

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