“国葬”決断の岸田首相は新型コロナの「2類見直し」はグダグダ 医療崩壊が起きれば間違いなく“人災”

“国葬”決断の岸田首相は新型コロナの「2類見直し」はグダグダ 医療崩壊が起きれば間違いなく“人災”

岸田首相

《はやく5類にしておけば、たかだか東京数万人で医療と保健所がパンクなんかしなかっただろうに》──国際政治学者の三浦瑠麗さん(41)は7月19日、Twitterを更新した。「2類を5類に」の声は政財界だけでなく、医療の現場からも出ている。

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 まずは三浦さんのツイートを全文、ご紹介する。

《はやく5類にしておけば、たかだか東京数万人で医療と保健所がパンクなんかしなかっただろうに、インフルエンザが毎週どれだけ流行っているか考えたら。熱出たらその人が出社しなければいいし、軽症ならPCRにこだわる必要もないでしょうよ、抗原検査でいいよ》

 改めて第7波の猛威を確認しておこう。FNNプライムオンラインは22日、「【速報】新型コロナ 全国の感染者19万人超で過去最多」の記事を配信、YAHOO!ニュースのトピックスにも転載された。

《22日、これまでに全国で新型コロナウイルスの感染者が19万5160人となり、3日連続で過去最多の感染となった。19万人を上回るのも初めて》

 患者が桁違いに急増すれば、医療現場は大混乱をきたす。「医療崩壊」のリアルな現状を報じた記事から、タイトルだけを紹介しよう。

◆新型コロナ急拡大 大阪で発熱外来の診療がひっ迫 医師「熱が出ても受診するところない」(読売テレビ:7月21日)

◆コロナ第7波で「#発熱外来」がトレンド入り 《東京の医療は壊滅状態》とネットで悲鳴続々(日刊ゲンダイDIGITAL:7月20日)

◆「すでに医療崩壊」 沖縄全域でコロナ患者の受け入れ困難に 警報後も悪化、新たな対策は(沖縄タイムス:7月19日)

◆【新型コロナ】鳥取県西部病床ひっ迫で「医療崩壊」の懸念も 県版の「新型コロナ警報」を発表(TSKさんいん中央テレビ:7月18日)


■医療崩壊の根本原因


 しかしながら、第7波で猛威を振るっているのはオミクロン株であり、昨年の第5波で流行したデルタ株ではない。担当記者が言う。

「デルタ株は重症化率も死亡率も高い数値を示していましたが、オミクロン株は感染力こそデルタ株より強いものの、重症化率も死亡率も低い傾向を示しています。そのため『感染症法における新型コロナの位置づけに関して、指定感染症の分類を引き下げるべきだ』という意見が少なくないのです」

 感染症法では、その危険度に応じて、感染症を1類から5類に分類、それぞれの対応策を定めている。数字が小さいほど危険度は高い。

 具体的には、最高度の1類はエボラ出血熱やペストとなっており、2類は結核やSARS(重症急性呼吸器症候群)などだ。

 3類はコレラや腸チフス、4類は黄熱やマラリア、5類はインフルエンザ──という具合なのだが、肝心の新型コロナは2類となっている。

「デルタ株が大流行していた時期ですら、新型コロナを結核やSARSと同じレベルにするのはやり過ぎだという声がありました。まして今、流行しているのはオミクロン株です。デルタ株に比べ感染力が高く、逆に重症化しにくいことは事前から予想されていました。にもかかわらず、2類の分類を見直していません。このために医療崩壊が起きてしまったのです」(同・記者)


■知事からも悲鳴


 2類の結核やSARSは、特別な病院でないと診察できない。新型コロナも発熱外来が設置されているが、患者の急増でパンクしてしまった。

 一方、5類のインフルエンザなら、近くの小さな病院でも診てもらえる。医療崩壊のリスクを大幅に軽減させることが可能だ。

 オミクロン株の感染爆発が発生したにもかかわらず、診察できる病院は限られている。これで医療崩壊が起きないほうがおかしい。

「当初に比べると治療薬も増えています。手探りで治療していた以前とは状況が全く違う。そのため、2類の見直しを求める声は、決して“少数意見”や“極論”ではありません」(同・記者)

 特に感染対策の最前線に立つ都道府県の知事から見直しを求める声は多い。これまで言及したことがあるのは、東京都の小池百合子(70)、神奈川県の黒岩祐治(67)、宮城県の村井嘉浩(61)、山梨県の長崎幸太郎(53)、滋賀県の三日月大造(51)……の各知事で、まさに枚挙に暇がない。


■弱毒化するコロナ


 7月10日に投開票された参院選でも、日本維新の会と国民民主党が「2類の見直し」を公約に掲げた。

 政界だけでなく財界からも同じ意見が出されている。経団連の十倉雅和会長(72)は7月14日に大阪市内で記者会見を開き、「5類への見直しを政府に検討してほしい」との考えを示した。

 デイリー新潮は今年1月7日、「『オミクロン株』感染者急増中 2類相当をインフルエンザと同じ5類相当に引き下げるのはいつか」との記事を掲載した。

 この記事では現役の医師が取材に応じ、5類への引き下げは“待ったなしの状況”との考えを示した。コメントを再掲しよう。

《「2類相当の場合、普通の病院では患者さんを入院させることができません。医療逼迫が起きやすい理由の1つでもあるのです。充分な感染対策は必須ですが、もし5類相当になれば、制約なく広く検査を受けることができ、必要なら家族が近くの処方薬局で薬をもらい、自宅で治療できるようになります」》

《「猛威を振るった感染症は必ず、弱毒化していき、最後は人間と共存するようになります。ウイルスにとっても、寄生した人間が皆病死すると、自分も存続できません。大きな被害を与えた2009年の新型インフルエンザも、今では季節性インフルエンザの一種に過ぎません。新型コロナも同じ状況になるのは間違いないでしょう」》


■デメリットの解消策


 メリットだらけの2類見直しだが、いくつか「国民にとって不利益となる」点がないわけではない。

 ネット上でも指摘されているが、特に関心を集めているのは「医療費の自己負担が増加する」、「入院調整が行われないため、重症者でも入院できないリスクが増加する」の2点だ。

「しかし、結局は法律上の問題です。2類を見直せば医学上の大問題が発生するわけではありません。医療費なら『費用は当分、2類と同じにする』と法整備すればいいだけの話です。入院の問題も同じでしょう。そもそも『陽性者は全員入院』という原則がありましたが、岸田政権が見直し、今は自宅療養の弾力運用が行われています」(同・記者)

 ところが、2類の見直しについて、岸田文雄首相(64)は常に慎重な姿勢を示している。

 2月17日の会見では、記者から「新型コロナを感染症法の2類相当から5類相当に引き下げる考えは?」という質問が出たが、「このタイミングで分類を変更するのは現実的ではない」という回答だった。


■岸田首相の“決断力”


 松野博一官房長官(59)も、7月13日の記者会見で5類への引き下げを否定した。「最大限の警戒局面にある現時点で変更することは現実的ではない」という理由だった。

 岸田首相と文言がほぼ同じ、まさに“判で押したよう”な回答だ。ベテランの政治記者が苦笑しながら言う。

「岸田さんは、安倍晋三元首相の国葬問題で、珍しく決断力を示しました。事前に『世論が二分する問題だ』と懸念が示されており、実際に実際、賛成と反対で有権者は割れています。一方、国葬の問題と違って2類の見直しは医療崩壊を解消させ、多くの国民に現実的な利益をもたらします。にもかかわらず、見直しの問題で岸田さんに決断力を発揮してほしいと言っても無理なようです」

デイリー新潮編集部

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