「マスクはしないが、排除されたら従う」 コロナ騒動から距離を置くために始めた自分流「新しい生活様式」(中川淳一郎)

「マスクはしないが、排除されたら従う」 コロナ騒動から距離を置くために始めた自分流「新しい生活様式」(中川淳一郎)

イラスト・まんきつ

「新しい生活様式」、すっかり私は定着しました。とはいっても、いわゆる世間が言うところの「新しい生活様式」ではありません。マスクを常時装着し、次のワクチン接種を待ち、旅行は自粛し、会食もせずリモート勤務をする、というのが世間の新しい生活様式。

 さすがに2年半も続いたコロナ騒動、もう付き合い切れません。私の場合、2020年夏には「こりゃ、気にし続ける限りは終わらないわ」という確信を得て、世間が言う新しい生活様式を無視する人生に入りました。要は自粛もしないしマスクもしないしワクチンも打たない、ということです。もうコロナウイルスという自然現象に対し人間による感染対策なんて歯が立つわけがない。

 地震を予知してそれを止めたり、台風を破壊することができないのと同様に、コロナも根絶は無理。その割り切りを日本の専門家と政治家とメディア、そして国民ができないから、ついに第7波までズルズルと大騒ぎを続けている。2050年、「第92波が来ました」とかやるつもりなの? 別にそれでも構いません。私は、社会とは別軸で新しい生活様式を定着させました。

 私自身の「新しい生活様式」は、「『お願い』を聞かない」「マスクを強要される場所には行かない」「排除されたら従う」の三つです。娯楽的な場所にはもう、まったく行かなくなりました。具体的には博物館、美術館、音楽ライブ、スポーツ観戦、百貨店での買い物には絶対に行かない。さらに言うと、公共交通機関も使わなくなりました。移動は徒歩かタクシー。

 MLBの中継や、テニスのウインブルドンを見ると分かるのですが、海外ではもう観客はマスクを着けていません。一方、日本でのスポーツ中継を見ると野球だろうがサッカーだろうが相撲だろうがマスク観客だらけ。音楽ライブでも、ステージ上の演者はマスクしてないのに観客は全員マスク。なんなんすか、コレ? 上級国民と下級国民の区別ですか?

 それにしても「声出し応援」が問題視されているのってファンはいいの? チケット代は以前と変わらないのに、制限だけかけられている。ホームランを打ったりゴールを決めた時に歓声を上げることがはばかられるって、「チケット30%安くしろ、オラ」と言いたくならないんですかね。「こんなご時世なのに野球を見られてワシ、嬉しいですだー!」みたいな飼いならされた家畜状態でしょうよ。

 阪神タイガースと浦和レッズのファンが大声を出していた様子を相手チームのファンから動画撮影され、後にツイッターで拡散され「許せない!」となる。レッズについては5月21日の鹿島アントラーズとのホームゲームで「声出し応援」があったということが問題視されました。NHKの報道によると「こうした状況を踏まえて野々村チェアマンはリーグの規約で定めているクラブの管理責任を問い、チームに科すことができる上限である2千万円の罰金を裁定委員会に諮問する方針を明らかにしました」。

 すごいですね、コレ。「声を出したら罰金の対象」って。レッズサポーターは「じゃあ、行かねぇ」と無言の抵抗をしないのが不思議でたまりません。

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
1973(昭和48)年東京都生まれ。ネットニュース編集者。博報堂で企業のPR業務に携わり、2001年に退社。雑誌のライター、「TVブロス」編集者等を経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『ウェブでメシを食うということ』等。

まんきつ
1975(昭和50)年埼玉県生まれ。日本大学藝術学部卒。ブログ「まんしゅうきつこのオリモノわんだーらんど」で注目を浴び、漫画家、イラストレーターとして活躍。著書に『アル中ワンダーランド』(扶桑社)『ハルモヤさん』(新潮社)など。

「週刊新潮」2022年7月28日号 掲載

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