「山口組」で初・前代未聞の通達 「神戸山口組、池田組、絆會の組員を組織から脱退させよ」

「山口組」で初・前代未聞の通達 「神戸山口組、池田組、絆會の組員を組織から脱退させよ」

”親分の目の黒いうちに”とゲキが飛んだとされる

■7月20日の総会で


 7月20日、6代目山口組総本部からのある通達が「前代未聞」として波紋を広げているという。神戸山口組ら敵対勢力との抗争をさらに煽るような中身だったとされる、その中身について、元山口組系義竜会会長の竹垣悟氏(現在は暴力団組員の更生を支援するNPO法人「五仁會」を主宰)に解説してもらった。

「6代目山口組3代目弘道会の下部組織の11代目紙谷一家(三重・津)で、7月20日に6代目山口組の総会が開かれました。その後に執行部側から、神戸山口組、池田組、絆會の組員を組織から脱退させるように動けという指令が出たと聞いています」

 と、竹垣氏。

「具体的には、6代目山口組の2次団体・大同会会長で6代目の森尾卯太男本部長がそのように伝えたということでした。後に犯罪が起こった場合、教唆に問われる可能性があるので、“相手をさらってでも”などという言葉を使ったわけではないようです。6代目山口組の直参では、2代目小西一家の落合勇治総長が抗争事件の首謀者として組織犯罪処罰法違反などの容疑で逮捕・起訴され、その後、2017年に最高裁で無期懲役が確定したという例がありますからね」


■「やってこい」通達は初


 今回の通達は、2015年8月に山口組が分裂してから7年が経過しようとする中で、そろそろ抗争を終結させるべくハッパをかける意味合いが強かったのだと見られる。

 竹垣氏によると、過去に「やるな」という通達はあっても「やってこい」という類のものはなかったという。

「1997年8月に5代目山口組ナンバー2で宅見組の宅見勝組長が射殺された際、ヒットマンが宅見組と揉めていた中野会関係者だということがほぼ断定された段階で、5代目の渡辺芳則会長は、”当事者である宅見組は仕方ないが、それ以外は中野会に対して動くな”という主旨の通達を出したことがあります」

 また、2020年9月には、6代目山口組総本部から「公共の場で銃器を使わないように」という旨の指示が出されたこともあった。カタギにも容赦なく凶器を向けるといった行動から、特定危険指定暴力団に指定された工藤會のトップに死刑判決が下されたことに絡んだ通達だったと見られる。

「トップの指示や教唆なしにその犯罪は行われ得なかっただろうという使用者責任が状況証拠を積み上げることでつまびらかにされ、トップにも極刑が下るというヤクザ界ならずとも衝撃的な判決でした。これを受け、最高幹部に累が及ばないように“やるな”のスタンスで通達が出されたわけです」


■執行部がシビレを切らした


「これまで6代目側は分裂状態の解決について、浪川会の浪川政浩総裁が仲介に動くなど政治的な解決を考えてきた部分もありました。しかし、事態の打開には至らず、いよいよ執行部がシビレを切らしたのかなとも感じました。神戸山口組も池田組も絆會もみな、早いうちに解散させるべく畳み掛けよという指示はなかなか重いものがありますね」

「執行部がシビレを切らした」点について詳しく聞くと、

「6代目の傘下組織の間の緊張感のなさを敏感に感じ取っているのかもしれません。抗争状態の終結という意味ではかねて呼びかけてきたわけですが、実際に動く組織となると、3代目弘道会、2代目竹中組、倉本組、秋良連合会、3代目一心会とそれぞれの傘下組織にほぼ絞られます。3代目一心会のほか幾つかの組織を除き、トップはいずれも6代目の若頭補佐など執行部側で、動きの鈍いそれ以外の組織は“ぬるま湯につかっている”と執行部から睨まれているはず。そうでなければ今回のような通達をするはずはないでしょうから」

 竹垣氏の言う「ぬるま湯につかっている」とは、風呂から上がると風邪を引く、つまり、本気で抗争に打って出ようとしても事をなし得ないことを意味している。

「兵隊(組員)がいない、資金力がない、従って現状維持がベターという判断をしているのでしょう」


■親分の目の黒いうちに


「脱退強化」を促すような主旨の今回の通達は前代未聞だったわけだが、なぜこのタイミングだったのか? 

「親分の目の黒いうちにということだと思います。今年に入って、5代目極東会の松山眞一会長や住吉会の関功代表が相次いで亡くなりました。6代目稲川会の清田次郎総裁も倒れるなど、代表的な暴力団トップの死や健康不安に直面する中、6代目の司忍組長も80歳を迎えており、“意志がはっきりしている間に親孝行を”と考えるのは若頭以下、“子”である者たちとして当たり前の発想です」

 これを受けた神戸山口組、池田組、絆會の受け止め方はどうだったのか?

「間違いなく緊張感が走ったと思います。彼らもまた抗争が延々と続く中で、気持ちが緩む部分が出てきていると思います。かといって何か動けるわけではないでしょうが」

 ちなみに、今回のような通達は足がつくことを警戒し、文書に残すことはなく口頭で伝えられるのが慣例なのだという。

デイリー新潮編集部

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