ヤクザの“社内報”「山口組新報」最新号から垣間見える「6代目の余裕」 親分たちの「コロナ川柳」も

ヤクザの“社内報”「山口組新報」最新号から垣間見える「6代目の余裕」 親分たちの「コロナ川柳」も

「山口組新報」親分の川柳も

ヤクザの“社内報”「山口組新報」最新号から垣間見える「6代目の余裕」 親分たちの「コロナ川柳」も

分裂抗争を勝ち抜いたと言われる司忍組長

 ヤクザにも“社内報”があるというから驚きだ。「山口組新報」という6代目山口組総本部が発行する内部向け会報紙である。7月1日に発行された最新号からは、分裂抗争を勝ち抜いたと言われる6代目山口組の“余裕”が垣間見える。

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■山口組にしかない?


 関係者から入手した「山口組新報 第26号」はタブロイド判で全8ページ。全ページカラーの本格的な印刷物だ。このような会報は他の暴力団組織ではあまり見受けられないという。

「創刊は2013年。司忍6代目体制に変わって2年経ったころです。田岡一雄3代目時代に創られ、休刊していた『山口組時報』を38年ぶりにリニューアルしました。年数回の頻度で発行し、今年7月の最新号で26号を数えます」(ヤクザ業界に詳しいウォッチャー)

 作りは創刊からまったく変わらない。一面には題字の下に山口組の「綱領」と当年度の組指針が掲げられ、「巻頭言」として幹部の挨拶文が載る。今号の担当は6代目山口組若頭補佐の竹内照明・三代目弘道会会長である。

〈雨後の緑がいっそう色濃く感じられる今日この頃、本家親分、山口組先輩諸兄の皆様におかれましては益々のご清祥を心よりお慶び申し上げます〉

 ヤクザらしい畏まった書き出しだ。


■コロナ禍やロシア問題にも言及


 最近の社会情勢についてもちゃんと触れられ、〈3年間にわたり猛威を振るった新型コロナウイルスの感染拡大もようやく収束の兆しが見え始め〉〈その一方で、世界情勢に目を転ずれば、大方の予想を裏切り、ロシアによる突然のウクライナへの軍事侵攻が始まり、世界中に激震が走りました〉。そして極道界の話に。

〈さて、平成27年にめでたく百周年を迎えた山口組も、それからはや7年が過ぎました。この百余年の歴史の中においては、中興の祖といわれる三代目・田岡一雄親分は、先の大戦により荒廃した国土から敢然と立ち上がり……〉

〈さらに代は四代目と変わりましたが、史上最大といわれる一和会との抗争事件を戦い抜き、存亡の危機とさえ言われながら、その度に、先人の血の滲むようなご尽力により、這い上がるようにして困難を乗り越え、この伝統ある山口組が今日、日本一の組織として君臨しております〉

 このように組の歴史を振り返ってから、当代が抱える“課題”について言及するのである。


■本来あるべき姿


〈平成27年という年は、創設百年というおめでたい年でありながら、13名の脱落者を出した年でもあります〉

 7年前に起きた山健組など有力2次組織13団体が離脱し、「神戸山口組」を名乗った分裂騒動のことである。〈13名〉とあるが、司組長から盃をもらっている直参と呼ばれる二次組織の数を指しており、実際は約3000人の組員が山口組を離れたと言われる。

〈今日までの間、親分のお気持ちを推察し断腸の思いに苛まれる日々です。我々山口組は一日も早く本来のあるべき姿に戻り、山口組綱領前文のとおり、国家社会の興隆に貢献し、もって斯界の共存共栄を目指していかねばなりません〉

〈何事も他人事にせず、歴史の教訓をかみしめると共に、時代に即したやり方を模索し、個々の能力の最大限を発揮して、自らが出来ることを本気でやり続ければ、自ずと答えは出るはずです。今こそ確実にそして大きな一歩を踏み出し、私も微力ながら明日の山口組の礎となる覚悟です〉

 こうして文章は締めくくられる。一見、当たり障りのない内容のようにも思えるが、組関係者はこう読み解く。

「あえて身内の恥にあたる分裂騒動について触れています。出ていった当初は勢いがあった神戸山口組ですが、その後、『任侠団体山口組』(現・絆會)が出ていき再分裂。さらに昨年9月には中核組織だった『山健組』が6代目に復帰してしまった。分派した2組織は弱体化するばかりで6代目の勝利目前と言われています。竹内組長の挨拶文からはそんな“勝者”として余裕が垣間見えます」


■コワモテの親分たちが作った川柳


 中面の「俳句面」からもそんな空気感が伝わってくる。これも創刊号からの恒例ページで、毎号、傘下の組長たちが俳句や川柳を寄稿する。コワモテの親分が作ったとは思えぬ時節をユーモラスに捉えた川柳を紹介しよう。

〈リモートで 会議したいが 俺、無職〉
〈くしゃみして 入れ歯とマスクが よくずれる〉
〈マスク下 美女か醜女か 賭けにする〉

 読めば、同じ社会で共存しているのだと感じ入ってしまう“ヤクザ版社内報”。紙面通りの和の精神を貫き、一般人を巻き込む抗争は止めて欲しいものだ。

デイリー新潮編集部

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