病院、モデルガンショップ…全国に散らばる「統一教会関連施設」 近隣住民は「得体が知れず、怖かった」

病院、モデルガンショップ…全国に散らばる「統一教会関連施設」 近隣住民は「得体が知れず、怖かった」

"教会系病院"過去に異様光景

文鮮明

 警視庁公安部が長きにわたる監視の末に作成した統一教会に関する「捜査ファイル」。この極秘文書を精査すると、統一教会に関連する企業や店、医療機関、果ては信者の集団居住地までもがズラリ列記されている。それらは町に溶け込み、教団との接点が地域住民に知られていない例も……。謎の実態に迫るべく、現地へ足を運んだ。

 ***

 まずは、不特定多数の人に利用される可能性がもっとも高い、病院から。

 そこは東京都心からさほど離れていない下町。鉄道駅から徒歩数分の、喧騒が支配する場所にその病院はある。上品なタイル貼り、地上5階建ての外観を見る限り、教団との関係を示すものは一切なく、絶え間なく老若男女が出入りする。

 古くから住む人によると、

「その昔、桜田淳子さんが合同結婚式の件でマスコミに騒がれた時、入院という名目でしばらくあそこに逃げ込んだんです。すると連日、マスコミが周囲を張り込むようになりましてね。すぐに“あの病院は統一教会がやっている”とささやかれるようになりました」

 でも、と続けて、

「それはもう30年ほども前のこと。今や患者さんの多くは統一教会との関係など知らずに利用していると思いますね」

目指すは地上天国の実現だとか

■トラブルは起きていないのか


 全国霊感商法対策弁護士連絡会に所属する山口広弁護士に聞いたところ、

「そこは医師や看護師はもちろん、その他のスタッフたちも信者であると有名です。つまり、統一教会系の病院だといえるでしょう」

 捜査ファイルにも職員が合同結婚式を挙げているとの記載がある。

 果たして勧誘などのトラブルは起きていないのか。

 先の住人いわく、

「うちは病院が建つ前からここにいて、町内会にも携わってきましたが、トラブルは聞いたことがない。特に宗教色を出してくることもありませんでしたからね。数年前、親戚が入院した際だって勧誘などはされなかったと。むしろこの辺では、親身になってくれるいい病院だという評判もあるほどです。ただ、30年以上前にはやっぱりおかしなところがありました。1階の売店でパンや飲み物、タオル、おむつなどの日用品に交じって、高そうな壺が売られてたんです。商品の棚に一列だけ壺が並ぶ異様な光景に“なるほど”と思ったのを憶えています」


■「私は信者ですが…」


 その“異様な陳列棚”は、桜田淳子に注目が集まった後、ふと気付けば撤去されていたという。以降、この病院は統一教会との関係をひた隠しにし、地元に根を張ってきたと思(おぼ)しい。

 受付で教団との関係を尋ねると、こんな答えが。

「職員の中には、さまざまな信仰を持つ者がおります。でも、決して統一教会が当病院を運営しているわけではございません」

 次は、やはり資料にその名のあった老舗モデルガンショップへと向かう。

 場所は東京を代表する繁華街の片隅。ところ狭しと店内に置かれた商品をかき分け、店長に統一教会との関係をズバリ聞くと、

「私は信者ですが……」

 あっさりそう認めるので、安倍元総理銃撃事件についての見解を尋ねた。

「容疑者の言っていること以外に、大きな真実がウラには隠されている気がします。あの散弾銃とか言われているモノについても、殺傷能力があったのか疑問です」

 堂々と陰謀論めいたことを口にするので、改めて店と教団との関係を問うてみた。すると、

「お客様のほとんどは一般の方で、私が信者だとは知りません。うちの会社には信者もいますが、そうではない者もいる。組織として統一教会との関係はありません」


■「一般企業に見えて実は…」


 さて続いては、捜査ファイルにも記載され、かねて関係者の間では“信者御用達”としても知られてきた新宿の焼肉屋を訪ねたが、

「先日、お客さんから“以前ここは統一教会の店だったんだよね”と言われて驚きました。いまは経営者も代替わりしていまして、全然関係ないですよ」

 かつて、統一教会系の施設は、韓国製の炭酸飲料「メッコール」の自販機がおいてあるため見分けがつくと言われたものだ。しかし、輸入を手がけていた業者によれば「2012年に取引は終了しました。取引量の減少からくる経営判断です」との話だった。

 このように統一教会の関連が疑われる店や企業の中には、すでに関係が解消されているケースも見られる。

 前出の山口弁護士が現状を概観して言う。

「00年代後半以降、特定商取引法違反による霊感商法の摘発が相次ぎ、壺や多宝塔などの販売会社を中心に、統一教会系企業が少なくなっていったのは事実です。ただ、すべて消えたわけではありません。たとえば配置薬を取り扱う会社はいまも、訪問販売の機会を勧誘に利用しています。一般企業に見えて実は……ということがあるんです」


■「数年前に出て行ってくれてホッと」


 最後に、信者たちの集団居住地も訪ねてみた。山手線の内側、以前は大勢の信者が共に暮らしていたとされる場所は現在、駐車場になっていた。

 隣地に住む人は言う。

「やっと数年前に出て行ってくれて、ホッとしています。30年以上も前から、そう広くない2階建ての家に、20〜30人が暮らしていたんです。お祈りが盛り上がると時おり、みんなで掛け合いのように叫び出してね。ドンと跳びはねるような音も聞こえてきました。近所のうわさで統一教会だと知ってはいましたが、表札は掲げられていないしあいさつもないしで得体が知れず、怖かったですね」

 近所の飲食店店主いわく、

「昔の話ですが、あそこで暮らす若い人がいきなりお店に入ってきて、酒も頼まずうちの客に果物や野菜、額縁に入った記念コインなどを売りつけるといったことが何度かありましたよ」

 再び山口弁護士の解説。

「統一教会は集団生活を行う場を“ホーム”、そこに住む信者を“献身者”と呼んでいます。内部では原始共産制のような暮らしが営まれ、文鮮明・韓鶴子教祖の指示に従って戦う姿勢が求められます。献身者は給料や親からの仕送りをホーム長に納め、その中から1万〜2万円のわずかなお小遣いを受け取り、伝道活動に精を出す。信者の高齢化にともない数は減りましたが、いまでもなくなってはいません」

「週刊新潮」2022年8月11・18日号 掲載

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