「山口組」分裂 「勝者なき7年」と言われる理由とは?

山口組が割れてからの7年は『勝者なき7年』か シノギは寸詰まりになったまま

記事まとめ

  • 山口組から神戸山口組が生まれ、7年間の間に組織が3つに割れて抗争を繰り広げた
  • 表向きには、6代目山口組がその力をいかんなく発揮したと見ることができる
  • しかし、各組織は構成員を減らす一方で抗争に明け暮れ『勝者なき7年』との評価もある

「山口組」分裂 「勝者なき7年」と言われる理由とは?

「山口組」分裂 「勝者なき7年」と言われる理由とは?

7代目への代替わり時期も注目が集まる

■真正な山口組を争って


 山口組が分裂し、今年で7年目の夏を迎えた。その後、組織は3つに割れたが、抗争を重ねる中で6代目山口組(司忍組長)の圧倒的優位は揺るぎないものとなっている。その一方でこの分裂期間について「勝者なき7年」と評する声もある。元山口組系義竜会会長の竹垣悟氏(現在は暴力団組員の更生を支援するNPO法人「五仁會」を主宰)に、改めて分析・解説してもらった。

 2015年8月に脱退した勢力が神戸山口組(井上邦雄組長)を結成し、それから2年弱で今度は神戸山口組から任侠団体 山口組(現・絆會/織田絆誠代表)が生まれ、山口組は三すくみの状態となった。

「任侠団体山口組は、神戸山口組の織田絆誠若頭代行がトップとなって立ち上げた団体でした。“弘道会が支配する6代目山口組はカネの亡者だ、我々こそ真正な山口組だと言って飛び出したはずの神戸山口組が同様かそれ以上のことをしている”などと、口を極めて罵っただけに神戸山口組の怒りは相当なもので、襲撃は時間の問題とされていましたね」

 と、竹垣氏。実際、任侠団体山口組の立ち上げから5カ月後の2017年9月に織田代表は襲撃される。


■ヒットマンへの待遇の差


「神戸山口組が派遣したヒットマン・菱川龍己組員は織田代表を狙ったものの果たせず、結果的に織田代表のボディガードが射殺されました。菱川組員は殺人容疑で指名手配中ですが、いまだ逃走中なのか捜査の目をかいくぐっており、神戸山口組側が何らかの手助けをしているものと思われます」

 一時はこのように襲撃があれば報復(カエシ)、そしてさらなる襲撃が繰り返されてきたが、現在は襲撃を仕掛けるのは6代目山口組のみ、という状況が続いている。

「ヒットマンへの待遇の差が大きいと感じています。例えば、兵庫県尼崎市において、神戸山口組幹部で古川組の古川恵一総裁が自動小銃を15発も連射されて死亡した事件がありました。6代目山口組系竹中組(安東美樹組長)の元組員、朝比奈久徳被告には1審で無期懲役の判決が下され、2審もこれを支持したのですが、控訴審が始まった段階で朝比奈被告の姓が安東に変わっており、安東組長と養子縁組したことがわかりました。“死ぬまで面倒を見る”ということを示すメッセージです。これは、組織のためにカラダを張る組事(くみごと)に関わるヒットマンらにとって、心の支えになるものでしょう。その他、組事で服役している組員らに6代目側は面会を欠かさず、その家族らへのサポートも手厚いということでした」


■強いて言うなら勝者は?


「これに対して神戸山口組や絆會側の場合、ヒットマンらはそこまでのサポートは得られず、結果として襲撃やカエシに二の足を踏むことにつながっている可能性があります。井上組長から神戸山口組の中核組織・山健組を引き継いだ中田浩司組長が自らヒットマンとなり、世間を驚かせたことがありましたが、戦争をする覚悟のある”兵隊”の数も自然と減っていくことになりますね」

 表向きには、山口組が割れてからの7年は6代目山口組がその力をいかんなく発揮したと見ることができるのだが、一部で「勝者なき7年」と評する声もあるという。

「各組織は構成員を減らす一方で抗争に明け暮れ、シノギは寸詰まりになったまま。一方で、工藤會事件を巡っては、トップとナンバー2が使用者責任を問われ極刑と無期懲役刑が一審で下されました。このことが他の組織に与えたインパクトは相当なものでした。この7年について強いて言うなら、勝者は警察当局になるでしょう」

 とは言うものの、ややこしいのだが、警察や暴排(暴力団排除条例)の順守が徹底されているお陰で暴力団が延命している点もあるのだと指摘する。


■長生きゲーム


「例えば、特定抗争指定暴力団に指定されると、事務所への新設や立ち入り、対立する暴力団組員へのつきまとい、同じ組織の組員が5人以上で集まったりすることができなくなります」

 それは当然、暴力団の活動が停滞することに繋がる。

「ただ、各組織の勢力が同様に弱まることによって抗争の種が自然と摘まれているということも見逃せません。警察の摘発活動や暴排によって暴力団が失速しているのは間違いないのですが、皮肉なことに息の根を止められないまま延命しているという実態もあるのです。こういった状況を、”長生きゲーム”などと呼んで揶揄する者もいますね」

 6代目山口組、神戸山口組、そして絆會は、それぞれの組織の動向に気を配りつつ、警察当局の厳しい締め付けとも対峙しながら、分裂から8年目に突入している。

デイリー新潮編集部

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