「安倍元首相」銃撃後に起こった警察人事のサプライズ 次の長官・総監は?

「安倍元首相」銃撃後に起こった警察人事のサプライズ 次の長官・総監は?

就任した警察庁の露木新長官

■露木長官は既定路線


 7月8日に発生した安倍晋三元首相が銃撃されて死亡した事件の責任を取る形で、警察庁の中村格長官(59)が辞職した。その際に発表された人事にはちょっとしたサプライズがあり、なかなかはっきりとしなかった次期長官・総監候補が見えてきたという。霞ヶ関で最も注目度の高い警察人事についてレポートする。

 まずは、8月30日付で発表された人事について紹介しておこう。肩書き後のカッコ内は前職、指名後のカッコ内は入庁年・年齢を指す。

警察庁長官(次長)露木康浩(1986年、59歳)
同次長(生活安全局長)緒方禎己(1987年、59歳)
同生活安全局長(警視庁副総監)山本仁(1988年、59歳)
警視庁副総監(警視庁警務部長)池田克史(1989年、56歳)
同警務部長(警察庁長官官房付)直江利克(1990年、56歳)

警察庁警備局長(長官官房付)原和也(1990年、55歳)
長官官房付(警備運用部長)安田浩己(1990年、55歳)
警備運用部長(外事情報部長)迫田裕治(1991年、54歳)
外事情報部長(警視庁公安部長)宮沢忠孝(1991年、54歳)

 以上を踏まえ、改めて警察庁と警視庁最高幹部の役職などを記しておこう。

警察庁長官・露木康浩(1986年、59歳)
同次長・緒方禎己(1987年、59歳)
同官房長・小島裕史(1988年、57歳)
同刑事局長・大賀真一(1988年、58歳)
同交通局長・楠芳伸(1989年、56歳)
同警備局長・原和也(1990年、55歳)
同総括審議官・渡邊国佳(1990年、55歳)

警視総監・大石吉彦(1986年、59歳)
警視庁副総監・池田克史(1989年、56歳)
同警務部長・直江利克(1990年、56歳)
同刑事部長・太刀川浩一(1991年、53歳)


■栗生副長官の存在


「基本的にここ数年の警察の人事は元警察庁長官で現在、官房副長官と内閣人事局長を兼ねる栗生俊一氏(1981年、63歳)が決めてきました。今回も中村長官の辞職は当然として、警備局長の櫻澤健一氏の辞職など全て栗生氏が承諾したものと見てよいでしょう」

 と、社会部デスク。栗生副長官のお眼鏡にかなう者は残り、かなわない者は組織を去る。厳然たる現実だ。櫻澤氏も栗生氏に好かれなかった1人だったという。

「今回の人事以前の前提として、中村氏と同期の露木氏とで3年くらいの任期を分け合うことになっていました。1986年入庁組は人材の当たり年で、中でもこの2人を評価する声は大きく、実際、栗生氏もその実力を認めていた。しかし今回、中村氏が就任から1年足らずで辞職となったので、露木氏が何も問題がなければ残りの1年強を務めることになりそうです」(同)

 栗生副長官は中村→露木のラインまでは表立って認めてきたが、その後のラインについてはなかなか判然としなかった。

「栗生氏に評価されているとされてきた1987年入庁の人物も最終的にはハジかれ、露木氏の次は誰かという点が注目されてきました。今回の人事でそれが明らかとなりましたね」(同)


■サプライズ人事


「安倍氏の首相時代に秘書官を務めた大石警視総監が年内で辞めて、小島官房長がその後継となるようです。そして、新たに次長となった緒方氏が長官の最有力候補となりました。事前にそういう見方はあったにせよ、ちょっとしたサプライズと言えるでしょう」(同)

 次期長官候補の緒方氏は警視庁警務部長、警視庁副総監などを経て警察庁生活安全局長を務めていた。

「これまでこなしてきたポジションを踏まえると、緒方氏が警察庁次長に就くという流れは異例ですね。一方で、小島氏が辿ることになりそうな、警察庁官房長から警視総監というルートも米村敏朗氏(1974年)までさかのぼらなければならないほど稀なことだと思います。もっとも、栗生氏が人事を握るようになって、異例とか前代未聞ということはあまり意味を持たなくなりましたね」(同)

 次期長官が緒方氏、総監が小島氏だとして、その後はどうなのか?

「楠交通局長が長官候補として有力視されている他、1990年組の原警備局長と渡邊総括審議官がシノギを削っており、1990年入庁の太刀川浩一警視庁刑事部長も長官・総監候補です。この中で原警備局長は安倍氏の首相時代に秘書官を務めた人物で、安倍氏自身、自分の秘書官などを務めた人物を殊のほか評価するきらいがあり、実際そのように処遇されているキャリア官僚は多いですね」(同)

 警察庁長官と次長、そして警視総監には62歳という定年が設定されている。警察人生の最終コーナーに差し掛かってきた彼らは、すごろくをどこまで進められるだろうか──。

デイリー新潮編集部

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