5ちゃんねるに心安らぐ理由は「昭和オッサンムード」 若者はこんな場所には来ないわな(中川淳一郎)

5ちゃんねるに心安らぐ理由は「昭和オッサンムード」 若者はこんな場所には来ないわな(中川淳一郎)

イラスト・まんきつ

 匿名掲示板・5ちゃんねる(元「2ちゃんねる」)をのぞくとなんだか居心地の良い空気が流れているんですよ。その理由が何かが最近までよく分からなかったのですが、先日〈【プロ野球】落合博満氏が選ぶ『歴代ベスト9』発表! ライトはイチロー、ファーストは王貞治「一番悩んだのはショート」〉というスレッド(一つのテーマについて書き込む場所)を見て理解しました。

 内容は三冠王・落合博満氏が、プロ野球の歴代ベスト9をYouTubeで発表したところ、投手は金田正一氏、キャッチャーは野村克也氏、ファーストは王貞治氏、ライトはイチロー氏となったというもの。

 当然「いや、ショートは小坂誠だろう」や「守備だけ考えているわけではない」「なぜ山本浩二が入っていない」「松井秀喜はどうだ?」などの雑談が盛り上がるのですが、これが妙に49歳の私には心地いいんですよ。すると、私にとって心地よい理由が223番目のコメントを書いた人物により明らかになりました。

〈5ちゃんって何の話題にしろ21世紀の話に全くならないってすごいよな こいつらのせいで数十年日本成長してないの丸わかり〉

 そうなんです。私の感覚なのですが、5ちゃんねるの主力ユーザーが45歳~65歳ぐらいの男性で、同じ昭和の時代・平成初期に強烈な思い出を持っている人が集い、子供時代・若き時代のことを書くから心地よいのではないでしょうか。

 何しろ、「北斗の拳にたとえたらどうなるのか教えてくれ」などと1980年代中盤~1990年代の週刊少年ジャンプの話題がよく出る。他に出るのは「キン肉マン」「魁‼男塾」「聖闘士星矢」などでしょうか。

 野球にしても1985年の阪神タイガースの伝説の「バース・掛布・岡田バックスクリーン3連発」が出るし、サッカーであれば「ドーハの悲劇」や「三浦カズ、1998年W杯行けず」といった話題が多く出る。とにかく「昭和オッサンムード」が5ちゃんねるには溢れています。そりゃあ、若者はこんな場所に来ないですわ。

 さて、落合氏にならって私も歴代ベスト9を書いておきます。落合氏は「(残した)数字で選んだ」と述べていました。つまり、長年プレーした選手を選んだということでしょう。私はあくまでも「自分が見たことのあるすごかった選手」で選んでみます。落合氏は二塁手として高木守道氏を選んでいます。確かに成績はオールラウンダー的にすごかったものの、プレーを見たことがない。

 投手:伊藤智仁、捕手:城島健司、一塁:ランディ・バース、二塁:落合博満、三塁:村上宗隆、遊撃:松井稼頭央、レフト:タフィ・ローズ、センター:山本浩二、ライト:イチロー、DH:大谷翔平

 前出の「223」氏は5ちゃんねるが結局はオッサンホイホイ(ごきぶりホイホイのごとくオッサンを引き寄せる装置)になっていることを指摘しています。まぁ、事実そうでしょうね。もはやオッサンが昔懐かしの茶飲み話をしている。しかし、5ちゃんねるのエロゲーム等に誘導する広告ですが、今後ユーザーが70代・80代になっても効果あるんですかね? さすがに性欲衰えていませんかね。

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
1973(昭和48)年東京都生まれ。ネットニュース編集者。博報堂で企業のPR業務に携わり、2001年に退社。雑誌のライター、「TVブロス」編集者等を経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『ウェブでメシを食うということ』等。

まんきつ
1975(昭和50)年埼玉県生まれ。日本大学藝術学部卒。ブログ「まんしゅうきつこのオリモノわんだーらんど」で注目を浴び、漫画家、イラストレーターとして活躍。著書に『アル中ワンダーランド』(扶桑社)『ハルモヤさん』(新潮社)など。

「週刊新潮」2022年9月15日号 掲載

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