“出雲のイナズマ”里見香奈女流五冠、苦戦の理由は猛烈なハードスケジュール? 巻き返しの可能性は

“出雲のイナズマ”里見香奈女流五冠、苦戦の理由は猛烈なハードスケジュール? 巻き返しの可能性は

対局中の里見女流五冠(写真・日本将棋連盟)

■絶体絶命、がけっぷちに


 島根県出身であることと終盤の攻めの厳しさから、“出雲のイナズマ”との異名を持つ里見香奈女流五冠(30)が苦戦している。現在、里見五冠は、将棋界の「ガラスの天井」といわれる棋士編入試験に挑戦中。5番勝負で3勝すると、女性初の「棋士」誕生となるが、ここまで2局戦って連敗、編入試験をパスするには、もはや残り3局を全勝するしかない。まさに絶体絶命、がけっぷちに追い込まれてしまった。

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 将棋ライターの松本博文さんは、

「女性の挑戦だからといって変に手加減しないのが将棋界の良いところ。今回里見さんが対戦する5人の“試験官”は、棋士養成機関である奨励会の過酷な競争を突破して間もない新鋭で、棋力に優れた実力派がそろっています。第1局で対戦した徳田拳士四段は特に強く、里見さんの完敗。岡部怜央四段との第2局は終盤、里見さん有利の展開でしたが、岡部四段の果敢な攻めを受けきれず、逆転で押し切られてしまいました。里見さんにもチャンスがあっただけに残念です」

 と語る。


■猛烈なハードスケジュール


 やはり「ガラスの天井」は思った以上にぶ厚いということか。確かに1974年の創設以来、「女流棋士」は日本将棋連盟所属だけでも79名が誕生したが、いまだに「棋士」になれた女性は一人もいない。先に挙げた奨励会でも里見五冠はじめ約20人の女性が「棋士」を目指して奮戦したが、いずれも“合格”はかなわず。ようやく巡ってきた機会が今回の編入試験だった。

「里見さんは、女流の対局を戦いながら、編入試験を受けています。今年の対局数はここまで女流・男性棋士を相手に45局。男性棋士で最多の方が33局ですから、猛烈なハードスケジュールといえます。制度上無理ですが、もし編入試験一本に絞れれば、現在の里見さんの力なら違う展開もあったかもしれません」(同)

 残り3局、追い込まれて強さを発揮する“出雲のイナズマ”の真価を見せるのはここからだ。

撮影・西村 純

「週刊新潮」2022年10月6日号 掲載

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