「ソフトバンク」現役社員がTKO木本をハメた社長とグルになって“投資詐欺”をしていた 会社は取材後「警察に通報した」と回答

「ソフトバンク」現役社員がTKO木本をハメた社長とグルになって“投資詐欺”をしていた 会社は取材後「警察に通報した」と回答

いまはアルバイトをしながら借金返済に奔走中と伝えられているTKOの木本武宏

 通信会社大手「ソフトバンク」でとんでもない不祥事である。部長職の社員ら二人がアパレル会社社長と組んで12億円に及ぶ架空の投資話をでっちあげ、知人などから金を集めていたのだ。社長は、TKOの木本武宏(51)ら複数の芸能関係者と投資トラブルを抱えたまま失踪したと騒がれている人物である。ソフトバンクは「デイリー新潮」の取材に「初めて事案を把握した。極めて悪質な行為。警視庁に通報した」と回答。芸能界を揺るがした投資トラブルは、刑事事件に発展する可能性も出てきた。

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■浜崎あゆみとXの関係


 TKO木本の投資トラブルが発覚したのは今年7月のことである。平成ノブシコブシの吉村崇や野性爆弾のくっきー!も木本の紹介で投資話に乗ってしまい、多額の損失を出していたことも判明。木本は芸能界を追われることになった。

 木本らに投資話を持ちかけていたのは、アパレル会社社長のX(41)という人物だ。

「Xは若い頃、ミュージシャンをしていて、『浜崎あゆみのバックバンドでドラムを叩いていた』と周囲に吹聴している男です。芸能界における人脈は幅広く、木本らお笑い芸人ばかりでなく、剛力彩芽、misonoとも親しい。浜崎とも何らかの交流はあったようで、2019年9月に浜崎のInstagramにXが手がけるブランドの帽子をかぶった自撮り写真がアップされています。『女性セブン』は浜崎の元コーラスメンバーとXが、未返済の出資金をめぐって裁判をしていると伝えています」(芸能関係者)

 だが被害に遭ったのは芸能人ばかりではない。むしろXの芸能人脈を信用して投資してしまった一般人がさらに多く存在するのだ。その一人である会社経営のAさんが語る。

「テレビで吉村さんが今回の騒動を笑いに変えているのを見ていると、複雑な気持ちになります。同じ被害者であることはわかっているんですが、彼らがいたからこそ騙されてしまったところもある」


■「全チャネル統一ナレッジ管理システムプロジェクト」


 Aさんは昨年8月から今年1月まで、16回にわけて1億円弱 をXが勧めてきた投資案件に出資。全額が未返済で、Xと連絡がつかなくなったという。そして、にわかに信じがたい話を明かすのである。

「Xの投資案件には不動産やFXなどさまざまな手口があるのですが、その中にソフトバンク案件というものがありました。実際、私は昨年末、港区・竹芝のソフトバンク本社にXとともに訪れ、会議室で社員二人から12億円の投資案件の説明を1時間にわたって受けました。そして、この案件にXを通して3900万円出資しました」

 Aさんによれば説明会にいたのは、「デジタルトランスフォーメーション統括部」統括部長のBと同部・課長のC。ほかXが連れてきた客一人が同席した。

 B部長が語った事業計画はこんな内容であった。

 プロジェクト名は「全チャネル統一ナレッジ管理システムプロジェクト」。B部長は全国で約3000店舗あるソフトバンクショップとY!モバイルショップで使われるシステム開発の総責任者で、数年に一度行われる、店頭で使うシステムのリプレイス(入れ替え)作業を21年12月から22年4月までの間に担当することになった。


■理解不能な「利益相反」


 ソフトバンクはこの事業を最終的にT社に発注。T社は事業を受けるにあたり必要な資金を調達するため、一口2億円を6口、計12億円の出資を募る。出資者はT社と月利5%の「金銭消費者契約書」を交わすといった概要。A氏が渡された資料(写真参照)には予算は95.7億円とある。

 ややこしいのは、T社の間にN社という別会社をかましている点だ。さらに、T社、N社の代表はB部長とC課長になっている。

「話の冒頭で、ソフトバンクでは副業が認められており、起業する社員が多いという話がありました。B部長は自分の会社で業務を請負いたいと考えているが、ソフトバンクから直接発注をかけると『利益相反』になる恐れがあるので、C課長が代表のN社を介すことになったという話でした」

 なぜ「部長の会社」では利益相反になり、「課長の会社」ならば大丈夫なのか謎だ。実際、Aさんもこの話がよくわからずその場で質問もしたが、B部長があまりに自信満々に説明するのでつい納得してしまったという。


■「ソフトバンクが払うから大丈夫」


 疑問点は他にもある。本来、副業とは、従業員が生計の足しにするなどの目的で会社の業務以外の仕事をすること。会社の下請けを従業員が副業として引き受けるのは変な話だ。しかも、B部長の会社は出資を募らなければ事業を受注できない会社だという。

「T社が受注するにあたり、15〜18億円程度のサーバー費用や下請けベンダーへのコンサル費用がかかるとの説明でした」

 そんな下請けに頼むことで、5%もの「高配当」をソフトバンクは出資者に支払わされるのだ。あまりに荒唐無稽な話だが、

「これまでにT社がソフトバンクから受注した実績や自身の著書を見せながら、B部長は自信満々に説明するのです。リスクはないんですかとも聞きましたが、『あるとしたら天災による遅延やシステムを動かした時にバグが出ることくらい。それもほぼないですよ』と。そして、『ソフトバンクが最終的なお金を支払うわけですから大丈夫』と言うのです」


■連絡は「Signalを使って」


 確かに、そこは紛れもなくソフトバンク本社の会議室であった。目の前でモニターを使って説明するのは現役の社員二人だ。著書の話も本当で、B部長はC課長と共著でプログラミング関連の本をソフトバンク関連会社から出版していた。話を信じてしまったAさんの気持ちもわからなくもない。

 だが、今になって振り返れば他にも怪しい点はあったという。

「会う前から『秘密保持契約書』に必ずサインが必要ですとXを通してしつこく言われており、当日もそれにサインさせられました。さらに、『情報漏えいを防ぐために今後の連絡はSignalにして欲しい』と言われました。実際、その後、数回にわたってB部長とやり取りが続いたのですがすべてSignalを使わされました」

 SignalとはLINEのようなオープンソースのメッセンジャーアプリである。LINEとの最大の違いは、メッセージが自動的に消える機能がついている点で、証拠のやり取りを残さない目的で薬物の売買などに使われることも多い。

 商取引において大事なのは、後々言った言わないで揉めないようにやり取りを証拠にして残すことなのに跡形なく消すというのだから、これまたおかしな話だ。だが、完全に信じ込んでしまっていたAさんは、最終的にはこの案件に3900万円もの大金をつぎ込んでしまったのである。


■山積みの“ゲンナマ”


「そもそも、この時点においてはXのこともまったく疑っていなかった。ポンジスキームの典型的パターンなのですが、最初にFX投資として100万円を預けたら、1カ月で117万円になったとポンと返してきた。次の500万円は550万円に。Xの自宅で山積みになった何千万の“ゲンナマ”を見せられたこともある。住まいは入居審査が厳しい港区の超高級マンションで、奥さんまで紹介される。優雅な空間で2匹のトイプードルと戯れるXの姿を見ていると、まさか詐欺をするわけないだろうと思ってしまうのです。完全に罠にはめられていました」

 その後、元金の返済を求めてもXは「ウクライナ情勢が……」などといって逃げるようになった。やがて、木本の件がニュースになると完全に連絡が途絶えた。3月頃、 AさんはXと一時的に音信不通になった際に、B部長に一度電話を入れたが、「私は連絡を取れていますよ」と平然と答えていたという。

 だが、それからAさんはB部長やC課長に直接連絡を取ることはなかった。金を直接預けた相手はXであり、二人ではなかったからだ。今年の5月頃、別の人物も自分と同じソフトバンク案件で被害に遭っているという話を耳にし、騙されたと気づいたという。だが、「ソフトバンク社内で問題になったという話も耳にしないので、会社が気づいていない可能性もある」とも話す。

 一方で、被害相談をしている警視庁に対してはソフトバンクの件も含めて話をしているが、「この件は事件になりづらい」と刑事から言われたという。


■「Aさん? 存じ上げないですね」


 はたしてB部長たちはこのまま逃げ切ろうと考えているのか。10月3日夕刻、B部長の携帯に電話するとあっさり本人が出た。

――X氏の投資トラブルについて取材している中、Aさんからあなたの話が出てきた。Aさんのことは知っていますよね。

「Aさん? 存じ上げないですね」

――AさんはXと一緒に昨年12月にあなたの会社を訪ね、12億円の出資話について勧誘を受けたと取材に答えている。Aさんに投資案件を勧誘した事実はないか。

「私はAさんという方を知りませんので、そのへんに関してはお答えできません」

 こう動じることなく答えるのである。

――ソフトバンクシステム受託ビジネススキームという資料を作成したのはあなたではないのか。

「そのへんもちょっとわかりませんので、ノーコメントで控えさせていただきます」

 記者が丁寧にAさんの氏名を字解きまでして説明しても、「知りませんねぇ」としらばっくれるB部長。だが、「では、Xのことは知っていますか」と聞くと、徐々に受け答えが怪しくなってきた。


■最後はしどろもどろになったB部長


「はい、あの、このへんもノーコメントにさせていただきます」

 そう答えた後、こうも言うのだ。

「この番号を誰から聞いたんですか。いきなり知らない人から電話をかけてこられて、内容的にもよくわからないことを聞かれて気味が悪いんですけど」

 埒が明かないので会社に連絡すると通告すると、

「それは、何の権利があってやられるんですかね、それがもし本当だったら、当然、あの……、秘密保持契約も結んでいますし、そのへんが漏れたらまずい……。そもそもなぜ知っているんですかって話ですよね、はい」

 最後はしどろもどろになって電話は切られた。


■警察に通報したソフトバンク


 翌4日、ソフトバンク広報部に取材すると5日に文書で回答が届いた。以下はその全文である。

〈当社内に「全チャネル統一ナレッジ管理システムプロジェクト」は過去も現在も存在せず、当社がこのプロジェクトの名目で出資を募ったことも一切ありません。編集部からの問い合わせを受けたその日(10/4)に、当社社員である対象者へ聞き取り調査を実施した結果、対象者が当社に存在しないプロジェクトを第三者と共謀して捏造し、投資勧誘を行ったという極めて悪質な行為が行われたことが判明しました。当社は、この聞き取り調査でこれらの事実を初めて把握したため、本日(10/5)、本件を警視庁へ通報しました。今後は、捜査に全面的に協力していきます。また、当社内においても対象者を厳正に処分する予定です〉

 どうやらB部長は記者にはあがき続けたが、すぐに観念して会社にすべてを打ち明けたようだ。この回答を見たAさんは愕然としてこう語った。

「すべてが作り話だったとは……。ただ、これでXの投資案件が単なるトラブルではなく、詐欺だったことがはっきりしました。私はこの詐欺話を喫茶店で聞いていたら、騙されなかったと思います。ソフトバンク本社で実在する社員が持ちかけたから信じたのです。ソフトバンクには社員が起こしたこの不始末について、きちんと責任を取ってほしい。警察も『詐欺は立証が難しい』で片づけず、しっかり捜査をしてほしいと思います」

 Aさんによると、周囲でソフトバンク案件で少なくとも二人の被害者がいるという。いったい被害はどこまで拡大しているのか。そしてXらは罪に問われるのか。捜査の行方を見守りたい。

デイリー新潮編集部

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