東京駅ホーム番号の「欠番」を答えられますか? JR東海vs.JR東日本の構図を探る

東京駅ホーム番号の「欠番」を答えられますか? JR東海vs.JR東日本の構図を探る

ナゾに包まれた東京駅

■駅員も困る?


 JR東日本の東京駅のホームに付けられた番号はとてもややこしい。1番線から4番線までが地上1カ所と地下2カ所とに合わせて3カ所あるかと思えば、地上の番号は1番線から10番線まで進んだ後、20番線へと飛ばされて23番線までとなっているからだ。その理由についてはマニアの間でも取り沙汰されきてさまざまな噂があるが、果たして真相は。

 鉄道ジャーナリストの梅原淳氏がナゾ解きをする。

 東京駅には地上、地下にホームがあり、それぞれ独自に番号が振られているので、重複している数字も少なくない。

 1~4番線のうち、地上では1・2番線が中央線、3番線が京浜東北線上野・大宮方面、4番線が山手線上野・池袋方面のそれぞれ列車が発着する。一方、地下2カ所は1カ所が丸ノ内口に近い総武線ホームだ。1~4番線とも横須賀・総武線快速が発着するほか、2番線は総武線方面の特急「しおさい」、3・4番線は特急「成田エクスプレス」も発着する。

 もう1カ所の地下は南隣の有楽町駅にも近い位置にある京葉線ホームだ。1~4番線とも京葉線・武蔵野線の列車が発着するほか、1番線には内房線方面の「さざなみ」や外房線方面の「わかしお」の両特急列車も発着する。東京駅で1~4番線の場所を駅員に聞く際は、路線名または列車名を言わないと教えるほうも困るであろう。


■1~23番線について


 地上のホームについてもう少し詳しく説明しておくと、1番線は赤レンガの丸ノ内駅舎に一番近い場所にあり、以降は東に向かって2番線、3番線――と番号が増えていく。1・2番線のあるホームと3・4番線のあるホームとは二層となっていて、細かく言うと、2番線の真下が3番線だ。

 3・4番線のあるホームと5・6番線のあるホームとは同じ高さに設けられた。5番線は山手線品川・渋谷方面、6番線は京浜東北線蒲田・関内方面のそれぞれ列車が発着する。7・8番線や9・10番線のある2面のホームの位置は3・4番線や5・6番線のあるホームよりもやや高い。7・8番線には上野東京ラインや東海道線の列車が、9・10番線には東海道線の列車が発着する。

 10番線の東隣は番号が一気に大きくなって20番線だ。20・21番線のあるホームと22・23番線のあるホームとの2面には東北・山形・秋田・北海道・上越・北陸新幹線方面の列車が忙しく出入りする。ホームの位置は9・10番線のあるホームよりさらに高い。とはいえ、1・2番線のあるホームよりは低い位置に設けられた。


■整理すると…


 欠番となった11~19番線のうち、14~19番線は23番線の東隣にある。14・15番線のあるホーム、16・17番線のあるホーム、18・19番線のあるホームと計4面のホームに発着するのは東海道・山陽新幹線の「のぞみ」「ひかり」「こだま」だ。ホームの高さは20~23番線と同じである。これらのホームのある駅ももちろん東京駅と呼ばれるが、保有する鉄道会社はJR東海だ。

 整理しよう。JR東日本東京駅の地上に設けられたホームの番号は1~10番線、20~23番線が存在していて11~19番線が欠番となっている。一方で23番線のすぐ東隣にJR東海東京駅の14~19番線があり、結局のところ、JR東日本・JR東海両社の東京駅で欠番となっているのは11~13番線だ。欠番に加えて番号の増え方が一部で一定ではないので、初めて利用すると戸惑う人も多いであろう。

 JR東日本・JR東海両社の東京駅でホームの番号が今日のような状態となったのは1997(平成9)年10月1日のことだ。それまで1~6番線と14~19番線には現在と同じ列車が発着していた。いっぽうで、7・8番線は東海道線の主に普通列車が、9・10番線は東海道線の主に特急・急行列車がそれぞれ発着し、11番線は欠番で12・13番線は東北・山形・秋田・上越の各新幹線が発着している。当時、北海道・北陸新幹線や上野東京ラインはまだ開業していない。


■これまで触れられなかったポイント


 この97年10月1日は、北陸新幹線の高崎~長野間が開業して「あさま」が東京駅に乗り入れを開始した日だ。この結果、東北・山形・秋田・上越の各新幹線に混じってそれまでの12・13番線に発着する計画が立てられたが、いくら何でもホーム1面では足りない。もう1面ホームが必要となったものの、土地が空いていないので、東海道線用の9・10番線のホームを譲ってもらう。

 とはいえ、東海道線にも2面のホームは必要なので、それまでの5・6番線のホームが転用される。このように丸ノ内口に向けて線路が移動していくと、1・2番線を発着する中央線用のホームがなくなってしまう。

 もうおわかりのとおり、それまでの1・2番ホームの真上に新たなホームを築き、中央線が使用することとなった。つまり、1~10番線では線路は移動した一方で、ホームの番号そのものは変わっていないのだ。

 ここまでの説明はしばしば紹介されるし、JR東日本が取り上げているのを見たこともある。けれども、1面増設された東北・山形・秋田・上越・北陸の各新幹線用のホームの番号がなぜ20・21番線と22・23番線となったのかの理由は特に触れられていない。


■11番線ホームは存在したことがない


 もともと11番線は欠番であったので、新しいホームは11・12番線、そしてそれまでの12・13番線のホームは13・14番線とすればよいのではとだれもが考える。そして、JR東海にも協力してもらい、東海道・山陽新幹線のホームの番号は1つずつずらした15~21番線とすればすっきりと解決するのではないだろうか。

 ちなみに、東京駅が開業以来、11番線ホームは存在したことがない。1988(昭和63)年9・10番ホームと12・13番ホームとの間に線路が1本あり、東京駅に客車を牽引して到着した機関車を反対側に移動させる役割を担っていた。この線路が11番線で、ホームは不要ということで一般には案内されていない。1990(平成2)年6月20日に東北・上越新幹線が東京駅に乗り入れることが決まり、11番線は新たなホームを建設する場所を空けるため、1988(昭和63)年3月に姿を消す。

 さて、2000年代の初頭、筆者はJR東海の担当者に東京駅のホームの番号について聞いたことがある。変更を考えていないという旨の答えであった。こう言うとJR東海が意地悪をしているように思われるかもしれないがそうではない。JR東日本から変えてほしいとの要請がなかったのでという注釈が付く。仮にJR東海が気を効かせてそれまでの14~19番線をたとえば20~25番線に変えてしまったら、20~23番線が重複する事態になったかもしれない。


■ホームの番号を変えるとなると


 東京駅を改装したときのJR東日本側の記録を見ても、ホームの番号の番号を含めてJR東海に何かを協力してもらったという記載は見られなかった。これも別に反目しているのでなく、隣接した場所で営業を行っている者同士が迷惑をかけないように気を遣ったと解釈できる。

 そもそも現実にホームの番号を変えるとなると大変な手間を要してしまう。一般には目に見える表示類を直せばそれで済むように見えるが、そうではない。東海道・山陽新幹線の管制塔に相当する総合指令所では、列車の進む線路を自動的に設定するといった役割を担うコムトラック(COMTRAC/COMputer Aided TRAffic Control system 新幹線運転管理システム)という巨大なコンピューターシステムが稼働しており、このシステムにホームの番号が正しく入力されていなければ列車を駅に到着させることも出発させることもできなくなってしまう。仮にホームの番号を変えるならば、コムトラックを改修しなければならない。その費用は億単位と予想される。

 素人目に考えてもホームの番号を1つずつずらすのは危険が伴う。もしもコムトラックが不調となって手作業で東京駅に列車を出入りさせたい場合、新旧の15~19番線を混同して誤った線路に列車を進入させ、あわや衝突という事態にもなりかねない。となると20~25番線などと従来と全く関係のない番号とする必要がある。

 一方のJR東日本も同様だ。新旧の12・13番線が存在するようでは不安が多い。11~19番線を飛ばして従来の番線と重複しない20番線から付け直したのも納得がいく。

 JR東日本の場合、東京駅に新幹線用のホームを増設するのと、国鉄から引き継いだコムトラックが老朽化してコンピューターシステムを更新する時期とが重なった。新たに導入されたのはコスモス(COSMOS/COmputerized Safety,Maintenance and Operation Systems of Shinkansen)と呼ばれるニュー新幹線総合システムで、稼働は1995(平成7)年11月のことだ。当然ながら、約2年後に予定される東京駅のホーム増設に対応済みであった。

梅原淳
1965年6月6日東京都生まれ。大学卒業後、三井銀行(現在の三井住友銀行)に入社。その後、雑誌編集の道に転じ、交友社月刊「鉄道ファン」編集部などを経て2000(平成12)年からフリーランスの鉄道 ジャーナリストとして活動を開始する。現在は書籍の執筆や雑誌への寄稿を中心に、講義・講演やマスメディアでのコメント活動、鉄道に関して行政や自治体が実施する調査への協力なども精力的に行う。合同会社ウメハラトレイン代表社員。千葉県富津市在住。富津市大貫地区社会福祉協議会理事、富津市公民館運営審議会副委員長、富津市国際交流協会理事。

デイリー新潮編集部

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