新元号を機に関係改善? 安倍首相の「新天皇」へのなりふり構わぬアピールぶり

新元号を機に関係改善? 安倍首相の「新天皇」へのなりふり構わぬアピールぶり

安倍総理

 ケチな人がさくらんぼを食べていて、種が勿体ないからと一緒に飲みこむと、春には頭の上に見事な桜の木が……とは落語「あたま山」。皇居の桜も満開目前の3月の最終週、新元号案を皇太子さまに伝えたという安倍晋三首相。その深謀とは。

 噺の続きをしておくと、桜、つまり頭にまとわりつかれることに倦んだその人は桜を引っこ抜く。するとポッカリ窪みができ、水が溜まって魚が棲みつき舟を漕ぐ者まで現れて。もうたまらんとそこへ身を投げた後……すなわち水面下のことは語られずじまいだ。

 安倍首相が東宮御所を訪ね、皇太子さまに面会したのは去る2月22日のこと。この“水面下の動き”は異例中の異例と報じられた。

「その場では、元号決定の手続き、そして4月30日と5月1日の儀式の詳細を説明したとみられます」

 と、官邸関係者。この後の3月中にも、複数回に亘って首相が東宮御所を訪れる可能性が取り沙汰されていたのだった。

「これまで官邸と宮内庁間で隙間風が吹いてきた状況を一変させ、総理が新しい天皇陛下と良い関係を構築したいと思っていることは明白です。丁寧に対応することが皇太子さまへのアピールになるんですよ」

 と証言するのは、首相のブレーンで、麗澤大学の八木秀次教授。念には念を、の対応には説明が必要だろう。宮内庁関係者が、

「例えば、憲法を守るというスタンスの天皇陛下と改憲の必要性を訴える安倍首相とでは、スタンスが極端に異なっていたのです」

 と指摘するように、宮内庁と官邸の溝は大きく、そして深かった。それが決定的となったのは2016年7月、NHKによる「生前退位」報道だった。


■佐藤栄作を抜いて


「かねて陛下は、女性宮家創設や生前退位について前向きに検討してもらうよう官邸へボールを投げてこられました。しかし、12年12月に発足した第2次安倍政権はそれを喫緊の課題と受け止めることはなかった。そこで宮内庁は国民的な議論を喚起すべく、NHKへ『陛下のご意向』をリークした。その流れを官邸は意趣返しと見て取ったわけです」(同)

 御代替わりを契機に、官邸側が関係修復に乗り出したということになる。

「安倍さんは今年8月、佐藤栄作を抜いて在職日数で戦後1位に躍り出ます。佐藤首相はしばしば天皇陛下にご報告をしていたようですが、安倍さんは長期政権の割に陛下へのご報告回数は少ない。そのあたりをかなり意識し始めているように見えます」(先の官邸関係者)

 もっとも、宮内庁担当記者は、

「天皇陛下のお考えを皇太子殿下もそのまま受け継がれていくでしょう。勿論、憲法第4条で天皇は政治的な権能を有しないと規定されている以上、直接的に政治的な発言はされません。しかし、皇太子殿下と安倍総理との間で、すれ違いが続くのは間違いないと思います」

 と、「首相工作」の難渋を予想する。なりふり構わぬ水面下の働きかけが奏功し、見事な桜を咲かせるだろうか。

「週刊新潮」2019年4月4日号 掲載

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