安倍官邸に媚びるNHK 不純な動機で異例の「返り咲き人事」

「NHKエンタープライズ」板野裕爾社長が専務理事に復帰する異例 官邸の意向との声も

記事まとめ

  • NHK経営委員会は「NHKエンタープライズ」板野裕爾社長を専務理事に復帰させた
  • 毎日新聞によると、板野氏の復帰について関係者は「首相官邸の意向」と明かしている
  • 会長の外部登用が4代続くNHKにとって、生え抜き会長は悲願だという

安倍官邸に媚びるNHK 不純な動機で異例の「返り咲き人事」

安倍官邸に媚びるNHK 不純な動機で異例の「返り咲き人事」

NHK

 4月9日、NHK経営委員会は、「NHKエンタープライズ」の板野裕爾(ゆうじ)社長(65)を専務理事に復帰させた(4月25日付)。この人事は異例であるだけでなく、公共放送の名を汚す、邪(よこしま)な思惑に塗(まみ)れている。官邸へのすり寄りが透けるのだ。

 板野氏は元専務理事。当時は“会長のポチ”と呼ばれていたという。その異名を、経済部記者が解説する。

「長く経済畑を歩んだ板野氏は、経済部長や内部監査室長を経て2012年に理事に就任。そして籾井勝人会長時代の14年4月から2年間、専務理事でした。籾井さんといえば失言癖。“政府が右と言うものを左と言うわけにはいかない”などと、安倍官邸におもねる発言を繰り返しました」

 太刀持ちだか露払いだかは知らないけれど、

「板野氏は失言の尻拭いをして尽くしていた。官邸の意向を汲んで番組に介入してはいましたが、15年末、はっきりと反旗を翻します。籾井さんが子会社に350億円を出させて渋谷の土地を購入させようとした一件がありました。ところが官邸は、NHKの拡大膨張路線と見えるこの件を快く思っていなかった。板野氏は杉田和博官房副長官の、ひいては官邸の意を受けて猛反対、購入撤回させたのです」

 飼い主の手を噛み、子会社に転じたのであった。


■生え抜き会長とスマホ課金


 そんな人物が専務理事に返り咲いたものだから、

〈複数のNHK関係者は、政権に太いパイプを持つとされる板野氏の復帰は「首相官邸の意向」と明かし、NHKと政権との距離を危惧する声が上がっている〉(毎日新聞4月10日付)

 飼い主が官邸に替わったわけだ。NHK関係者の胸中も複雑という。

「いまのうちには島桂次さんや海老沢勝二さんのような生え抜き会長がいませんし、報道に限らず、さまざまな事案を円滑に進められる政権との太いパイプがなかった。菅義偉官房長官も、板野さんならそれができると評したと聞きました」

 実際、会長の外部登用が4代続くNHKにとって、生え抜き会長は悲願である。

「そしてもう一つ、“スマホ課金”の悲願もあります。まずは、今年3月に閣議決定されたインターネット常時同時配信が19年度中に開始されると、ネット視聴をしたい受信料未払いの人が払ってくれる可能性が高まり、増収が見込めます」

 加えて、第5世代移動通信システム(通称5G)。

「来春サービス開始予定の5Gが本格導入されれば、映像コンテンツなどが一瞬でスマホにダウンロードできるようになる。うちのコンテンツで、スマホ1台で300円徴収できれば、日本にあるスマホを1億台とすると300億円の増収。受信料徴収と合わせて、限りない伸び代があるんですよ」

 受信料値下げもなんのその、だ。菅官房長官は携帯料金値下げにもこだわっているから、スマホ課金の後押しとなる。ならばここで官邸と手を取り合い“ウィンウィン”の関係を築くべし――。異例人事にはこんな動機が隠されていたのだ。

「週刊新潮」2019年4月25日号 掲載

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