トランプ大相撲観戦、政府高官が予言した「座布団投げが起こらない取組」と「鶴竜の忖度」

 衆人環視の国技館で相撲を観戦するトランプ大統領を警護せよ。そのミッションの重点課題は「座布団」だったが、成功は半ば約束されていたのかもしれない。何しろ、千秋楽が波乱なき「大相撲ショー」になることを、政府高官が事前にほのめかしていたのだから。

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 トランプ大統領の周辺に控えたシークレットサービスやSPが険しい表情で警戒する中、取組は行われた。トランプ大統領は時折、通訳らと言葉を交わしながら、土俵の上に見入っていた。

「政府は、トランプ大統領に相撲についてどう説明するのか、事前に相当シミュレーションしたそうです。例えば、髷はどう説明するのか。“まわしの中はどうなっているのか?”と質問されたらどう答えるのか、といった細かい点まですり合わせをしたといいます」(全国紙デスク)

 トランプ大統領の観戦がスタートした後、これといった異変が起こらないまま迎えた結びの一番。

「館内で警備にあたった警察官やSP、シークレットサービスの緊迫感がピークに達したのが、結びの一番の直前。その一番で横綱・鶴竜が敗北すると座布団が投げられる可能性があったからです。万が一、投げられた座布団がトランプ大統領を直撃でもしようものなら、それまでの“おもてなし”は全て台無しになってしまいます」(同)

 政府や相撲協会は座布団が舞うのを何としても阻止したかったようで、当日、入場者には〈ご注意〉と書かれた紙まで配られた。

 そこには、

〈場内で座布団等の物を投げるなどの行為を行った場合は退場の上、処罰されることがありますので、絶対にしないでください〉

 とあるだけではなく、“脅し”のような物騒な文言が連ねられていた。

〈《刑法第208条暴行罪》

 2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金

 または拘留もしくは科料

 なお、行為者は不法行為による損害賠償責任(民法第709条)を負う可能性もあります。

 また、相撲競技観戦契約約款第8条「禁止行為」に該当するため弊協会は行為者を退場させることはもちろん、第11条の「販売拒否対象者の指定」を行います。行為者には以降、入場券の販売を行いません〉


■“座布団投げが起こらないようにする”


 何とも大げさなのだが、「座布団対策」についてはこんな証言もある。

「千秋楽の結果が出る前、政府高官がこう話していたのです。“トランプ大統領の前では、座布団投げが起こらないようにする。それが起こらない取組になる”と……」(事情通)

 座布団投げが起こらない取組――。その言葉が意味するところは判然としないが、実際の結果はこの政府高官が“予言”した通りになった。千秋楽結びの一番では、横綱・鶴竜が大関・豪栄道を危なげなく破り、座布団が乱舞する事態にはならなかったのだ。

「横綱が大関に負けた場合でも座布団が舞うことがありますが、その数はそれ程多くはならない。一方、千秋楽で横綱と関脇以下が優勝争いをしていて、横綱が敗れた場合、凄まじい数の座布団が舞うことになる」

 と、相撲記者。

「しかし今場所は、千秋楽の前日に平幕・朝乃山が優勝を決めた。そのため、鶴竜の千秋楽の相手は豪栄道となり、結びの一番で数多くの座布団が舞う可能性はなくなっていたわけです。一方、優勝争いが千秋楽に持ち越され、結びの一番で朝乃山が鶴竜から金星を挙げていたら、座布団が乱れ飛んでいたでしょう」

 すなわち、千秋楽前日の結果が出た時点で“座布団投げリスク”はゼロに近いほど大幅に低下していた、ということになるのである。


■不自然な取組


 ここで、千秋楽前日、どのような取組によって朝乃山の優勝が決まったのかを振り返っておこう。

 13日目を終えた時点で単独トップに立った朝乃山は11勝2敗、追う鶴竜は10勝3敗。先に土俵に上がった朝乃山の相手は豪栄道である。

 問題の一番をベテラン相撲記者に解説してもらうと、

「2人は右の相四つ。立ち合い直後に豪栄道が左上手を取り、朝乃山は上手が取れないまま。こうなると普通は豪栄道が圧倒的に有利。それなのに豪栄道は先に攻めようとしない。そこで朝乃山は左からおっつけながら前へ出て、左上手を取り、寄ろうとする。豪栄道はその段階でようやく反撃に出ますが、時すでに遅し。朝乃山の左上手投げで寄り切られてしまうのです」

 先に有利な体勢になったのに攻めなかった豪栄道の取り口について「不自然」と表現した上で、このベテラン相撲記者は指摘する。

「豪栄道としてはこの一番で自分が負け、結びで鶴竜が負けたら千秋楽にもつれこむことなく朝乃山の優勝が決まる、というのがちらっと頭をよぎったかもしれませんね」

 そして、結びの一番は鶴竜対関脇・栃ノ心。栃ノ心にとっては大関復帰がかかった一番だった。

「鶴竜は相手をよく見ないで頭から突っ込んでいる。栃ノ心は左に変わりながら鶴竜をはたいて勝利。限りなく怪しく、不自然な取組でした」(同)

 角界関係者に聞いても、

「本来、力士は絶対に勝ちたい一番では、自分のタイミングで立ち合いたいもの。が、鶴竜は先に土俵に片手をついて“待ち”の体勢を取った上で相手のタイミングで立ち合い、敗れたのです。あんな取組になった背景には、協会への忖度があったのかもしれません」

 千秋楽の豪栄道との取組では、立ち合いの際に先に土俵に手をつくこともなく、前日の敗北が嘘のような圧勝を収めた鶴竜。

「その瞬間、トランプ大統領の後ろにいたSPたちが一斉にザザッと立ちあがった。勝負が決まったらすぐさま立ちあがって防御する、という座布団投げ対策のオペレーションが事前に取り決められていたのでしょう」(先の全国紙デスク)

 座布団投げ対策のオペレーション。言葉の響きはいささか滑稽だが、それが国の威信をかけた真剣勝負だったことは紛れもない事実なのである。

「週刊新潮」2019年6月6日号 掲載

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