地図マニアが“日本の国境が変わった”と大騒ぎ、「与那国島の新地図」に重大異変!!

 1869年、明治政府が国土地理院の前身である「民部官庶務司戸籍地図掛(みんぶかんしょむつかさこせきちずかかり)」を設置して150年となる今年、日本の地図に一大異変が起きた?

 日本最西端の地が、与那国島から“トゥイシ”という岩礁?島?に変わったらしい、と地図マニアの間で盛り上がっているのだ。確かに、国土地理院が6月1日に発行した地図には、これまでなかったトゥイシが明記されている。ことの真相を探る――。

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 与那国島(沖縄県八重山郡与那国町)といえば、人口1700人ほど、外周は27.49キロ、面積28.96平方キロの日本最西端にある島だ。東京からおよそ1900キロ、沖縄本島からでも500キロ以上ある絶海の孤島だが、周囲は大型回遊魚が集まる絶好の漁場で、松方弘樹がカジキを釣り上げに行ったことで知られ、南部沖には、海底遺跡として知られるダイビングスポットもある。

 そして「日本国最西端之地」の碑で知られる西崎(いりざき)からは、天気が良ければ台湾の山並が見えるそうだ。ちなみに、台湾とは111キロしか離れていない。

 その最西端の地に変化があった。

 国土地理院は6月1日に地理院地図を発行したが、公式ホームページには、「2万5千分1地形図の更新に伴い、最東端及び最西端の経度緯度の数値を更新」として日本の四方の経度緯度を発表したのだ。それによると、最西端は「経度122°55′57″、緯度24°27′05″」。

 通常、これだけではわかりようもないのだが、ある地図マニアは気づいたという。最西端が従来の位置から変わっていることに。@Yama_ChizuさんのTwitterを参考にさせていただくと、従来の経度は東経122度56分01秒から122度55分57秒に、緯度は北緯24度26分58秒から24度27分05秒に更新。これが何を意味するかといえば、日本の最西端は、従来の西崎の海岸線から北北西におよそ260メートル海中に入った「トゥイシ」という場所に変わったことになるという。また「トゥイシ」という表記もこれまでの地図にはなかったとも。SNSでは、以下のような広がりを見せている。

〈日本の最西端、北北西に260m移動 新たな島「トゥイシ」発見〉

〈トゥイシ行きたい。 ボートとかでいけるかな〉

〈国土地理院は、最西端が変更になったことに気づかれたくなかったみたい〉

■存在は知っていたのですが


 トゥイシは、小笠原諸島に新たに出来た西之島のような島なのか? それとも岩礁? いや、与那国島の一部? 早速、国土地理院に聞いた。

「お問い合わせありがとうございます。岩礁か島かを決める権限は私どもにはないのですが、少なくとも新たにできた島ではありません。これまでも5千分の1の地図には海岸線の一部として表記されていたもので、存在は確認していました。しかし、これまでは、干潮では頭を出すけれども満潮になると沈んでしまう陰顕岩とされていました。しかし、どうやら違うらしいという情報があり、2年前に職員が現地に赴き、満潮時でも見えることを確認できたことで表記することになったのです」(国土地理院基本図情報部管理課)

 えっ? 2年前に確認していた?

「そうです。今回は与那国島の自衛隊施設や道路の変更があったので、地元からの申請もあり、合わせて更新することになりました。トゥイシというのは昔から地元で呼ばれている名称です」(同)
 
 いずれにせよ、最西端の位置が変わったわけである。国土地理院は、西之島がさらに育って、管轄海域も増化したことは報道発表しているのに、トゥイシについては全く発表していない。もしや、中国や台湾の反応を気にしたのだろうか。

「いえいえ、そんなことではありません。確かに、我々もトゥイシが常に頭を出していることは知らなかったわけですが、通常、更新時に報道発表はしていません。一方、西之島の場合は、EEZ(排他的経済水域)にも影響があったものですから、発表しました」

 260メートルとはいえ、最西端が広がったのだから、EEZも台湾、中国側に広がったはずである。

「それは、海上保安庁さんに確認いただいたほうがいいかと思います」

 海上保安庁はこう言う。

「海上保安庁は、平成28年にすでに与那国島周辺の海図を改版しております。ですから、今回の国土地理院の地図によって、新たな管轄海域の変更はありません」(海上保安庁海洋情報部)

 日本の海域の変更はないようだ。

 では、我々一般人に与える影響はあるだろうか。実は日本の東西南北で唯一民間人がたどり着けるのが、与那国島の日本最西端であった。最北端は北方領土の択捉島、最東端は小笠原諸島の南鳥島で、海上自衛隊と気象庁の職員、南鳥島港湾保全管理所の職員がいるのみ。最南端は沖ノ鳥島。これらは一般の上陸は不可能だ。

 日本の端っこを観光資源として、「日本最西端の証」も発行する与那国町はどう考えているのだろうか。

「トゥイシ? ああ、岩ですよ。観光面では、これまで通り、最西端は西崎でいきますよ。最西端の碑も変えません。あくまで地図上の話だけですよ」(与那国町総務課)

 あっさり、岩と言い切る。では、その岩に上陸することはできるのだろうか。干潮時なら歩いて渡れそうな距離だが、

「うーん、容易にアクセスはできませんよ。地図だと近いように見えるでしょうが、西崎は岬ですから、海側は断崖。ここに降りることはできません。大潮の時にでも、大きく迂回して行けば……いや、やめた方がいいですね」(同)

週刊新潮WEB取材班

2019年6月14日 掲載

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