JALに「飲酒パイロット」が後を絶たないのは「組織風土の甘さ」が原因だった

 折も折、御巣鷹山の事故から34年というタイミングでの不祥事だった。JAL(日本航空)の副操縦士が乗務前に日本酒を飲んでいたことが発覚。昨年来、飲酒問題が引きも切らずに露見しているが、その根底に、かの会社特有の文化があるという。

 当の問題をJALが発表したのは、今月13日のこと。御巣鷹山の事故から34年が経ち、遺族らの慰霊登山が行われた翌日だった。

「赤坂祐二社長は12日、去年から相次いでいる飲酒問題を克服すると墜落現場で話していました。ですが、呆れるのは10日の時点で今回の飲酒問題が分かっていたこと。隠していたと指摘されても仕方ありません」(国交省担当記者)

 飲酒したのは、10日の鹿児島発羽田行きに乗務する予定だった副操縦士だ。

「昼食時に水と誤って日本酒を0・2〜0・3合飲んでしまい、乗務前の呼気検査で引っかかったとのことです」(同)

 国交省の担当者は、

「10日の17時に日本航空から電話で報告を受けています。今後、事実関係の解明に努めると聞いていますが、JALの飲酒問題は繰り返されている印象です」

 記憶に新しいのは昨年10月。イギリスで乗務前のJALの副操縦士から基準値の10倍のアルコールが検出され、現地警察に逮捕された。その後も、CAが乗務中に隠れてシャンパンを飲んだり、今年の4月には、上海発の国際線の機長から乗務前にアルコールが検出されるなど、ライバルのANA(全日空)に比べて、飲酒トラブルがやけに多いのである。

 進化し続ける航空機において、パイロットが自動操縦(オートパイロット)に頼る局面も多い。まさか酔っていても操縦は大丈夫とでも言い張るのだろうか。


■まるで禁酒令


 JALの元機長で航空評論家の小林宏之氏が言う。

「オートパイロットでは手作業はなくとも、判断力を要する場面は増えます。高度や速度は適切か、気流が乱れていないか。様々なことに気を遣い、トイレ以外でコックピットを離れることができません。オートパイロットがあるから楽、というわけではないのです」

 原因は別にあると、先の記者は指摘する。

「JALは2010年に経営破綻しましたが、金融機関からの借金5千億円強を棒引きしてもらうなど優遇措置を受けました。法人税も今年の3月期まで減免。国に守られているような状況で社員の意識改革が徹底できるか、疑問です」

 現役社員はこう証言する。

「昨年のイギリスの一件以来、国内、海外問わず、滞在先での飲酒はダメだ、と制限され、社内の飲み会も自粛を求められました。まるで禁酒令。飲めなかったストレスで乗務員に反動があったのかもしれません」

 厳しい規制が逆効果となってしまったようだ。というのも、

「乗務員の飲酒問題について、JALは社内処分がかつて緩かった。最近は厳罰化しているとはいえ、そうした組織風土の甘さが飲酒問題がなくならない原因のひとつではないでしょうか」(小林氏)

 飲酒に寛容なのもJALの文化か。そういえば、CAにはソムリエの資格を取っている者も多いとか。酒の上での失敗はご勘弁願いたいのだが……。

「週刊新潮」2019年8月29日号 掲載

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