【京急脱線事故】わずか2日後に復旧 「#がんばれ京急」ハッシュタグがトレンド入り

記事まとめ

  • 京浜急行電鉄の横浜市の踏切で列車とトラックが衝突しトラック運転手が死亡、33人軽傷
  • 京急は川崎駅〜横浜駅間の上下線の運転を見合わたが7日午後1時半ごろに運転を再開した
  • 鉄道ファンや沿線住民にとって、京急は『なかなか止まらない電車』として有名だという

京急脱線事故、わずか2日後に復旧の離れ業、鉄道ファンの間で有名な“社風”とは?

■「輸送確保が鉄道会社の使命」


 今も多くの関心を集め、報道も行われている京急脱線事故。きょう7日に撤去作業などが終了し、午後1時半ごろに運転が再開された。同社のTwitterは午後1時22分に「京急川崎駅〜横浜駅間の上下線の運転を見合わせています」から「ダイヤが大幅に乱れています」に変わった。

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 改めて事故を振り返っておく。5日午前11時40分ごろ、京浜急行電鉄・本線の横浜市内の踏切で、下り快特列車と13トントラックが衝突した。先頭車両などが横倒しになり、現場では黒煙もあがった。この事故の結果、トラック運転手(67)が死亡し、乗客33人も軽傷を負った。

 京急は神奈川県の三浦半島や横浜市、都内大田区、羽田空港といった沿線地区と都心を結ぶ大手私鉄だ。17年度に輸送した人員は約4・7億人にものぼる。今回の事故により、京急川崎駅〜横浜駅間の上下線の運転が見合わされることになった。

 その影響も計り知れなかった。神奈川新聞(電子版)は5日、「帰宅ラッシュ直撃 県内事故多発『不安』『早く復旧して』」の記事を掲載した。横浜駅や川崎駅は大混雑となり、情報不足から京急の駅員に詰め寄る乗客もいたという。鉄道を担当する記者が解説する。

「実は鉄道ファンや、沿線住民にとって、京急は『なかなか止まらない電車』として有名でした。例えば2018年9月に台風24号が上陸し、首都圏の鉄道各線が運転を見合わせる中、京急は終電まで走り続けたことはSNSなどネット上で大きな注目を集めました。今でも検索エンジンに『京急 伝説』と入力すると、どれだけ運休にならない私鉄かを説明するサイトが、いくつも表示されます」

 日本経済新聞(電子版)は16年11月、「京急が遅れないワケ 手作業の運行に強み」の記事を掲載した。

 記事では、京急の遅延トラブルが少ないことを指摘。16年8月22日に台風が上陸した際、京急社内では「都営地下鉄に迷惑をかけるな。京急のプライドを見せろ」と大号令がかかったという。都営浅草線に乗り入れない電車を運休とすることで、ダイヤの乱れを最小限に防いだというエピソードが紹介された。

 朝日新聞は13年2月、「ニュースQ3)大雪警戒、JR東だけ間引き運転 かえって大混乱」の記事を掲載した。

 2月6日、首都圏に雪が降るとの予報から、JR東日本は大規模な間引き運転を実施した。ところが降雪量はさほどでもなく、JRだけ大混雑が発生したことがあった。

 なぜ私鉄は通常運転を維持できたのかをレポートした記事なのだが、朝日新聞は記事の末尾を京浜急行担当者のコメントで締めくくった。引用させていただくと、《「出来る限り輸送を確保するのが鉄道会社の使命。間引き運転は最終手段だ」》というものだ。


■「#がんばれ京急」がトレンド入り


 最後は読売新聞オンライン。今年3月、「トラブルに強い! 同業者も驚くあの私鉄のスゴ技」の記事を掲載した。京急を《トラブル時も不通区間を最小に抑え、復旧までの時間が短いと評判》だと伝えた。

 その秘密を解き明かすという趣旨の記事には、同社の運転課長が登場。信号やダイヤ作成などの業務で、人間の手作業を意図的に残したことがトラブルに強い理由と説明している。

 手作業は時間がかかる。《時刻表通りに列車が運行している限りは、コンピューターは優秀でしょう》としながらも、トラブル時には人間の臨機応変な対応こそが、“傷口”をできるだけ小さくすることができると説明している。

「『トラブル時こそ、お客さま第一の姿勢を取る』という京急の社風は、広報対応にも現れます。鉄道会社に限らず、大規模な事故が起きて損害を被った企業は、『復旧は未定』と説明することが少なくありません。それが一番無難なのでしょうが、利用客への情報提供という観点からすると、不親切と言わざるを得ません」(同・鉄道担当記者)

 京急の場合、5日に踏切事故が起きると、その日の夜に開かれた会見で「6日夕のラッシュ時間帯までの運転再開を目指す」と発表した。

「残念ながら、それは現実のものとはなりませんでした。その後、公式サイトで『7日始発までの運転再開』と改められました。勇み足という声もあるでしょうが、京急が『1日でも1時間でも早く復旧させる』という強い意思を持っていることの証左でもあります」(同)

 ツイッターでは「#がんばれ京急」のハッシュタグがトレンド入りした。多くの日本人が、夜を徹して復旧にあたる京急を応援したことが分かる。

「京急は横浜から品川まで、JRと並行して走っています。三浦半島を通る沿線では圧倒的なシェアを誇りますから、せっかくの乗客をライバルであるJRが通る横浜駅で乗り換えられることは避けたい。そのため、少々のことでも運休にせず、何が何でも走り続けるという社風が誕生したのだと思います」(同)

 利用客にとっては理想的な私鉄というわけだが、その一方で、時事通信は9月6日、「ブレーキ操作、適切か確認へ=京急事故の脱線列車、踏切前止まれず−運送会社を捜索」の記事を配信した。

《脱線した事故で、男性運転士(28)が現場手前に設置されている信号に従って直ちに非常ブレーキをかけていれば、列車が踏切前で停止できた可能性があることが6日、京浜急行電鉄への取材で分かった》

 やがて捜査機関もマスコミも、京急にも問題がなかったか、捜査や取材を加速させることになる。

週刊新潮WEB取材班

2019年9月6日 掲載

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