登山シーズン到来・警察も頼る民間遭難者捜索サービスをご存じですか

 秋晴れの空が広がる10月は、登山に絶好のシーズンである。だが、アウトドアブームとともに山岳遭難の数は増え、年間2661件(平成30年)と10年前の1・5倍にものぼる。

「山岳遭難の場合、捜索に時間が掛かることもあって登山者が亡くなってしまうケースが1割近くになる。遺体が見つからなかった場合は“失踪者”となり遺族は7年間、相続財産や保険金を受け取ることも出来ません」(日本山岳会の幹部)

 そんな山岳遭難のリスクを、激減させるサービスがあるのをご存じだろうか。

 8月1日、富山県黒部市の清水(しょうず)岳で1組の夫婦が遭難したと通報があった。だが、ヘリを飛ばした富山県警は発見できずじまい。そこへ、家族からある情報がもたらされた。夫婦が民間の遭難者捜索サービスに入っていると言うのだ。翌日、受信機を搭載したヘリが再び現地に飛ぶと、わずか15分で夫婦を発見、無事に救出となった。この、遭難者捜索サービスが「COCOHELI(ココヘリ)」である。

 ココヘリは福岡の「オーセンティックジャパン」というベンチャー企業が手掛けており、現在約2万5千人の会員がいる。費用は1年で3650円(税別)で手続きをすると名刺の半分ぐらいの大きさの発信機付き会員証が発行される。山へ入る際、家族に伝えるのと合わせて、登山届に会員ナンバー・IDを記入しておくと、遭難した際にオーセンティック社契約のヘリ会社が3回まで無料で捜索チームを派遣してくれる。位置が特定されると、連絡を受けた警察などのレスキュー隊が救助に向かう仕組みだ。富山のケースのようにオーセンティック社から受信機を借りた警察が直接、捜索・救助に向かうこともある。

 注目すべきはその実績で、この1年で23件の捜索要請に対して22件が解決していることだ(※1件は会員証の不携帯)。その精度から、これまで30以上の都道府県で警察や消防が受信機を導入している。同社に聞くと、

「当社の創業者はパナソニックグループの出身で、コードレス電話の子機の紛失防止機能を遭難者の捜索に応用できないかとサービスを考え付いた。それもあって、『ココヘリ』はパナソニックの通信技術をベースにしているのです」(担当者)

 日本の登山人口は約1千万人。安全な山登りに対するニーズは、まだまだ多い。全国の警察・消防で導入するべきだろう。もっとも富山のケースのように登山者が入山の前に家族に知らせたり、登山届を出しておかないと意味がないが……。

「週刊新潮」2019年10月3日号 掲載

関連記事(外部サイト)