山口組抗争の不安が的中…群馬・傘下の暴力団事務所に「火炎瓶」の衝撃映像

 街中で火炎瓶が炸裂して火の手が上がる。香港でお馴染みの光景が、北関東の地方都市で展開された。しかも、襲われたのは指定暴力団傘下の組事務所。本誌(「週刊新潮」)はその一部始終を記録した防犯カメラ映像を入手したが、斯様(かよう)な事件は今後も各地で起こる危険性が高いという。

 まずは掲載の写真をご覧いただきたい。閑静な住宅街を通る市道に、突如として現れた1台のバイクが、迷うことなくターゲットに定めた建物の前に停車した。直後、バイクに跨(またが)った人物の右手からは、建物へと火炎瓶が勢いよく投げつけられ、パッと閃光が走ったかと思うや、周囲は一瞬で火の海と化した。

 驚くべきは犯行に及んだこの人物。まったく怯む素振りをみせないどころか、バイクの前カゴに手を伸ばし、火炎瓶をもう1本、さらに1本と間髪を入れず計3本も投げつけたのである。ここまでにかかった時間は僅か20秒ほど。再び件のバイクは、一目散に走り去り闇に紛れてしまったのだ。

 この衝撃映像が撮られたのは、今月4日午前4時頃のこと。現場は群馬県太田市にある「6代目山口組」傘下の暴力団事務所だった。

 社会部記者によれば、

「事務所関係者の110番を受け、すぐさま所轄の太田署員が駆け付けました。襲撃を受けた建物の外壁は一部が黒く焼け焦げ、ポストにあった新聞も燃えていた。付近には布が押し込まれた瓶の口や破片が散らばっており、県警は何者かが火炎瓶のようなものを投げつけたとみて捜査を始めると同時に、周辺の警戒警備を強化しています」

 太田市といえば自動車産業が盛んな街で、現場近くにはSUBARU(スバル)の矢島工場がある。約3千人の従業員が働いており、敷地内の国内外から見学者を受け入れる展示施設が人気を博す。


■近所に潜む「火薬庫」


 人通りの多い昼間に火炎瓶が投げられていたら、住民はもちろん市外から訪れた一般市民までもが火の海に包まれて、巻き添えを食っていたかもしれない。

 本誌は10月10日号で、このような暴力団の抗争が起こる可能性のある要警戒地域を、ハザードマップの形で紹介した。

 あなたの近所に潜む「火薬庫」を明示して、日常生活への警鐘を鳴らすものだったが、実は今回の事件現場となった太田市も危険エリアに含まれており、住民の不安が的中してしまった格好である。

 いったい誰がこのような暴挙を企てたのか。ひとつは今回の事件が起きたタイミングである。

 最大の要因は、今月18日にも府中刑務所から「6代目山口組」ナンバー2の高山清司若頭が出所することが挙げられる。

 ことの発端は4年前に遡る。日本最大の指定暴力団「山口組」が、「6代目山口組」と「神戸山口組」に分裂し、さらに2017年には「神戸山口組」を割って出た幹部らによって「任侠山口組」が結成され、全国で抗争が繰り広げられてきた。そこに今回、“大物中の大物”が出所することによって、一気に緊張が高まっているという。

 犯人が逮捕されていないので明確な関連性は定かではないものの、ここ2カ月の間に、全国各地で“三つの山口組”に絡んでの銃撃事件が幾つも起こっている。

 直近では、9月29日に今回の現場となった群馬の隣県である埼玉は飯能市で、暴力団幹部と間違えられたとされる一般人が住宅街の路上で撃たれて重傷を負っている。

 暴力団に詳しいジャーナリストはこうも言う。

「火炎瓶を投げつけられた群馬の暴力団は、山口組の分裂後は、6代目傘下にいましたが、18年に神戸山口組側に移籍、今年になって再び6代目側に移籍したという事情を抱えています。そうした経緯が遺恨を生み抗争の原因になる一方、この組は地元の半グレ組織とも対立していた。火炎瓶を使った荒っぽい手口から、そちらの犯行ではないかとする見方もあり、今後も同様の事態が起こる可能性は充分にあります」

 すでに当局は全国で臨戦態勢を敷いているといい、まだまだ油断は禁物である。

「週刊新潮」2019年10月17日号 掲載

関連記事(外部サイト)