ラグビー「日本VSスコットランド」を観戦後、「電通」局長が暴行容疑で逮捕の大失態

ラグビー「日本VSスコットランド」を観戦後、「電通」局長が暴行容疑で逮捕の大失態

メディア各社の「忖度」も…?

 ラグビーW杯はまだ終わってはいないけれど、10月20日、日本代表は決勝トーナメントで南アフリカ戦に敗れ、その日程を終えた。ベスト4入りは叶わなかったが、歴史的な快進撃に日本中が盛り上がり、念願のベスト8入りを果たした――。

 日本代表には感謝しかないが、その運営側である電通には、ひとこと言いたい人は多いようだ。なにせ、大会の最中に、逮捕者まで出して、盛り上がりに水を差していたのだから。

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 事件は10月13日、ラグビーW杯で決勝トーナメント入りを賭けた日本VSスコットランド戦が行われた横浜国際競技場の敷地内で起こった。

 この日は、台風19号の影響で、朝まで試合開催が危ぶまれていた。後日、ラグビーの国際統括団体ワールドラグビーのアラン・ギルピン会長が、スタッフに向けて感謝の言葉を述べている。

「どのような試合でも準備は大変だが、あの試合は前日からスタッフは横浜入りし、開催実現に向けて大きな努力をした。夜明け前から会場を点検するなど、裏方スタッフの努力や献身がなければ実現しなかった。試合をしたいという、みんなの強い意志が後押しした」

 スタッフの必死の努力で開催された試合だった。言うまでもないが、この試合で日本代表は、激戦の末28-21でスコットランドに勝利し、史上初のベスト8入りを決め、決勝トーナメントに進出した。

 勝利を決めた、直後のことだ。22時15分頃、酒を飲みながら観戦していた大手広告代理店「電通」の吉野純・新聞局長(51)は、まるでスクラムを組むように観客誘導用の柵に向かって体当たり。柵をズラして、前の人を追い抜こうとしたらしい。それを見かねたアルバイトの警備員(大学3年生)から注意されると、大学生を平手打ちしたという。そばにいた警察官に取り押さえられ、暴行容疑で現行犯逮捕されたというのだ。

 電通と言えば、今回のW杯では、国内における全てのマーケティング・セールスを担当。同社の石井直会長(顧問)は大会組織委員会の理事に名を連ねている。主催社のひとつといっても過言ではない。

 だからなのか、SNSでは、電通に対してこんな声が上がった。

〈電通ww。。態度のでかさ、品位は、ある意味ブレてないわね。だいたいこんなイメージで定着しつつあるわ。〉

〈何様???〉

〈電通は現代のお殿様…切り捨て御免…も許されると思っている??〉


■泣く子も黙る新聞局長


 吉野容疑者の「新聞局長」という肩書きは、新聞業界にとっては絶対的な地位だとか。関係者は言う。

「広告界のガリバーと呼ばれる電通の中でも、新聞局は別格です。新聞広告を扱う部署ですが、広告スペースを電通が買い取り、スポンサーを入れてくれるわけで、新聞社は頭が上がりません。そのトップである新聞局長は、社長になる出世コースといわれてきました」

 吉野局長もなかなかのやり手だったようだ。

「東京出身で慶應大学商学部を卒業して91年に電通入社。雑誌局などに配属されたこともありますが、ほとんどが新聞畑ですね。09年の箱根駅伝では、読売新聞が7社とコラボして、ソフトバンクの白戸家の犬が登場する『広告に、事件を。』キャンペーンを手がけ、読売新聞は新聞広告賞を受賞しています。電通グランプリも複数回受賞していますね。サントリーのハイボールを流行らせたCMにも関わっていたようです」(同・関係者)

 ゆくゆくは社長になるはずだった?

「いえ、新聞局長が社長になるという既定路線はなくなったみたいですね。現在の石井会長が、2011年に社長に就任した時は、戦後初めて新聞局長ではなく営業畑から社長となったことが話題になりました。その後、女性新入社員の過労自殺の責任を取って石井社長が引責辞任した後を受けた、現在の山本敏博社長も新聞局出身ではありません」(同・関係者)

 まさか、社長への道が途絶えて不満が爆発?

「それでも出世コースであることに違いありません。今でも地方紙などは、“東京の電通さんから新聞局長さんが来てくださった”と記事にするほどですからね。一般読者にはなんの関係もありませんが」(同・関係者)

 吉野が新聞局長兼日本開発室長に就任したのは昨年1月。春になると新聞局長の全国行脚が始まり、訪問した新聞社は“本社来訪”として記事にしている。新潟日報(3月15日付)、中国新聞(4月10日付)、秋田魁新報(4月21日付)、愛媛新聞(5月15日付)、下野新聞(6月7日付)、福島民報(7月28日付)、東奥日報(8月3日付)、熊本日日新聞(9月7日付)、愛媛新聞(10月12日付)……といった具合で、まるで水戸黄門の全国行脚のようだ。中にはインタビューまで掲載されることも。

「そういう意味でも、新聞局長の逮捕をどう扱うか悩んだ社は多いと思いますよ。逮捕は13日夜ですが、14日の朝刊に記事は掲載されず、吉野が釈放された15日は休刊日。新聞がようやく記事を掲載したのは16日でした。電子版では15日に共同と産経が記事にしましたが、それでも遅い。果たしてそれが、快進撃を続ける日本代表のニュースに水を差さないためだったのか、電通への忖度だったのかは不明ですけど」(同・関係者)

 それはテレビも同様だった。TBSでは、15日のTBS「ひるおび」内の「JNN NEWS」で新聞局長の顔まで映し出されたが、フライングだったのか、その後はパタリと消えた。フジテレビが「FNNニュース」で報じたのは16日のこと。

「一応、本人は大学生を『叩いていません』と容疑を否認しているようですが、大勢の観客が目撃しているわけですからね……。酔っ払った勢いとはいえ、彼を知る人たちは、彼なら十分あり得る話と口を揃えているそうです。吉野さんは、あの会社にありがちな体育会系で、慶應大ではアメフト部だったそうです。そういえば、慶大アメフト部は部内の不祥事で、15日に無期限活動自粛を発表していましたね」(同・関係者)

 なんの因果か、16日にようやく掲載された「新聞局長逮捕」の記事は、彼の所属した「慶大アメフト部 無期限活動自粛」の記事の隣に掲載されていた……。

週刊新潮WEB取材班

2019年10月27日 掲載

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