武蔵小杉「高級タワマン」資産価値低下が気になって仕方ない住人たちの嘆息

武蔵小杉「高級タワマン」資産価値低下が気になって仕方ない住人たちの嘆息

急速発展の反動?

 今日をどう生き延びるかという喫緊の課題にある程度の見通しが立つと、気になるのは将来の話。台風19号に被災したタワマン住民は、我が家の資産価値がどうなるのかハラハラしているという。

 武蔵小杉は、近年、住みたい街ランキングで上位の常連となっている。JRと東急の複数の路線が乗り入れ、横浜駅と渋谷駅までともに11分という抜群の交通利便性に加えて、都心からほどよく離れた自然の豊かさも街の売りのひとつだ。

 こうした環境のもと、「50年安心」といったフレーズを惹句にタワマンが次々と建てられたわけだが、今回、浸水被害を受けたことでその「安心」に疑問符が付いてしまった。しかも、武蔵小杉駅は混乱し、大行列ができた。被害に遭った当該マンションはもちろんのこと、街そのもののイメージダウンにつながった面は否めまい。実際、武蔵小杉にある不動産業者が、

「浸水被害を受けた地域の方が、『もうここには住めない』と、新しい部屋を探しにやってきていて、私どもが管理している物件は満室状態になっています。川べりの物件は敬遠されていて例外ですが……」

 こう言うように、すでに武蔵小杉における「不動産混乱」が始まっている様子で、タワマンの資産価値低下も必至のことに思えるのだ。例えば、被害が深刻だった47階建てのタワマンは、

「中層階の2LDK、約100平方メートルの角部屋が8千万円ほどといった価格帯ですが、早くも住民の中には『売却価格が1戸あたり10%下がったとすると、タワマン全体で約40億円を失う計算になる』と言っている人がいた。資産価値の低下が気になって仕方ないようです」(武蔵小杉を取材した大手メディア記者)


■「インフラ整備の問題点」


 先とは別の武蔵小杉周辺の不動産業者は、

「東京都心にすぐに出られて、タワマンが林立する近未来的都市の魅力で売る武蔵小杉の人気は、そう簡単に落ちないでしょう。武蔵小杉を避ける動きは、一過性で終わると思います」

 と、街の底力を分析し、タワマン住民を安心させてくれるのだが、他方で、タワマン事情に詳しい住宅ジャーナリストの榊淳司氏は、

「自殺者が出るなどのいわゆる事故物件の資産価値は、その地域の相場より2割ほど下がる傾向があります」

 と指摘した上で、こう予測するのだった。

「武蔵小杉の街は、タワマンと駅前のショッピングモールを中心に急速に『オシャレな街』として発展しましたが、下水処理の方法が生活排水と雨水を同じ管で流す『合流式』だったりして、インフラ整備が追い付いていない問題点が明らかになりました。タワマン住民も安値で売るのに抵抗して頑張るため、すぐに値下がりは表面化しないでしょうが、数年後には2割ほど資産価値が下がっていると思います」

 住みたい街の価値をも一変させようとしている――。改めて、台風19号の「負の価値」の大きさを思い知らされる。

「週刊新潮」2019年10月31日号 掲載

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