山梨小1女児行方不明 SNSで犯人扱いされる「母親」が明かした苦悩

【山梨県で小1女児不明】SNS上で犯人扱いされる母親が重い口を開いて苦悩を告白

記事まとめ

  • キャンプ場で小1女児が行方不明になった事件で、SNS上では母親が犯人扱いされている
  • 母親がインスタグラムで自分の職場のハッシュタグをつけたことなどに、批判が集まった
  • 母親は重い口を開き、ハッシュタグをつけたことが宣伝目的ではないことなどを語った

山梨小1女児行方不明 SNSで犯人扱いされる「母親」が明かした苦悩

山梨小1女児行方不明 SNSで犯人扱いされる「母親」が明かした苦悩

小倉美咲ちゃんの捜索情報提供を求めるチラシ

 山梨県のキャンプ場で、小1の小倉美咲ちゃん(7)が神隠しに遭ったかのように姿を消してからおよそ1カ月半。母の苦悩は深まるばかりと想像されるが、SNSをはじめネット上では、母親は応援されるどころか激しく攻撃され、犯人扱いまでされているのである。

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 10月12日、伊豆半島に上陸し、東北地方へ抜けた台風19号は、山梨県道志村の椿荘オートキャンプ場も容赦なく襲った。そこに通じる林道は陥没し、さらにキャンプ場内は、沢が氾濫したうえに斜面が崩落し、大量の岩や土砂、倒木が流れ込んで、原型をとどめていない。秋のキャンプシーズンを迎えても、再開のメドは立たないという。

 ここで行方不明になった千葉県成田市の小学1年生、小倉美咲ちゃんの滂沱の涙のようだ、などと感傷に浸るつもりはないが、彼女の足跡も、必死の捜索のあとも、すべて消し去った激しすぎる雨は、天の仕業にしても無慈悲にすぎる。

 一方、この雨以上に無慈悲な仕打ちがいま、主にインターネット上で美咲ちゃんの家族に向けられているのだが、それについて述べる前に、まずは美咲ちゃんが行方不明になるまでと、なってからを、簡単におさらいしておきたい。

 9月21日、キャンプ場には7家族27人が三々五々集まった。美咲ちゃんが2歳上の姉とともに、母とも子さん(36)運転の車で到着したのは12時15分。父の雅さんは仕事の都合で翌朝から参加予定だった。13時に天ぷらそばを食べると、子どもたちはテント近くの森で遊んだという。

 15時半ごろ、おやつのチョコバナナを食べ、15時35分、先に食べ終えた子どもたち9人が沢に遊びにいったが、美咲ちゃんはおやつを食べ終わるのが遅かったため、5分ほど遅れて追いかけた。このとき、とも子さんはテントから少し離れた場所から、角を左に曲がる娘を見送ったが、美咲ちゃんが目撃されたのはそれが最後になってしまった。

 その10分後、大人たちが子どもたちを迎えにいった際、美咲ちゃんがいないことに気づき、周囲を探しても、テントのなかを確認してもいないので、17時ごろに警察に連絡。22時に警察と消防がその日の捜索を終えたのち、午前1時半に雅さんが到着し、友人たちと一緒に3時ごろまで捜索を続けたという。

 翌日以降は周知のように、県警や地元の消防団に自衛隊も加わり、東西15キロ、南北8キロにわたってのべ1700人で探し、捜索ボランティアも必死に活動してきたが、いまなお手がかりさえ見つかっていない。地元で取材する記者は、

「警察は事件と事故両面の可能性をにらみ、大規模な捜索が16日間で終わってからは、聞き込みを続けています。ただ、あの山に美咲ちゃんがいる可能性は低いでしょう。彼女がいなくなったのは、わずか20分の間で、周囲にはちょろちょろと流れる沢しかなく、下流に流されるなど考えにくい。それでも、下流の道志ダムまで自衛隊が捜索したのに、遺留品のかけらも見つからないのだから、本当に不思議なことが起きた、という感じなんです」

 と語る。いずれにせよ、両親の胸中たるや、想像するに余りあるが、この1カ月半、きっと夜も寝られなかったであろう美咲ちゃんの親に、ネット上では厳しすぎる仕打ちが向けられていた。


■インスタにハッシュタグ


 最初は9月25日、とも子さんが更新したインスタグラムがきっかけだった。そこには馬の写真に、

〈私のことは心配しないでください〉〈寒くて、暗くて、不安で、お腹も空いている辛くて苦しい美咲から比べたら全然大丈夫ですので〉

 などと書き添えられていたが、とも子さん経営のトリミングサロン名も書かれ、そこにハッシュタグがつけられていた。

 ハッシュタグとは半角の#のことで、SNSでは冒頭にこれをつけると、見る側がその語に関連する情報を検索できる。これがネット住人から、

〈こんな事態なのに、捜索のボランティアの方が乗ってきた馬の写真を撮ってインスタにアップするなんて普通の神経じゃないです〉

〈こんなときにインスタで自分の職場のハッシュタグつけてる場合じゃないでしょ。宣伝かよ〉

 などと批判を浴びてしまったのである。

 一度食いつくとスッポンのように放さないのが、この手のネット住人のタチが悪いところで、次に標的になったのは、美咲ちゃんの写真に関してだった。

 くだんのキャンプ場で両親が記者会見に応じた9月30日、美咲ちゃんの写真が初めて公開された。ただし、キャンプ当日に撮られたという3点の写真の公開は2日後であった。これにも、

〈24時間見つからなかった時点で、公表すべきではないだろうか。人権とかより安全確保のはずなのに〉

〈小出しにする意味があるのかな?〉

 などと疑問が投げかけられた。さらには両親の会見も標的になり、

〈うーん…涙流れてなかったぞ〉

〈泣いてるのに涙が出ない不具合発生〉

 などと、とも子さんが叩かれたのにとどまらず、

〈母親顔出しインタビューで、父親顔出しNGインタビュー。すごく違和感を感じた。別居してる?〉

 とまで言われる始末。そして、日を重ねるごとにバッシングの度は増していった。この問題のウォッチャーが説明する。

「ネット上ではウソかマコトか、キャンプはSNSで知り合った人たちのオフ会だと決めつけられ、だったら事件が起きても不思議ではない、という主旨の書き込みが目立ちはじめました。また、キャンプの参加者が誰一人メディアに登場しておらず、キャンプ場での美咲ちゃんの様子について、とも子さんの証言しかないことから、そもそも美咲ちゃんはキャンプ場に行っていないのではないか、という疑問すら、いくつも投げかけられたのです」


■募金にも噛みつく


 とも子さんが時々更新したインスタグラムの投稿のなかで、その後、特に噛みつかれたのが10月20日付のもので、主に以下の2点についてだった。一つは、

〈全国にいる私の友達が募金活動を始めてくれたり〉

 という文言。続いて、

〈友達を家に呼んで、私の髪を娘と同じ髪型に切ってもらいました。チラシを配ったり呼び掛けをしたときに娘と同じ髪型だと声をかけやすくするためです〉

 という箇所である。先のウォッチャーは、

「募金は10月14日、とも子さんの大阪の知人が始めたのですが」

 と言って、続ける。

「その呼びかけに、とも子さん自身もお願いのコメントを載せていたために批判を浴びて、〈過去に子供が行方不明になって、その親が募金活動していた例なんて、なかったと思うけど〉などと叩かれました。それに募金の目的が〈捜索を続ける活動費〉〈捜索プロへの捜索費用〉のほかに、〈美咲ちゃんが見付かってからの活動費(体、心の治療費)〉とされている点も、意味不明だとしてバッシングの対象に。さらには、10月21日にとも子さんがインスタグラムで募金について、〈美咲が見付かったら全額台風被害に苦しんでいる方々へ募金するつもりです〉と書いたから、〈使用目的が違ってきて詐欺に当たる〉とまで指摘されたのです」

 結果、募金は130万円余りに達したところで中止された。一方、髪を切ったという話に対しては、

「10月21日、髪を切り明るく染めたとも子さんの顔がネットに流れると、〈小倉とも子さん、こんな時に美容院って〉〈募金まで募っているのにお金使ってカラーリングって〉などと、また叩かれたのです」(同)

 ついには、秋田で実娘を殺した畠山鈴香と同列視するような書き込みさえ、複数登場する始末であった。


■とも子さんが重い口を開き…


「いまは取材を差し控えさせていただきたいんです」

 と口を開くのは、当のとも子さんである。理由を尋ねると言葉少なに、もうネットを炎上させたくない、という旨を語った。ハッシュタグをつけたのも、

「宣伝目的ではない」

 また別居疑惑も、

「家を買ってから、ずっと一緒に住んでいます」

 苦悩を浮かべるとも子さんの代弁をするのは、夫の雅さんの姉である。

「雅が顔を出さなかったのは、会社の方々や顧客に迷惑をかけたくないから。だからインスタなどで顔を出していた母親だけにしたんです。ネットで母親が批判されているのは本当につらい。2人の娘に愛情を注いできたのに、父親がいないときにこんなことになって、責任を感じて、ほとんど寝ずに警察の方々と一生懸命探し回っていました。ハッシュタグだって、心配して連絡してくださった友人やお客さんに自分のインスタがすぐわかるように、と思ってやったこと。一緒に行った家族も成田市の地域の集まりで、そのなかで仲がいい家族とはこれまでもキャンプに行ったと言っていました」

 そして、こう漏らす。

「ネット社会って本当に怖いです。夫婦仲が悪いとか、母親が殺したとか、美咲はあの場所に行っていなかったとか、すべてウソ。世の中、暇人や冷たい人が多いんだと思いました」

 雅さんの父、すなわち美咲ちゃんの祖父は、

「明るく活発な子で、外で遊ぶのが大好きで、こちらにも家族でよく遊びにきていました。神隠しに遭ったようで、なにがあったのかわかりませんが、早く戻ってきてほしい。会いたくて仕方がないです」

 と語った。その心中を少しでも察するならば、ネットへの心無い書きこみなどできないはずだが。

「週刊新潮」2019年11月7日号 掲載

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