“私って友達少ないかも…?”32歳独身女性が孤独に打ち勝とうともがいて得た「気づき」

“私って友達少ないかも…?”32歳独身女性が孤独に打ち勝とうともがいて得た「気づき」

私が友達が少ない気がしたのは、要するにInstagramにアップできるようなキラキラした遊び方をしていないだけだったのだ(写真はイメージです)

 スマホはいつも枕元。目が覚めれば自然とSNSをチェックする習慣がついたのはいつからだろう。おそらく、まだガラケーでmixiをやっていた10年ほど前からかもしれない。Twitterは重要な情報も流れてくるが、ほとんどの人が匿名で登録しているため、ときには汚い言葉やネットスラングが飛び交って荒れ気味だ。一方Facebookは中高年男性の憩いの場。そしてInstagramは若者たちが「映え」を意識したある意味、見栄を張るツールだと個人的に認識している。

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■すぐ連絡を取れて「今夜飲もう」と誘える友達が何人いますか?


 私自身、一番使用するのはTwitterだ。次にFacebook。Facebookは主に仕事のために使用している。そしてInstagram。でも私の生活圏には「映え」るものが何もないので、せめてもの「映え」を、と思い、毎月淡々とネイル写真だけアップしている。

 ある連休中、きらびやかなInstagramの世界をスクロールしていくと大学時代の同級生たちが笑顔でどこかの観光地を旅行している写真をアップしていた。この同級生のAちゃんは卒業後に一度だけ取材協力者として会っただけで、それ以来会っていない。必修科目の多かった大学1年の頃に、教室で顔を合わせればそれなりに世間話をする程度の仲で、放課後や休日にわざわざ遊びに行った記憶はない。

 Aちゃんは家が遠い上、アルバイトも忙しそうだった。それでも合間を見つけて他の同級生たちとは遊んでいたのだと今はわかる。私は大学時代をバンギャル活動(ヴィジュアル系バンドの追っかけ)に捧げたので、同級生たちから合コンや遊びに誘われても「ごめん、その日ライブで行けないや」と断るばかりで、次第に誘われなくなった。

 もしかして私、友達が少ないかも……? 今すぐに連絡を取れて、何なら「今夜飲もう」と誘える友達は3人だ。他に、家庭の事情や仕事がシフト制だったりして、数週間前からなら予定を合わせて遊べる友達が3人。いずれもバンギャルや元バンギャルたちだ。気軽に遊べる友達は計6人。

 世間一般的にアラサー世代は何人くらい友達がいるのだろうか。Twitterのアンケート機能を使い、「現在、あなたにはすぐに連絡を取り合えたり、会って腹を割って話せたりできる友達は何人いますか?」という質問で調査してみた。選択肢は0人、1〜5人、6〜10人、11人以上の4種類をもうけた。

 結果、回答者数880名。1〜5人が62%で最も多く、ついで0人が32%、6〜10人が5%、11人以上が1%だった。なんだ、意外とそんなもんなのか、というのが正直な感想だった。私が特別友達が少ないわけではなく、平均的なのだと安堵した。むしろ、0人が3割を越えていることに社会問題的な闇を感じる。

 私が友達が少ない気がしたのは、要するにInstagramにアップできるようなキラキラした遊び方をしていないだけだったのだ。いつも友達と行くのは歌舞伎町のレモンサワーが100円で飲めるやかましい大衆居酒屋。その後、良い感じに酔ったところで女性も入れる良心的な価格のゲイバーというコースだ。

 先日は某入浴施設でお風呂やサウナ、アカスリを堪能した。盗撮の恐れがあるのでお風呂内にスマホを持ち込めないし、更衣室で写真を撮るのもマナー違反だ。また、休憩室は開けており、オシャレな作りになっているのだが、他にもお客さんがリラックスしたり仮眠を取ったりしているため、ワイワイと撮影するのははばかられる。故にInstagramにはアップできない、するとしたら外観くらいだろうか。

 その日のうちに誘って飲みに行ける友達は独身で都内近郊住まい、または既婚者だが子どもがいない。これが、子どもがいる友達だと変わってくる。まず、1カ月以上前から予約を入れる。子どもを預けたり、旦那さんの予定も考慮しないとならないからだ。

 そして、待ちに待った約束の日、支度をして家を出ようとした瞬間、「ごめん! 子どもが急に熱出しちゃったからリスケで!」とLINEが入ったり、妊娠中の友達からは「実は切迫早産で緊急入院になっちゃった」と、当日ドタキャンも少なくない。これに関してはどうしようもない。突然ぽっかりと予定があき、おとなしく家で仕事をして過ごしたりする。

 アラサー世代は結婚や出産、仕事も楽しくなってくる頃だ。私も一時期多忙により遊びに行けないことがあった。この世代は遊びたくても友達とタイミングを合わせられる機会が減ってくるのだ。しかし、実際会ってみると久しぶりな感じがしないのは普段から彼女たちのSNSをのぞいているせいだろう。


■「ワガママ」と「正しい甘え方」を混同していた


 また、最近は自分より10歳以上年上の40〜50代の友達(と呼ばせていただいてもいいのか恐れ多いが)が急に増えた。もともと、年上の人と一緒にいるほうが居心地が良い。自己分析をしてみると、これは幼い頃の体験に起因する。

 小学校の登校班で班長の優しい小6のお姉さんが大好きだった。小1の私と違い、二次性徴のため、お姉さんには私にはない胸の膨らみがあった。ある日、班長のお姉さんが名札にドラえもんのシールをつけていた。「そのシール見せて」と言って私はシールを見るふりをしてお姉さんの胸に名札越しにさりげなく触れた。私もこのお姉さんのような体つきになるのだろうか。記号としての女性を初めて意識した瞬間だった。

 私は一人っ子のため、人からワガママだと思われるのが物心ついたときからとても嫌だった。だから、地団駄を踏んで何かをねだった覚えがない。欲しいものがあってもじっと我慢するか、何かの偶然で買ってもらえるまで待っていた。

 今思い出した。スーパーのレジの奥の、商品を袋に詰める台の上に置いてあったガチャガチャ形式のガム。カラフルなまぁるい玉がとても綺麗でいつも見とれていた。あれを食べてみたかった。どんな甘い味がするのだろうかと想像していた。

 ワガママになってはいけない。ねだることができなかった。おそらく値段は当時10円前後だったと思う。我が家は特別貧しくはないし、むしろ地元では中の上にあたる暮らしをしていた。だから、経済的な理由で買ってもらえないことはないが、ただじっと見つめていた。

 母は購入した商品をせわしなくレジ袋に詰める作業で私がガムのガチャガチャを見つめていることには気づかない。そして、全ての商品を詰め終え、レジ袋をひっつかんで店を出ていく母を慌てて追いかけた。未だにあの丸いガムを食べたことはないが、おそらくケミカルでアメリカンな味のガムだと思う。

 ワガママと、人に良い意味で甘えることは違う。しかし、私はこれらを混同して育ち、正しい甘え方を知らないまま大人になってしまった。ワガママはただ、特別な理由もなく自分の要求を押し付けるだけの一方通行な主張だ。私は恋愛においてこのワガママを使ってしまう傾向があり、うまくいかないことが多い。

 作家の大泉りかさんの発案で、定期的にアラフォー女性がりかさん宅に食べ物やドリンクを持ち寄り「デンデラ女子会」なる飲み会を開催している。家庭がある方もいるので、たいてい1カ月以上前にみんなの都合を聞いて告知されることが多い。この会のメンバーはほとんどが仕事関係で知り合った方ばかりだ。アラフォー友達が増えたのは、私がライターとして活動し、それなりに交友関係が広がったのも理由の1つだろう。

 この中で私は最年少。少し頓珍漢だったり若さゆえの誤った考えを口にしてしまっても、若いからという理由で許され、そして優しく正しい道へ案内してもらえる。アラフォーの先輩たちに私は甘えているのだ。

 今は自由奔放に遊べる同年代の友達や甘えられるアラフォー友達がいるが、今後自分の状況が変わったらどうなるのだろう。もし、私が結婚したら家庭の事情を優先しなければならないこともあるだろう。また、結婚しなくても周りがほとんど既婚者になったり子どもができると、気軽に遊びに誘えない。歳を重ねるたび、友達が減っていくのは寂しい。しかし、そこを工夫して息抜きをしないと孤独という病に侵されてしまう。


■「正しい甘え方」は生きやすさにつながる


 今、心療内科で医師に話を聞いてもらったり、心理学の本を読んだりして勉強中だが、「正しい甘え方」は生きやすさにつながる。

 例えば、体調が良くないのに定時間際に上司から大量の仕事を明日までに仕上げてほしいと言われ、残業になってしまいそうなとき、甘え下手な人は無理して自分一人でこなす。でも、甘え上手な人は「こういう理由で残業になりそうです。体調も良くないので早く終わらせたいです。申し訳ないけど、もし手が空いていたら手伝ってもらえませんか?」と同僚などに交渉し、無事手伝ってもらえたらきちんとお礼を言ったり、その後その同僚が困っているときにフォローをしたりして助け合う。

 私も以前、かなりタイトなスケジュールの仕事の依頼が舞い込み、その仕事自体は楽しかったが、作業量が多い上、相場よりギャランティーが安かった。一度は飲み込もうと思ったが、お世話になっている編集者に相談すると、「ここはきちんと相場のギャラをもらいましょう」とアドバイスされた。そこで、自分の今の状況を説明し、ギャランティーの交渉を行い、無事上げてもらい、仕事もしっかりこなして納期内に終わらせた。

 これらの行為を心理学用語で「アサーション」と呼ぶ。私は知らないうちにアサーションを行っていたのだと主治医に知らされた。アサーションは「自分も相手も大切にする自己表現法」で、アメリカで生まれた。自分の状況と主張を説明しつつ、相手に納得してもらい、お互い配慮し合えるコミュニケーション方法だ。しかし、日本語にはこれに該当する言葉がない。

 友達の数の疑問から心理学にまで話が飛躍してしまったが、今後はワガママと良い意味での甘えを履き違えないよう、気をつけて歳を重ねていきたい。そして、もし友達との時間が取れにくくなったとしても、アラフォーの先輩方を見習ってたくましく生きていきたい。

 余談だが、今年の5月に亡くなった女優の京マチ子氏は、生涯独身を貫いた。事実上引退した後は、同じく独身で仲の良い女優仲間と同じマンションでのんびり暮らしていたという。もし、結婚できなくてもこのように仲の良い友達と近所で暮らすという余生の過ごし方がある。

 作家の雨宮処凛氏の著書『非正規・単身・アラフォー女性 「失われた世代」の絶望と希望』(光文社新書)には、「ババアシェアハウス構想」が登場する。雨宮氏がインタビューしたアラフォー独身女性のうちの一人の老後の妄想だ。簡単に説明すると、彼女は独身の老人女性が集まって楽しく暮らすシェアハウス、その名も「ババア御殿」の実現化を語っていた。もしかすると、京マチ子氏の晩年もこのババア御殿に近かったのかもしれない。

 大人になると友達を作りづらくなる、疎遠になってしまうと思われがちだが、それは自分次第だ。何かあったら助けてくれるのは甘えられる友達。せっかくのSNS時代なのでそれを駆使し、こまめに連絡を取り合い、ときには意見がぶつかったとしても解決に努め、一生友達付き合いを続けていきたい。

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【参考文献】
『アサーション入門 自分も相手も大切にする自己表現法』平木典子著(講談社現代新書)

 バックナンバーはこちら https://www.dailyshincho.jp/spe/himeno/

姫野桂(ひめの けい)
宮崎県宮崎市出身。1987年生まれ。日本女子大学文学部日本文学科卒。大学時代は出版社でアルバイトをして編集業務を学ぶ。現在は週刊誌やWebで執筆中。専門は性、社会問題、生きづらさ。猫が好き過ぎて愛玩動物飼養管理士2級を取得。著書に『私たちは生きづらさを抱えている 発達障害じゃない人に伝えたい当事者の本音』(イースト・プレス)、『発達障害グレーゾーン』(扶桑社新書)。ツイッター:@himeno_kei

2019年11月8日 掲載

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