最恐暴力団「工藤会」本部がついに落城…売却先企業を守る裏スキームが存在した

最恐暴力団「工藤会」本部がついに落城…売却先企業を守る裏スキームが存在した

JR小倉駅にも近い一等地

 日本で唯一、特定危険指定暴力団に指定されている「工藤会」。福岡県の北九州市に拠点を持つが、その本丸が遂に落城した。本部事務所は民間企業に売却、取り壊しが始まったが、そこには買い取りまでの裏スキームが存在したという。

 何台もの重機が轟音を立て、4階建ての本部事務所を容赦なく粉砕していった。

「解体されるのを見ると安心しますね。本部の前を歩くのは怖くて、なるべく避けて歩いていましたから」

 と、近所に住む40代の主婦が口を開けば、別の60代男性はこうも言う。

「問題はこの後だよね。いったいどんな連中が北九にのさばってくるのか。中国マフィアは、カバンを持った人の腕ごと斬ってひったくるって聞くから、残虐な連中じゃなきゃいいけど」

 なにやら物騒な話が出るのも仕方あるまい。何せ数ある暴力団の中でも、手投げ弾やロケットランチャーなどの重火器を蓄え、カタギの女性などにも危害を加える“最恐集団”として工藤会は悪名を轟かせてきた。

 県警は、5年前から総力を挙げて壊滅作戦を展開。地元の漁協組合長や看護師などが殺傷された事件に絡み、総裁の野村悟被告以下、ナンバー2の幹部らを次々に逮捕して、構成員はピーク時の半数以下の300名ほどにまで減ったという。

 県警担当記者によれば、

「今年10月、野村被告らの裁判が始まったのですが、死刑回避の情状酌量を狙ってか、昨年から工藤会側は事件の被害者遺族への賠償金に充てる名目で、本部ビルの売却を画策。最終的には1億円で売れ、解体費などを引いた売却益は約4千万円とされています」


■「県警OBが守護神」


 いったい、曰くつきのこの土地を誰が大枚はたいて購入したのか。表向きには公益財団法人の福岡県暴力追放運動推進センターが工藤会から一時的に買い取り、県内のとある民間企業に転売したと報じられている。

 さる事情通が明かすには、

「買い取った企業は、地元の北九ではなく、福岡市にある土木関連会社。工藤会をはじめ暴力団から足を洗った人間たちを再雇用する、警察の協賛企業だよ」

 件(くだん)の会社社長に尋ねると、

「そんな話は知らない」

 と嘯(うそぶ)くが、これには地元特有の事情があったと、先の記者が話を継ぐ。

「当初は北九州市が主導して、入札で売却先を決めようとしたのですが、案の定、工藤会と親しい市内の業者が手を挙げる動きがあった。そこで、県警が待ったをかけて独自に売却先を探したのです。企業名が事前に漏れれば、元組員たちから嫌がらせを受ける可能性もあり、監査役として県警OBが守護神につく、件の土木関連会社が選ばれたというわけです。実は解体業者も顧問に県警OBがおり、すべての過程で反社が手を出せないよう、県警主導で企業を守る裏スキームが構築されていたのです」

 年明けに所有権が移るが、跡地の利用法は未定のまま。

「極道が聖地巡礼と称して押し寄せてくる可能性もあるので、とてもマンションなどは建てられない」(同)

 と聞けば、北九に春が訪れるのはまだ先になりそう。

「週刊新潮」2019年12月5日号 掲載

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