街中で自動小銃! ついに始まった流血抗争の「流れ弾」危機

街中で自動小銃! ついに始まった流血抗争の「流れ弾」危機

高山若頭の「一声」で……

“大物中の大物”6代目山口組ナンバー2の高山清司若頭(72)が出所したのは10月18日。前後して、神戸山口組を狙った襲撃が相次いだ。そしてついに、街中で自動小銃がぶっ放される事態まで起きてしまった……。

 6代目山口組と神戸山口組の抗争は、極限状態に至っている。先月27日、兵庫県尼崎市の商店街で神戸側の古川恵一幹部(59)が射殺された。頭や胸、腹を十数発以上撃たれて“蜂の巣状態”である。

 現場には自動小銃と拳銃、薬莢15個と不発弾13発が残されていた。2日後に京都市内で逮捕されたヒットマンの朝比奈久徳(52)は、

「30発ぐらい撃った」

 と供述しているが、

「この自動小銃は、米軍が軍用銃として使用する『M16』系統です」

 と、銃器評論家の津田哲也氏が解説する。

「M16は米軍がベトナム戦争から導入した銃で、いまも正式採用されています。最大射程が500メートルと長く、短時間に連射できるのが特徴。威力が強く近距離で撃つと貫通してしまうため、致命傷にならない場合もありますが、流れ弾で他の人に被害が出るリスクも高まる。跳弾しやすいので、地面やブロック塀に当たって跳ね返っても殺傷力を持ちますからね」

 そのような、とんでもない銃が使われたのが尼崎の一件なのだ。

「残されていた不発弾は古く、しけていたと思われます。銃床の一部の欠損の仕方を見ても30年以上前のものでしょう。1992年施行の暴対法以前はマグロ漁船などの大型漁船で大量の銃器が持ち込まれるケースが多く、今回のM16もそんな一丁かもしれません。安東美樹が事件を起こした当時から持っていた銃という可能性も、考えられます」

 安東美樹。その筋で、伝説のヒットマンとして知られる男だ。2代目竹中組組長であり、6代目山口組では若頭補佐の要職にある。

 いまを遡ること三十有余年。80年代後半に山口組と一和会が衝突した「山一抗争」で、安東は功績を上げた。暴力団に詳しいジャーナリストが振り返る。

「暴力団関係者が25人死亡し約70人が負傷した、まさに血で血を洗う抗争のなか、警官が警備を固める一和会会長宅に突っ込んだのです。このとき安東はM16をぶっ放し、警官に怪我を負わせています」

 話を現在に戻せば、今回捕まった朝比奈が覚醒剤で昨年末に破門されるまで属していたのは、他ならぬ2代目竹中組。“親子”揃って同じ武器だったのである。


■幹部4人


「尼崎のようなえげつない事件が起きるのは、高山若頭の影響が大きい」

 と、先のジャーナリスト。

「彼は出所後、精力的に住吉会など様々な組を訪ね歩き、“外交”に余念がありません。6代目山口組との友好関係を盤石にするためです。その一方、“分裂は弘道会だけの喧嘩じゃないんだぞ”と、高山若頭が6代目山口組全体に向けて意思を表明したとされています。しかし実際のところ、この言葉は若頭が発したものではなく、“若頭はこういう考えに違いない”と周囲が忖度した結果なのですが」

 この“抗争指令”が浸透し、神戸山口組への襲撃という形になって表れているわけだ。それが証拠に、尼崎事件の朝比奈は逮捕後にこんな供述もしている。

「神戸山口組の“幹部”4人を襲撃するつもりだった」

 この意味を、ある暴力団関係者が解説する。

「神戸山口組には組長、副組長、若頭といった上層部の下に“幹部”という肩書が5人いる。朝比奈が尼崎で殺(や)った古川もそのうちの一人。朝比奈が尼崎の次に向かった京都には、幹部がいる。『雄成会』の高橋久雄会長だ」

 神戸側の幹部5人は、いま挙がった尼崎と京都のほか、熊本と札幌、姫路に拠点を置いている。

「朝比奈の犯行ではないが、11月中に二つの襲撃事件が起きた。18日に熊本の幹部が包丁で切りつけられ、19日には札幌で幹部の自宅にワンボックスカーが突っ込んでいる。殺害には至っていないものの、ともに、6代目山口組傘下の犯行だ。だからいま“未遂”なのは京都と姫路。近いうち、この地域で尼崎のような事件が起きても不思議はないな」

 山口組の元顧問弁護士で作家の山之内幸夫氏が言う。

「高山さんは外交のほか、内部の“人事”にも手をつけている。武闘派で、神戸山口組との抗争で功績のあった人を昇格させています。人事で内部を掌握し外交で外堀を埋め、神戸側を攻撃する。話をせず、力で押し切ろうということなのでしょう。神戸側の解散、上層部の引退まで犠牲が出続けるのではないでしょうか」

 かつて、山口組をめぐる抗争では、流れ弾で市民が犠牲になった悲劇もある。

 神戸山口組の本丸、神戸は言うまでもなく、もはや、抗争の流れ弾が市民を襲う危機は全国に広がっているのである。

「週刊新潮」2019年12月12日号 掲載

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