【いわき母子4人殺害】13歳で死を受け容れた被害女児の遺書の中身

【いわき母子4人殺害】13歳で死を受け容れた被害女児の遺書の中身

“一家”が命を落とした現場

 通報を受けて駆けつけた捜査員が黒いミニバンのドアを開けると、車内は文字通りの“血の海”だった。まだ中学生の子ども3人を抱える「母親」は、なぜ“内縁の夫”の道連れとなって死ぬことを選んだのか――。

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 1月22日未明、福島県いわき市にある水石山公園に停められた車のなかで、吉川美奈子さん(43)と息子の歩夢さん(15)、双子の娘・茅乃さん(13)、海音さん(13)の遺体が発見された。

「4人はシートに座った状態で首から血を流していた。微かに息があったのは、白目を剥いて運転席にもたれ掛かっていた男だけです」

 とは県警関係者。唯一の生存者は美奈子さんの内縁の夫(51)で、まもなく4人の殺害を認めた。

「車のそばからは燃え残った練炭の入った七輪も見つかっています。当初はこれで心中を試みたのでしょう。ただ、練炭では死にきれず、男が4人の首元に刃物を刺したようだ。その後に男は割腹自殺を図ったが、傷は腸まで達しておらず一命を取り留めている」(同)

 不可解なのは母子の遺体に“防御創”がないことだ。

「車内で練炭を焚いたものの、遺体から検出された一酸化炭素は意識を失うほどの濃度ではなかった。つまり、被害者には意識があったはずなのに抵抗した様子が窺えず、無理心中ではないわけです。中学生の子どもたちは死を受け容れて順々に殺されていったことになる」(同)


■娘の書いた“遺書”


 美奈子さんと内縁の夫は10年ほど前に知り合い、いわき市内の同じアパートで隣り同士の部屋を借りていた。

 ただ、近隣住民によると、

「彼は美奈子さんの部屋に入り浸りだったので、てっきり夫婦だと思っていました。美奈子さんから“結婚はしてないんです”と言われて驚いたほど。泣き声や悲鳴なんてとんでもない。彼と子どもたちの笑い声をしょっちゅう聞いたし、とにかく仲の良い“家族”にしか見えませんでした」

 子どもたちが通った中学校の校長は無念を滲ませる。

「歩夢君は高校に進学して自衛隊に入るのが夢でした。妹たちも礼儀正しく、まじめな性格。我々は母子家庭だと思っていました。お母さんから“家の用事で3人とも学校を休みます”と連絡があったのは事件の前日。当日はちょうど歩夢君の高校入試の願書を取り寄せる時期で、担任が放課後に電話しましたが繋がらなかった」

 美奈子さんの知人が言う。

「彼女自身も母子家庭で育ったので大家族に憧れていました。彼女には、籍の抜けていない旦那さんとの間に子どもがもう3人いて、全員が成人しています。最初の子は10代のうちに産んでいたんじゃないか。内縁の夫には離婚歴があって、子どもが3人いると聞きました」

 先の近隣住民も、

「2年ほど前に赤ちゃんを抱いた女の人が美奈子さんを訪ねてきたことがありました。別れて暮らす娘と孫だったんでしょうね」

 内縁の夫は「借金で生活が不安になって殺した。自分も死ぬつもりだった」と供述。歩夢君の進学費用が重荷となった可能性も否定できない。にしても、6人もの子宝に恵まれた母親は、10代の我が子にどうやって“一家心中”を説いたのか。

 母子の暮らした自宅からは双子の娘が書いたと思しき“遺書”も発見された。そこには友達への感謝の言葉が綴られていたという。

「週刊新潮」2020年2月6日号 掲載

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