小池百合子都知事に昭恵夫人に椎名林檎…新型コロナウイルスでつまずいたオンナたちの意外な“功績”?

小池百合子都知事に昭恵夫人に椎名林檎…新型コロナウイルスでつまずいたオンナたちの意外な“功績”?

小池百合子都知事

 ルー大柴みたいなカタカナ英語の連発。落ち着いた口調で時折手ぶりを交えながら語りあげる小池百合子東京都知事の会見、相変わらず自分の見せ方を心得ている。それにしてもビジネスアズユージュアルって初めて聞いた。寝耳にウォーターである。

 記念すべき東京オリンピック開催時の東京都知事。悲願の名誉と舞台を手に入れ、あとは開催を待つだけだっただろう。しかし新型コロナウイルスによって急転直下の事態を迎え、まさか自ら延期を言い渡すことになろうとは。ただし彼女は元女子アナかつ政界の渡り鳥という異名をとった政治家。使えるものは何でも使って自分の名を残すという野心はまだ折れていないはずだ。

 それが冒頭に挙げたようなカタカナ英語連発の会見である。「いわゆるオーバーシュート」と言われても使ったことがないのでわからない。単語だけ見るとサッカー用語かと思ってしまった。一般庶民に対してわかりやすい内容を心がけるより、英語が堪能な私を海外メディアにもアピールしたいという態度にも取れなくない。都民ファーストというより自分ファーストの匂い。そして延期になってもまだオリンピックへの色気は忘れない。ウイルス対策の指針となる「3密」を訴える啓発動画において、偶然なのか東京五輪のロゴカラーである藍色のジャケット姿だった。なんとも用意周到な自己PRの気配を感じてしまう。

 新型コロナウイルスに倒れた志村けんの訃報に際しては「功績」という言葉を使って批判を浴びた。改めて危機意識・当事者意識を促した、という意味で言いたいことはわからないでもない。でも元女子アナ・現政治家という「言葉のプロ」でありながら、いささか配慮が足りなかった気もするのは事実だ。上から目線が図らずもにじみ出てしまった瞬間だった。

 とはいえ今の鬱々としたムードの中、何をやっても批判の矛先が向きがちなことには同情する。程度の差はあれど、毎日の暮らしに不安と疲れを感じているのは都知事も同じだろう。かのファーストレディのように、無邪気にレストランでお花見でも楽しめればいいだろうけれど、それではさすがに都民に合わせるフェイスがないと思うのが自然ではないか。


■自身の身をもって自省を促す、2020年好きのたくましすぎるオンナたち


 ファーストレディという肩書きと特権も、一生に一度しか得られないかもしれない。しかも、誰もが得られる地位ではない。寄ってくる人間も金も、一般庶民の身とはケタ違いだ。だからこそ、今だけの特権を使えるだけ使い切りたいし、この特権があるうちは何をしても許される。そんな気持ちも生まれてしまうのかもしれない。無邪気なのか計算なのかはわからないが、いずれにせよこれだけの図太さというかたくましさがあれば、大抵のウイルスも逃げていくと信じたいものだ。

 時期を遡れば、東京でライブを決行した椎名林檎率いる東京事変も議論を呼んだ。ちょうど大阪のライブハウスを中心に感染者が出始めた時期だっただけに批判も大きかった。バンド結成の節目ともなるタイミングもあって決行したとされているが、椎名はオリンピック・パラリンピック開閉会式の総合プランニングチームの中心人物でもある。五輪の序曲としての意気込みもあったのではないだろうか。やはり、「オリンピックイヤーの今しかできないことをやってやる」という山っ気は少なからず見えた気がした。もちろん萎縮するライブ業界に一石を投じるため、人気も経済力もある自分が矢面に立つという正義感もあったとは思う。ただ、そこまでリスクを負って押し切ったにもかかわらず、結局オリンピックは2021年に延期された。今後の状況にもよるが、開閉会式には新型コロナウイルスとの戦いと勝利というメッセージも織り込まざるを得ないのではないか。今回の騒動に対する彼女なりの幕引きという意味では、どんな形で昇華されるのか見るのが楽しみである。

 三者三様、今しかない自分の「晴れ舞台」への強いこだわりを見せた女性たち。セルフプロデュースが上手で、衣装が話題になることが多いという共通点もある。いつも以上に自分に注目が集まるオリンピックイヤーという徒花に気を取られすぎて、未知のウイルスに足をすくわれるとは思わなかっただろう。

 でも彼女たちの強すぎる承認欲求が批判されることで、気ままな言動を控えるという自省を促したいい面もあったとも言える。そう、良薬は口にビター、もとい良薬は口に苦しという。ウイルスから身を守るには、彼女たちのように欲望に正直な人々を見て、自宅でただ苦虫を噛み潰しているのが一番。そう体を張って教えてくれているのかもしれない。

(冨士海ネコ)

2020年4月5日 掲載

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