コロナ休校延長、学力格差が広がる不安 11年前のインフル流行時は…

コロナ休校延長、学力格差が広がる不安 11年前のインフル流行時は…

教室で授業を受けられないと……(写真はイメージ)

 全国の学校では、2月下旬の安倍総理の唐突な休校要請以降、授業らしい授業はほとんど行われていない。そして、また1カ月。生じるのは、埋められない学力格差だという。

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「このひと月余り、子供ごとの学力差がかなり開いてきたという印象です」

 と、都内で公文式の教室を営む40代の女性が、心配顔で話す。

「黙っていても一人で学習を進められる子が、どんどん伸びるのはもちろん、子供を上手に学習に導ける家庭、親が丸つけをきちんとできる家庭の子も、学力を伸ばしています。反面、子供を放任している家庭、親が“勉強しろ”とガミガミ言うだけの家庭の子は、学力が目に見えて下がっています。みんなが等しく受ける学校の授業がないと、小中学生の場合、家庭の教育力によって学力にかなり開きが生じるようです」

 学習内容が高度になる高校生になると、問題は深刻さを増す。全国高等学校長協会会長でもある、都立西高校の萩原聡校長は、

「3月末までの臨時休校は、1年間の復習を中心に課題を出せばよかったのですが、新しい内容を学ぶ4月からは、課題を与えるだけでは難しいのです」

 と言って、続ける。

「新入生にとって高校の授業は、中学校の授業の延長ではありません。高校ではどのように勉強を進めていくのか、というオリエンテーションを行い、授業のなかでそれが身につくように、この先3年間の基礎を作らせる重要な時期です。課題を与えるだけでは身につかない部分がある。また3年生は、理科と社会を中心に、受験で必要とされる未履修の内容を学ぶ重要な時期なのに、授業ができないのは厳しい。仮に夏休みも授業をすることになると、自分で弱点を穴埋めする時間を確保できません」


■浪人が圧倒的に有利


 現に、2009年に新型インフルエンザが流行したときも、学力差は開いたと語るのは、駿台教育研究所進学情報事業部長の石原賢一氏である。

「あの年はGW明けに2週間程度、京阪神の学校が休校しましたが、8月ごろまでの模試で、京阪神の生徒の成績が、ほかの地域にくらべて極端に悪かった。6月に行われた駿台全国模試では、第1志望が東大で合格可能性60%以上と判定された人の地区別占有率が、近畿、中国、九州と、インフルエンザが流行った地域で落ちました。8月の東大入試実戦模試でも、成績上位者の地区別占有率は、東京の割合が対前年比1・3ポイント上昇したのに対し、近畿は1ポイント下落。現役のみのデータではさらに顕著で、東京は5・9ポイント上昇し、近畿は1・9ポイント下落。九州も1・7ポイント下がり、明らかにインフルエンザの影響で、学校が開いていないと学習は遅れるんです」

 むろん、今回は11年前の比ではない。

「学習への動機づけもできないまま休校になってしまったので、授業をいつ再開できるかで、地域間の差がかなりつくでしょう。しかし、6年のスパンでカリキュラムを組むため余裕があり、進度も速い中高一貫校は影響が少なく、首都圏と関西圏の公立高校が最も影響を受けると思います」

 のちに塾で補えばよいかというと、そうではなく、

「塾や予備校のカリキュラムは、高校での履修を前提に組み立てられていて、未履修部分の講義をしてくれるところはありません」

 そうであれば、自学自習が得意な生徒は成績を伸ばし、勉強の苦手な子は、さらに苦手になる。また、今年度の大学受験は、

「圧倒的に浪人が有利になるでしょうね。準備が遅れる現役に対し、浪人は一度入試を受けたうえで準備していますからね」

 この学年に生まれた不幸を嘆く若者が続出、という結果になりかねない。

「週刊新潮」2020年4月16日号 掲載

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