コロナまみれのホステスが向かった先は…「夜の街」バトルロワイアル

■税金ね〜、払ってないや


 コロナ禍に於いて、3密(換気の悪い密閉空間・大勢がいる密閉場所・間近で会話をする密接場面)の温床として早い段階から槍玉にあがっていたのが、クラブやキャバクラではないでしょうか。

 3月30日の小池百合子都知事の自粛要請にならい、多くのお店は臨時休業をしていました。しかし、ポツリポツリと何店かは営業をしていまして、それらの店からホステスやキャバクラ嬢への営業推進圧力なのか、「コロナで暇過ぎる、今何してるの?」なんていう営業LINEがどしどし届いたのです。

もっとも、根っから臆病者の私は3密回避のため、「ごめん、明日早い」とか「行けないけど、俺がいると思って頑張って」などと返信して誤魔化していました。もちろん、既読無視にすらならず完全スルーされるわけですが。

 そして4月7日、安倍晋三首相から緊急事態宣言が7都府県に発令されると、そのポツリポツリと営業していたお店も休業状態に入り、街の灯りはほとんど消え、ほぼゴーストタウンと化したわけであります。

となると、さらに様々なLINEが届くようになりました。

「仕事なくなっちゃったどうしよう、生きてけない」
「お金がなくて、なんにもできない」などなど。
こういった連絡をよこす方には「納税さえしていれば、都なり国なりからなんらかの補助が受けられるはずだから、まずは区役所に連絡してみたら」と返していたのですが「税金ね〜、払ってないや」ですとか「うちの店は取っ払いだし明細ないんだよね」なんて返事があったりしました。まあ、結果的に一律10万円給付で、彼女たちにはめでたしめでたしなのかもしれないですが、もう少し国民の義務について考えてもらいたいなというのが本音でございます。

 一方、「5月6日まで休業することになりました。もう一度自分を見つめ直し、今出来ることをして充実した日々を送りたいと思います」ですとか「良い休暇と考えて、今までしていなかった家事を頑張りたいと思います」ですとか、お金に関する記載が一切ないLINEを送ってくる方もいます。
少し意地悪に「お金は大丈夫なの?納税していればどうにかなると思うよ」といった返事をしますと「うちはママから“納税だけはしっかりしなさい、国民の義務なんだから”」と口を酸っぱくして言われてるので大丈夫です。周りの子たちもそう教育されてるので、有意義に与えられた時間を過ごすと思います」なんて、あっぱれな返信が返ってきました。


■結構、コロナの症状出てる子がいたんですよ


 その後そういう方々と世間話的なLINEを続けたのですが、
「『W』って知ってますよね。あの店、緊急事態宣言ギリギリまでやってたんですけど、結構、コロナの症状出てる子がいたんですよ。それでその子たち、お店が休業に入ったら、マッチングアプリ(出会い系サイトだったり、無店舗型キャバクラ)に登録して、地下に潜って営業している会員制バーとか客の自宅とかへ出張で行ってるみたいなんです。いくら稼ぎたいからって無茶苦茶ですよね」
 と、信じられない現実があることを教えてくれました。

「常識がなさ過ぎるね。怖い怖い」と返すとさらに、
「自覚とか常識なんてないですよ、お金さえ貰えれば良いと思ってる子たちだから。徳光さん(この原稿を書いている私です)も気をつけてくださいね、Wの子たちだけじゃなくても、そういう子がいるから」と、アドバイスをくれたのです。

 幸い私は先にも述べたように臆病者ゆえに、そういったアプリには登録していないし、しっかり引き篭もっているので出会う機会はないとは思いますが、その無自覚・無責任な行動に恐怖と怒りを感じた次第であります。

 今後、収束宣言がなされたとしても、夜の稼業の方々が日常を取り戻すというのは順番的に一番後回しになることでしょう。加えて、3密を幾日も避けてきたので、心理的に敬遠する方も多いと思います。一方で鬱憤を晴らす意味ではしゃぐ方もいるとは思いますが……。

 繰り返すようですが、夜の盛り場の“復興”への道のりは長く険しいものと思われます。もしかしたら、その在り方すら変わってしまう可能性もあります。しかしもう一度、立ち上がり笑いと艶を復活させてくださいましたら、巷好きとしては微力ながら応援させて頂きたく思います。

徳光正行
1971年12月生まれ。茅ヶ崎市出身。日本大学芸術学部在学中よりミュージシャンを目指すが、父の病により断念。その後、司会業やタレント業に従事する。また執筆活動にも着手し『伝説になった男〜三沢光晴という人〜』『怪談手帖シリーズ』などを上梓。4月27日には岩井志麻子氏との共著『凶鳴怪談』を出版予定。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年4月19日 掲載

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