コロナ感染者ゼロの「御殿場市」 100万円の休業補償をなぜ直ぐに決定できたのか?

静岡県の御殿場市、100万円の休業補償で注目 緊急事態宣言の翌日に休業補償を決定

記事まとめ

  • 新型コロナ感染拡大で緊急事態宣言が出された翌日、静岡県の御殿場市が休業補償を発表
  • 全国に先駆けた発表だったが、人口8万6954人の御殿場市は感染者ゼロ(3月1日時点)
  • 山梨県の富士吉田市は、全市民に一律1万円を給付することを発表している

コロナ感染者ゼロの「御殿場市」 100万円の休業補償をなぜ直ぐに決定できたのか?

コロナ感染者ゼロの「御殿場市」 100万円の休業補償をなぜ直ぐに決定できたのか?

御殿場駅(663highland/Wikimedia Commons)

 新型コロナの感染拡大で、緊急事態宣言を出された都市の飲食店は営業自粛を迫られている。4月8日、全国の自治体に先駆けて静岡県の御殿場市は、バーやキャバレー、ナイトクラブ等への休業要請を行い、協力する店舗には100万円を上限に売上を補償すると発表した。実を言うと、人口8万6954人(2020年3月1日現在)の御殿場市は感染者ゼロだという。この素早い対応が注目されている。

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 東京都は、ネットカフェやパチンコ店など休業要請を出した特定の業種に対して、「感染拡大防止協力金」の名目で休業補償を行うとしているが、政府が難色を示しているため、まだ見通しは立っていない。そんな中、御殿場市は緊急事態宣言の翌日に休業補償を決めたのだ。

「休業要請をしたのは、市民が新型コロナに感染するのを防止するためです。首都圏の方が御殿場のバーやキャバレーで飲んで感染が広まったら大変ですからね」

 と語るのは、御殿場市商工振興課の担当者。

「御殿場市は、新型コロナウイルス感染者は4月14日現在ゼロです。緊急事態宣言が近々出そうだと話題になった頃、感染する可能性が低い市内のスーパーマーケットに県外の車が来るようになりました。神奈川県や東京都からですが、それで市民の間で新型コロナが感染するのではないかという不安感が広まりました。若林洋平市長は7日の緊急事態宣言を受け、休業要請とその間の売上を補償することを決めました」


■全市民に一律1万円


 休業要請を行う店は、バーやスナック、キャバレー、ナイトクラブ等だ。

 御殿場には大きなアウトレットモールがあるが、首都圏からの客で感染が広がらないように4月10日から休館となっている。もっともここには、休業補償はないという。

「居酒屋や飲食店、ダイニングバーなども対象外となっています。対象となる店は、市内の商工会や飲食業組合の会員などから約200店舗と推計しています。これらの店を対象にしたのは、厚労省の言う3密にあたるというだけでなく、お客の隣に座って接客するということで、より感染率が高い店と判断したからです」(同)

 休業要請期間は、4月16日から4月30日までの15日間。御殿場市の商工振興課では、4月9日から15日まで(11日(土)、12日(日)は除く)休業補償の申請を受け付けた。申請するには、市税の滞納がないこと、休業実施後速やかに営業を再開すること、などの条件がつく。

 補償額は、年間の売上高を24で割った額。つまり半月分の売上で、上限の100万円を超えない限り全額補償されることになる。営業が1年未満の店舗の場合は、売上に営業月数に2をかけた数で割った額が補償金となる。

「9日現在で、申請は約100件ありました。みなさん、売上が補償されて助かりますと感謝していました。休業することで感染を防ぐことができるわけですし、補償もあれば安心されるようです」(同)

 そもそも、今回の休業補償の原資はどこから捻出したのか。

「企業への補助金と同じ扱いになります。予算は、財政調整基金から充てます。これは、緊急事態が起きた時のために積み立てている基金で、どの自治体にもあります。今回のような新型コロナ感染という緊急事態の時に取り崩すことになっています。休業補償は、5月の末までに給付する予定です」(同)

 一方、全市民に一律1万円を給付する自治体もある。山梨県の富士吉田市だ。

「富士吉田市では2月の上旬に『新型コロナウイルス感染症対策本部』を設置し、コロナウイルスに関する情報を収集してきました。4月14日時点で市民の感染者はいませんが、山梨県では徐々に感染者の数が増えています。そこで、市民の感染防止のためになにかできないかと、色々検討してきました。市民は感染防止のため、マスクや消毒液などを購入していますし、学校が休校でなにかとお金がかかる。支援金を出すべきではないかという意見が出ました。市の財政規模から考えて、1万円が妥当だろうということになりました。感染症の拡大や家計への影響など、市民の不安を少しでも払拭できればと思っています」

 と、富士吉田市企画課の担当者は語る。

「『新型コロナウイルス撲滅支援金』という名目で、4月1日現在で市の住民基本台帳に登録されている方に一律1万円を支給する予定です。5月の上旬に臨時議会を開催し、予算が通ったら速やかに手続きを開始して、5月中を目標に給付を行う予定です。市民の人口は約4万8000人ですから、約4億8000万円。それに、事務費も含めて計5億円を見込んでいます。予算は、財政調整基金から充てます」

 国や東京都に比べれば、よほど早い対応は評価されるべきだろう。

週刊新潮WEB取材班

2020年4月19日 掲載

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