「コロナ感染で男性不妊に」 衝撃の学術論文の真偽は

「コロナ感染で男性不妊に」 衝撃の学術論文の真偽は

新型コロナウイルスの電子顕微鏡写真(国立感染症研究所HPより)

「おたふく風邪で種なしになる」とはよく聞くが、新型コロナウイルスもかなり危険らしい―。中国のニュースサイト「環球網」が、そんな不穏な話題を掲載した。「新型コロナウイルスは男性生殖機能を損傷させるという初の臨床的証拠」と見出しで伝えている。

 記事の内容は、英文の論文サイト「medRxiv」からの引用。レポートは武漢大学中南病院の生殖医療センターによって書かれたもので、査読(専門家による審査)前の論文とはいえ、気になるところだ。

「感染した男性と健康な男性を比べた場合、感染者は男性なのに卵巣に多い黄体形成ホルモン(LH)のレベルが高くなっていた。また、このLHに対して男性ホルモンの一種テストステロンや、精子の発生を促す卵胞刺激ホルモンの比率が減少していました。つまり感染者は性ホルモンのバランスが崩れているわけで、これはウイルスが男性の性腺(精巣)機能にマイナスの影響を与えているからではないかというのです」(医療ジャーナリスト)

 だが、男性不妊の第一人者で獨協医科大学埼玉医療センター病院長の岡田弘氏はこう評価する。

「私が査読者だったら、この論文は落としますよ。このデータは治療のために投与された薬の影響が考慮されていない。だいたい感染後、いつ採取したデータなのかも不明。男性不妊に影響があるかどうかは睾丸を調べてみないとわからない。データとしては不十分です」

 では、新型コロナウイルス感染症に罹患しても、不妊の心配はないのか。

「潜在的には男性不妊の可能性はあります。インフルエンザでも同様ですが、40度以上の熱は精巣にダメージを与えますから。新型コロナウイルスと男性不妊の関係は、まだまだこれから考えていく問題でしょう」(同)

 不妊を心配する前にコロナに感染しないことが一番。

「週刊新潮」2020年4月23日号 掲載

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