【コロナ禍】ラブホ経営A子さんの告白 旅館業の免許なのに融資はNGなワケ

【コロナ禍】ラブホ経営A子さんの告白 旅館業の免許なのに融資はNGなワケ

旅館業の免許なのに融資はNG?(※写真はイメージ)

■「休憩」があるからと言うけれど


 新型コロナウイルスの感染拡大で資金繰りが厳しくなるばかりの中小企業。ある経営者は緊急融資を申し込んだところ、それを阻む“差別”と“誤解”があるようで……。

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「ウチは、旅館業の免許でラブホテルを4店舗経営しています。今回コロナの件で、日本政策金融公庫や商工中金に融資を申し込んだものの、風俗営業に近い業態は、規定で融資ができない可能性が高いと言われました」

 と話すのは、関西エリアで計100室ほどのラブホテルを経営する40代のA子さん。

 A子さんの言う「旅館業の免許でラブホテル」とはわかりにくいので少し説明しておくと……。ラブホには、以下の2つの様態がある。

(1)旅館業法の適用範囲内で営業する施設

(2)旅館業法に加えて、風営法に基づき都道府県公安委員会の許可を得て営業する施設

「風営法(の免許を)持ってるホテルの場合、18歳未満は立ち入り禁止で大人のグッズを置いてよかったり、フロントを通らなくても直接入れたり……ということになっています。一方でウチのような『レジャーホテル』ではフロントに人がいますし、子供も泊まれます」

 A子さんが申し込んだ公庫の融資には、対象業種として「旅館業」の名がある。

「公庫には決算書など書類を送りましたが、“ホームページ見たらラブホのように思われるので資料を返却したい”と言われました。“宿泊者名簿を取っていないのでは?”とツッコミもありましたが、ビジネスホテルの中には、フロントで人と接しないまま部屋に入れるところもあります。お客さんが前もってデータを送っているというのはあるかもしれませんが。また、そもそも、ビジネスホテルもデイユースをやっています。デリバリーヘルスの業者と提携して『裏口』を設けて女性を出入りさせているところもあるくらいです」

「“ウチは旅館業です”と公庫の担当の方に伝えると、GW明けに話だけは聞いてくれることになりました。“お断りする可能性が高い”だそうです」

 デイユースと言えば、今や高級ホテルでさえ“参入”するマーケットである。

〈業界の救世主 「コロナ不倫」カップルが目指す高級ホテル「デイユース」〉
https://www.dailyshincho.jp/article/2020/04251100/

 商工中金でも同様の対応だった。

「規定で、“ラブホに近い業者には貸せない”と。具体的には、『休憩』があるからラブホのように見えると言われました。ウチは空港から近い立地の部屋もあり、シャワーを浴びるために利用されたり、インバウンドのお客さまもいますし、マンガ喫茶みたいな側面もあるんです。担当者が現地を確認されたようで、ラブホそのものだから難しいとも言っていましたね(笑)」

 公庫と商工中金、それぞれの主務庁である金融庁や中小企業庁にも相談したが、「気持ちはわかるが何もできない」などと、色よい返事はもらえていない。

 下の記事で明かされた現実が他にもあるということのようだ。
〈「コロナ救済融資」はすべて断られた… 中小企業社長が怒りの告発〉
https://www.dailyshincho.jp/article/2020/04250559/


■極めて曖昧な基準


 A子さんは、合わせて3億円ほどの融資を検討していた。

「営業中止に追い込まれているところが多い中で、営業できているだけマシだというご指摘はあるかもしれません。ただ、ラブホと言われるビジネスでは、通常の銀行からは融資がおりず、リース会社などから高い金利で融資を受けています。そのため、セーフティネットも使えません」

 金利は3%を超えるというから、通常の公庫の金利とは格段の差がある。

「リスケ(当面の返済額を減らしてもらうこと)に応じると言われたところもあれば、“どんな感じですか?”って聞かれるだけで、お目こぼしはなさそうな会社も。弱みを見せたら、“売り上げ悪くなるならラブホ売却して返却してもらう”とか“融資引き上げたい”と言ってきかねませんから、悩ましいところです。その心配もあって、政府系の金融機関から借りた方がいいわけですが、それがままならない業種もあるんですよ」

「パートもシフトを減らすようにしてます。物件を購入・改装した時の借入金、固定資産税、業者への支払い、人件費があるので、これが続けば資金繰りが悪化します。従業員を100人近く解雇しなければならなくなります」

 A子さんの会社の顧問弁護士はこんな風に言っていたという。

〈最初から分かり易い定義で、この業態はダメというならまだしも、です。旅館業には融資するとしながら、旅館業の許可に基づく営業を行っているホテルに、「風俗系の営業」という極めて曖昧な独自の基準を持ち出して融資しないというのは不当です〉

 再び、A子さんの話。

「ラブホは反社ではなく、女子会も開かれる場所で、インバウンド需要もあります。それにウチは……繰り返しになりますが、保健所から旅館業の免許を持って営業しています。融資対象業種に『旅館業』としておきながら、融資を受け付けないとはどういうことでしょうか」

「先日、水商売の休業補償について、“職業差別はしない”と政府は見解を示しました。また、風営法(の免許を)持ってるパチンコ業者は公的融資の対象になるという報道がありました。政府の支援と言っておきながら、それを受けられない業種もあるということを政府にも伝えたいです」

週刊新潮WEB取材班

2020年4月29日 掲載

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