コロナ禍でも社会活動は再開できる 抗体検査で“免疫ライセンス”

コロナ禍でも社会活動は再開できる 抗体検査で“免疫ライセンス”

新型コロナウイルスの電子顕微鏡写真(国立感染症研究所HPより)

 各国で抗体検査が進んだ結果、新型コロナウイルスを恐れる前提に変化が生じている。

 たとえば、米ニューヨーク州では3千人に抗体検査を行ったところ、13・9%が陽性で、単純計算では州内で、すでに約270万人が感染を経験したことになる。ニューヨーク市にかぎれば21・2%で、マサチューセッツ州チェルシー市に至っては、200人に抗体検査を行うと、69人が陽性だったという。

 日本では慶應大学病院で、新型コロナと無関係の患者に、こちらはPCR検査を行うと、6%が陽性だったという。こうしたデータを受け、日本医科大特任教授の北村義浩氏が説く。

「日本にも、過去に感染して無症状か、ごく軽症で治ってしまった人が数多くいる可能性があり、抗体検査を行えば、人口の10〜15%に抗体が確認できるかもしれません。全国民の6〜7割が感染すれば集団免疫を獲得して流行は収束する、とされています。それは公表されている感染者数からはほど遠い数字でしたが、実は近い将来、達成できるのかもしれません」

 また、感染症に詳しい浜松医療センター院長補佐の矢野邦夫氏は、

「今後、日本でも抗体検査が進んで、かなりの人が感染していたことがわかれば、いまのような封じ込めは諦めるでしょう。封じ込めようとするから無理が生じるのであって、今後大事なのは、岡江久美子さんのように重症化する人を、優先的に助ける体制をつくることだと思うんです」

 こう提言し、抗体検査の効用について語る。

「この検査で陽性になった人は、おそらく免疫があるので、しばらく新型コロナウイルスに感染しない、あるいは感染しても鼻かぜですむと思います。だから通常通りに仕事をしたり、食事や買い物に行って消費もしたりして、経済を回してもらいたいです」

 すでに免疫ができている人から順に、これまで通りの社会生活を送れるライセンスを与えることも可能だ、というのである。免疫学が専門の順天堂大特任教授、奥村康氏によると、

「いまの抗体検査は、IgMとIgGという二つの抗体を測るようになっています。ウイルスに感染すると、まず1週間くらいで体内にIgMが作られ、10日くらいたつと徐々にIgGが出てきます。より中和能力が高いIgGさえ出てしまえば、まず安全で、感染源に近づいても大丈夫です」


■致死率はかなり低くなる


 さて、抗体検査が進んで、実際の感染者が公式発表より多いとわかれば、

「致死率はかなり低くなるのではないでしょうか」

 と矢野氏。仮に致死率がインフルエンザ並みに下がり、アビガンなどの治療薬を臨機応変に使えるようになれば、新型コロナをいまのように恐れる理由は、失われるはずである。

 このところ、感染者数も死者数も日本よりはるかに多いヨーロッパで、封鎖や自粛を解く動きが目立っている。オーストリアは4月14日から規制を段階的に緩和し、5月中旬からはホテルやレストランも再開する予定だ。スイスもそれに続き、5月11日に義務教育が再開。6月8日には美術館や博物館も開けられる。

 感染者数が劇的に減ったからではない。スイスでは約2万9千人で、死亡者は1610人(4月26日現在)。感染者は日々百数十名ずつ増えている。しかし、このままでは経済と、それが支える命がもたないと、指導者が判断したのだ。新型コロナは当初思われたほど怖くはない、という評価も影響しただろう。

 片や日本は、ある命を救うために、ほかの命の危機には目もくれない。そういう状況を、先の奥村氏は、

「交通事故をゼロにするために、自動車を止めてしまうという方策」

 と喩えた。そんな策は滑稽だと見抜く眼力が、いま求められている。

「週刊新潮」2020年5月7・14日号 掲載

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