“保釈しすぎ”の東京地裁 被告の海外逃亡も反省なし

“保釈しすぎ”の東京地裁 被告の海外逃亡も反省なし

安易に保釈しすぎな東京地裁

 保釈中の被告に逃げられる。またもそんな失態をやらかしながら東京地裁は反省の色なしだ。

 ことの発端は7年ほど前。

「自称フリーカメラマンの杉本和仁は2013年から翌年にかけ、機材会社などから借りた高級カメラなど5点、約185万円相当を量販店などに約90万円で売却。15年に横領の容疑で逮捕されました」(司法記者)

 起訴後の求刑は懲役2年6カ月。だが、15年8月の判決日、杉本は法廷に姿を現さなかった。弁護士も「昨日まで電話はつながったのですが……」と周章狼狽。彼はこの日、成田から台湾へと高飛びしたのだ。

 その直前に「海外渡航には裁判所の許可が必要」などの条件付きで保釈されていたのにである。弁護士が語る。

「確か250万円ほどだった保釈金は、本人の母親や知人が集めました。過去に実刑判決を受けており、通例より高額の設定でした」

 過去に実刑? なんと杉本は初犯ではなかった。07年に、勤めていた物流会社から額面計4300万円の小切手を着服したとして業務上横領の疑いで逮捕され、実刑判決を受けたという。

 よくもこんな男に裁判所は保釈を認めたものだが、この弁護士の見るところ、

「被告が罪を認めて争点がないような刑事事件については現在、概ね保釈が認められる傾向にあります」

 現在の保釈率は33%にものぼるのだ。かくしてまんまと逃げおおせた杉本は、

「本人の弁によれば『台湾で知人が亡くなり線香をあげたかった。その後、その知人の親族の仕事を手伝うためにマレーシアに渡ったら、ずるずると滞在が延びてしまった』と」(同)

 しかし、昨年旅券が失効して不法滞在となり、マレーシア当局に逮捕される。4年以上の逃亡生活に終止符を打ち、日本に強制送還されたのが今年3月のことだった。

 東京地裁は4月に審理を再開。検察は逃亡の事実を重くみて求刑を前回よりも厳しい懲役2年10カ月としたが、今月12日に言い渡された判決は懲役2年2カ月だった。司法記者いわく、

「保釈中の海外逃亡は判決では一切言及されず、“なかったこと”になっています」

 重大な判断ミスをした挙句、知らぬ存ぜぬで、何の反省もない東京地裁。その見解を質すと、

「個別の事件については裁判所としてはコメントできません」

 カルロス・ゴーン被告の例を挙げるまでもなく、保釈中の被告の逃亡事件が後を絶たず、制度見直しの議論も高まっている。行動を把握するため、被告にGPSを装着すべしとの声もあるが、

「軽微な事件で裁判を受け、保釈中の被告も多い。彼らにまでGPSをつけたら、膨大な数になります。適用範囲や管理方法など、難題ばかりです」(先の弁護士)

 まず野放図な保釈適用を裁判所は猛省すべきだ。

「週刊新潮」2020年5月28日号 掲載

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