全国初の「歩きスマホ禁止」条例 実効性や問題点は?

全国初の「歩きスマホ禁止」条例 実効性や問題点は?

「歩きスマホ」は事故のもと

 スマートフォンを操作しながら歩く、いわゆる「歩きスマホ」をしている人にぶつかりそうになった経験は誰にでもあるだろう。

 事故も増えており、東京消防庁によると、2018年までの5年間に都内で165人が緊急搬送されている。この統計は緊急搬送された人数だから、実際に起きている事故はこの何倍にも上ると思われる。

 社会問題化しているなか、全国で初めて公共の場での歩きスマホを条例で禁止せんとする自治体が現れた。神奈川県の大和市である。

「条例は6月中に市議会で審議して、7月1日からの施行を目指しています」

 と話すのは、市の道路安全対策課。

「大和市は神奈川県では川崎市に次ぐ人口密度2位。密集地におけるスマホトラブルが増えているため、去年の5月頃から大木哲市長が条例を考えていました」

 ただ、禁止条例は出しても、市では罰則規定は設けず、当面は啓発活動に力を入れていくという。

「例年行っている交通安全ポスターコンクールに『歩きスマホ防止部門』を設けます。他にも全戸配布の広報紙『やまとニュース』や自治会を通じて配布する『広報やまと』で告知。交通安全キャンペーンなどでも啓発していきます」

 だが、それだけでは実効性に乏しいように思える。街中で歩きスマホをしている若者に対して、何か直接の対策は行わないのか。

「大和市には、不正駐輪している自転車の撤去等を行う交通安全巡視員が10名、路上喫煙者を注意する路上喫煙防止指導員が4名いて、市内を巡回してもらっています。彼らに普段の業務に加えて、歩きスマホをしている人に対して注意喚起してもらいます」

 交通安全巡視員も路上喫煙防止指導員も、市と年間契約している職員だそうで、その多くは60代。下手に注意して若者に逆ギレされる懸念はないのだろうか。

「歩きスマホを見つけたら、まず危険な行為であることを注意して、チラシ等を渡してもらいます。そういう光景を他の市民が見るだけで、啓発になると考えます。ただ、市としてもトラブルは避けたい。ですから、巡視員の方々には一人では注意しないで、必ず2、3人で注意してもらうようにします。相手が言うことを聞かなくても、深追いはしないでくださいと伝えています」

 くれぐれも無理はしないようにお願いしたい。

「週刊新潮」2020年6月11日号 掲載

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