「河井案里」逮捕の裏側 「捜査担当検事の自死」「男遍歴」「ウグイス嬢との不倫」

河井案里氏の捜査担当検事が自死か 本格捜査の開始前の昨年12月に自殺、動機は不明

記事まとめ

  • 河井克行前法相と妻の案里議員が、6月18日公職選挙法違反容疑(買収)で逮捕された
  • 「河井案里氏の捜査を担当していた検事が自殺した」と広島の政界関係者は語る
  • 案里氏の事件を検察が手がけられるかどうかを見極める職務にたずさわっていたという

「河井案里」逮捕の裏側 「捜査担当検事の自死」「男遍歴」「ウグイス嬢との不倫」

「河井案里」逮捕の裏側 「捜査担当検事の自死」「男遍歴」「ウグイス嬢との不倫」

河井案里参院議員

 広島地検が河井案里参院議員(46)と夫の克行前法相(57)の内偵捜査に着手したのは昨年秋のこと。半年以上を費やした捜査は大詰めを迎えているが、広島地検では若き検事が人知れず非業の死を遂げていた。箝口令が敷かれる中、その一件を知った夫妻は――。

 国会閉会直後の6月18日、東京地検特捜部は、河井克行前法相と妻の案里議員を公職選挙法違反容疑(買収)で逮捕した。

 これに先立ち16日には、ウグイス嬢などに法定上限を超える報酬を支払ったとして公選法違反で起訴された、案里議員の公設第2秘書に懲役1年6カ月執行猶予5年の有罪判決が出た。検察は、被告が連座制の対象の「組織的選挙運動管理者」にあたるとしている。今後、有罪判決が確定し、検察側が起こす行政訴訟で連座制適用が認められれば、案里議員は当選無効となって失職する。

 昨秋に露見したこの事件は今年の1月から、広島地検が関係者への本格聴取や家宅捜索などを重ねてきた。その広島で今、秘かに次のような話が流れている。

〈河井案里の捜査を担当していた検事が自殺した〉

 この情報を、「事実です」と断言するのは、広島の政界関係者。

「亡くなったのは昨年12月10日。広島市内のマンションです。この検事は国立大卒で30歳前後と若く、2年ほど前に東京地検から異動してきたばかりでした。遺書は残されていなかったようで、動機は不明。地検は亡くなった事実自体を公表しておらず、はっきりとした原因は分かりません」

 案里議員の捜査との関係については、

「検事が亡くなったのは本格捜査の開始前です。とはいえ、事件の露見から捜査に着手するまでには告発状なども出されていたし、情報提供もあった。彼はそういった情報を精査し、案里事件を検察が手がけられるかどうかを見極める、下調べ的な位置づけの捜査にたずさわっていたのです」

 自殺の事実や原因を広島地検の検察広報官に聞くと、

「お尋ねの件に関しましては、当庁からは一切お答えいたしかねます」

 とガードが堅く、複数の検察幹部に尋ねても、

「当該検事を河井夫妻の捜査と徒(いたずら)に結びつけないでもらいたい」

 と、一様に口が重い。

 元東京地検特捜部副部長の若狭勝氏によれば、

「亡くなった原因が職務に関連することだったのであれば、法務省や検察庁には、説明する責任があるでしょう。私の知る限り、日本の現職検事の自殺は過去に例がありません。検事の仕事は想像以上にプレッシャーがかかり、本当につらい時があります。私自身も精神的に相当落ち込んだことがあって、霞が関の庁舎の地下1階から20階あたりまでを闇雲に階段で上り、どうにか落ち着きを取り戻したという経験があります」

 このような重圧のかかる毎日を送るなかで、自ら命を絶った若き検事。一体、何が引き金となったのか。

「自殺した原因はいまも分かりません……」

 検事の親族は声を震わせて切り出した。

「息子は職場近くの賃貸マンションで一人暮らしをしていました。その自宅で首を吊り……。亡くなった直後、検察の方から簡単な説明がありました。精神的なものか身体的なものかは分かりませんが、息子は亡くなる前日、体調が悪かったのだそうです。それで午後から翌10日の午前中まで休みを取った。10日の午後に大事な仕事が控えていたそうです。でも、時間になっても出て来ない。同僚の方の電話もつながらず、自宅を訪ねてもらったら……」

 既に事切れていたという。

「職場での勤務態勢や勤務時間を教えてもらいましたけれど、少なくとも徹夜続きの生活という印象は抱きませんでした。残業はあっても必要な範囲だと思います。ではパワハラがあったかといえば、そういう報告もありません。ひょっとしたら、説明の中で“パワハラ”といったワードが出てくるかと思って聞いてはいたんですが。けっきょく自殺の原因につながるような話はなく、なぜ亡くなったのかが分からないのです」

 遺族に伝えられたのは亡くなった際の状況と、簡単な職場の説明のみ。詳細は知らされていないのである。


■「暴露してやる」


 ただし、と遺族が続ける。

「息子が職場で注意を受けていたという話はありました。でもそれは、よくある仕事上の軽い失敗に対する叱責とのことで、具体的な説明はありません。職業柄、息子は仕事のことを私たちには話しませんでしたし。自殺の原因を知ったとしても、息子が帰ってくるわけではないですが、事実を知りたい。私たち家族はいまも、何をすべきか判断がつかない状態で、息子の死をちゃんと受け入れることができないままです」

 このような遺族の心境には、露ほども思いが至らないのだろう。先の政界関係者が明かすには、

「買収の意図はなかったと否認している案里が、どこでこの話を聞きつけたのか、検察当局や周囲に対し、“これは不祥事。自分たちに何かあればこの話を暴露してやる”と息巻いているんです」

 何かあれば、とは夫妻の逮捕。この話、とは検事の自殺の一件を指す。

「彼女が自殺の情報をどのような筋で得たかは定かではありません。法相だった克行のルートかもしれませんね。いずれにしても、そのような“恫喝”めいたことも口にするのですから、自分を追い詰め、男遍歴まで把握されてしまった検察には、彼女はよほど恨みを抱いているのでしょう」

 オトコ関係については、本誌(「週刊新潮」)が5月7・14日号で報じた。今年3月、ホテルに“潜伏”していた河井夫妻を広島地検が急襲して携帯電話を押収。そこから、いわゆるセックスフレンドの存在が炙り出されたのだ。本誌の取材に、検察幹部はこう答えている。

「押収した案里の携帯を調べたところ、普段、彼女が何をしているか分かっちゃったんだ。メールのやりとりから、彼女にフリーセックスの相手がいることが判明した。それも3人かそれ以上ですよ」

 この「セフレ」を絞り込むと、“広島県政のドン”とも呼ばれた県議会の議長経験者もいた。議長経験者は肉体関係を否定したものの、地元の捜査関係者はこう証言する。

「酒が入ると、案里のことを“性行為が上手”だとか、“ワシが女にしてやった”と周囲に平気で言っていた」

 これらの本誌記事に目を通したさる広島県議は、「さもありなんですよね」と言いつつ、

「彼女は県議時代、ぴたっとしたジャケットに、身体のラインが出るようなワンピースやタイトスカートで議会に来ていました。裏が赤いハイヒールを履き、スマホカバーはド派手なピンク。スワロフスキーで、ハローキティの装飾でした。立ち居振る舞いも、男性へのボディータッチがすごいんですよ。“おはようございます”って言いながら、もう腕のあたりを触っているといった感じでね。年長者にはしとやかに接し、ぐっと近づいて目を見ながら話す。“爺殺し”のコツが沁みついているんです」

 その彼女は昨年の参院選で、自民党本部から1億5千万円という破格の選挙資金を得た。先の県議によれば、

「選挙中、彼女は支援者などに、“党が私を応援するのは官邸の勅命ですから”なんて言っていましたね」


■ウグイス嬢と不倫


 他の自民党候補とはケタ違いの軍資金を用立ててもらい、約2千万円のカネをバラ撒いたのが夫の克行前法相である。県議曰く、

「セフレがバレた妻も妻なら、夫も夫なんです。10年ほど前、彼が出た衆院選の期間中のこと。選挙事務所近くのホテルの一室を休憩用に借りていて、ウグイス嬢をそこに連れ込んだとのことです。選挙事務所を手伝っていた克行氏の父親がそれを知って激怒。父子で殴り合い寸前の喧嘩となったそうです。メディア関係者の仲裁で収まったといいます」

 夫妻への捜査の発端はウグイス嬢への違法報酬。そのウグイス嬢に手をつけていたとは……。

「まだあります。彼はテレビ局の女性記者と不倫関係にあったらしく、彼女を口説く際の文句が、“妻の男関係には参っている”“妻とはもはや肉体関係はない”。ところが、ウグイス嬢をホテルではなく車に連れ込んでいたことがその女性記者にバレて、不倫関係は終わったとか……」

 当局にすれば、捜査の過程で判明した“実態は仮面夫婦”という副産物。それでもオシドリ夫婦を装い、参院選では二人で手分けして、地元の県議など100人近くに総額2500万円を超えるカネをハデに配り歩いた。それに買収の疑いがかけられているわけだ。

 一連の捜査はここまで、検察トップの稲田伸夫検事総長の肝煎りで進められた。検事総長人事をめぐり安倍官邸に早期の退任を迫られた軋轢から、稲田総長が官邸と緊密な関係にあった河井夫妻の捜査に執念を燃やしてきた形だが、法務省幹部が言うには、

「検事総長の思いが実り、国会議員2人を立件できるところまでこぎ着けたのはいい。でも何かスッキリしないのです。検察上層部が広島地検の自殺した検事に関する調査をなおざりにしているフシがあります。実は、検事は上司からパワハラと呼べるほどの激しい叱責を受けていたようなのです。亡くなった12月10日の午後は、法廷である事件の論告求刑を読み上げる予定でした。その論告作成にあたって、彼は上司にかなり絞られた。この点について、現場から不満の声がこちらに届いています」

 遺族の予感は的中するのか。案里はそれを知っていたのか。

 最後に、自殺した検事の遺族が涙をたたえて呟いた。

「息子は一生懸命に生きたし、楽しいことも一杯あったでしょう。残されていたメモには意味のあることは書かれていません。パワハラを告発するような書き置きもなく、全部抱えて逝ってしまいました。私がこうしてお話しすることが、河井夫妻への捜査のマイナスになってほしくはありません。万一、問題になるようなパワハラがあったのであれば、それはちゃんと河井夫妻の捜査とは別の形で追及してほしいと思います」

「週刊新潮」2020年6月25日号 掲載

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