ツイッターで「ポテサラ」論争がぼっ発 簡単に作れるものか、手間がかかるのか――

「ポテトサラダくらい作ったらどうだ」ツイートに反響 Twitterでポテサラ論争が勃発

記事まとめ

  • 男性が女性に「母親ならポテトサラダくらい作ったらどうだ」と言ったという呟きに反響
  • 男性への非難と共に「ポテトサラダは簡単な料理か、難しい料理か」という議論も起きた
  • シャープも論争に“参戦”し、ヘルシオ ホットクックで作るポテサラのレシピを紹介

ツイッターで「ポテサラ」論争がぼっ発 簡単に作れるものか、手間がかかるのか――

ツイッターで「ポテサラ」論争がぼっ発 簡単に作れるものか、手間がかかるのか――

ポテサラは奥深い(Wikimedia Commonsより)

■大手電気メーカーも参戦


 7月8日、ツイッターでポテトサラダを巡り、論争がぼっ発したことをご存知だろうか。きっかけとなったツイートは、以下のようなものだった。

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《「母親ならポテトサラダくらい作ったらどうだ」の声に驚いて振り向くと、惣菜コーナーで高齢の男性と、幼児連れの女性。男性はサッサと立ち去ったけど、女性は惣菜パックを手にして俯いたまま。私は咄嗟に娘を連れて、女性の目の前でポテトサラダ買った。2パックも買った。大丈夫ですよと念じながら》(註:改行を省略した。以下同)

 反響は大きかったようだ。ツイッターの表示によると、7月11日現在、リツイートや引用ツイートが13万1000件を超え、「いいね」の数は38万3000件に達した。

 更にツイッターのホットワードとして「ポテサラ X ポテトサラダくらい」が選ばれたほか、アプリの「YAHOO!リアルタイム検索」でも「ポテサラ」が長時間、上位にランクインしていた。

 この《高齢の男性》が失礼なのは言うまでもない。ツイッターでも《久しぶりに腸煮え繰り返るtweet見たわ》など、怒りの声が多数、投稿された。

 だが、タイムラインを見てみると、ツイートの内容は男性に対する非難の声だけではない。「果たしてポテトサラダは簡単な料理なのか、難しい料理なのか」という議論も起きたようなのだ。

 いくつかのツイートをご紹介しよう。最初は“簡単派”からだ。

《ポテトサラダのことで嫌味を言った人の母親のつくるポテサラは、私のつくるポテサラと同じで芋とハムだけの超簡単ポテサラなのではなかろうか》

《ポテサラは基本的に簡単。茹でて潰し、ハムやスライサーで切ったキュウリなどを投入して塩胡椒にマヨをあえればいいわけで。自分は鍋で大量に作り、残りはコロッケ←(こちらの方が面倒)に変換》

《夫婦で話し合った結果、ポテトサラダは手間のかかる料理じゃない、という結論になりました》

 次は“面倒派”だ。

《ポテトサラダ作るのすごい手間かかるんですよ。特に、ゆでたジャガイモの皮をむいてマッシュする作業は時間がかかったなぁ》

《じゃがいもは生だと皮剥くの大変だし、ラップでレンチン→剥くと熱いし、芽は発ガン性物質だけどどこまで綺麗に取れば良いか気ぃ使うし、マッシュも結構面倒》

《ポテサラ時々自分で作るけど結構手間かかります。ジャガイモ皮むいてレンチンして、キュウリ、人参、タマネギ切って、茹で卵用意して切って、マヨ投入、コショウ少々投下して、混ぜ混ぜして……とかやると、まあまあ時間がかかる。でもスーパーなどのより遥かに美味いから苦にはならない》

 ちなみに、この論争に大手電機メーカーのシャープも“参戦”した。ツイートをご紹介しよう。

《それにしてもポテサラがかんたんでサッと出せる料理というのは誤解では。作ってみればわかる。だいたい、揚げ物しかり、焼き物しかり、かんたんでサッと出せない料理だからこそ、お惣菜として食卓をカバーするニーズがあるのだと思います》

 そして、ちゃっかりと自社の調理家電「ヘルシオ ホットクック」で作るポテサラのレシピを紹介している。


■ポテサラは不思議な料理


 北海道はジャガイモの生産・収穫量が日本一であることは、よく知られている。そこで北海道のJAグループであるホクレンの公式サイトを見てみると、レシピが紹介されていた。

 調理時間20分、カロリー約228キロカロリーというポテサラの作り方を転載させていただこう。

【1】じゃがいもは4つに切って電子レンジで6〜7分加熱し、粗くつぶす。

【2】玉ねぎは薄切り、きゅうりは小口切りにして塩小さじ1/2をふってしんなりさせ、水洗いして絞る。

【3】1、2とツナをマヨネーズであえて器に盛り、くし形切りのゆで卵を添える。

 ハムではなくツナが登場し、驚いた方もおられるのではないだろうか。だが、この“多様性”こそが、ポテサラの調理を面倒と感じさせる原因だという。

 著書『コの字酒場はワンダーランド――呑めば極楽 語れば天国』(六耀社)や、コミック『今夜はコの字で』(作画・土山しげる:集英社インターナショナル)の原作で知られる加藤ジャンプ氏は、「ポテサラ探求家」の肩書もある。

 加藤氏にツイッターでの論争について訊くと、「ポテトサラダは間違いなく、作るのが面倒な料理です」と断言する。

「そもそもポテトサラダは、不思議な料理です。調べた限りはドイツ発祥と言われていますが、本当の“原産地”は不明です。ヨーロッパでは温かいまま食べることも多く、冷やす代表が日本とアメリカです。欧米のレシピはジャガイモだけと言っても過言ではなく、他の野菜はセロリなどがごく少量使われるだけです。一方の日本はキュウリやニンジンの量も多く、味つけはマヨネーズと米酢など日本の酢が使われます。どう考えても和洋折衷で、魚肉ソーセージを入れたり、醤油をかけたりする人もいます。こうした“隠し味”やら“見えない一手間”が無数にあり、その選択肢の多さが料理人泣かせなのです」

 例えば、ポテトサラダに「リンゴを入れるか、入れないか」という問題で意見は真っ二つに分かれる。「茹で卵を入れる派と入れない派」の対立も根深い。

 そもそもジャガイモの種類が多い「メークインじゃなきゃダメだ」、「いや、きたあかりが最高」などと一家言ある人は少なくない。おまけにジャガイモの皮を剥くのか、皮つきのまま茹でるかという“流派”の違いもある。

 水から茹でる家庭もあれば、沸騰したお湯にジャガイモを入れる家庭もあるだろう。レンジが最もほこほこするという人もいる。酢も米酢ではなくワインビネガー、「いやいや、わが家はレモンです」というこだわりを持つ人も珍しくない。

「一般の家庭でも、これだけのバリエーションがあるのです。プロの料理人が作るポテトサラダとなると、実に多種多彩。『こんなポテサラがあったのか』と驚くことも珍しくありません。実際、ポテサラで居酒屋を選ぶという人も相当な数にのぼります」(同・加藤氏)


■最高に手間のかかるポテサラ


 そこで、これまでに加藤氏が居酒屋で感動した「珍しいポテサラ」を3パターン、紹介してもらうことにした。

「1つ目はジャガイモに少しサツマイモを入れてポテサラにしているお店がありました。いい意味で甘くなって、お酒に合うんですね。2つ目は燻製を活用したお店です。沢庵の燻製であるいぶりがっこを入れるレシピは知られてきましたが、私が行ったお店はポテサラそのものをスモークしていました。燻製の香りが豊かで、これも美味しかったですね。そして3つ目は、そのままのマッシュポテトや、切っただけのハム、キュウリが皿に入って出てきたお店です。つまり自由に味つけして、自分で混ぜて食べろ、というわけです。やってみると何より楽しいんですね。このアイディアには感心しました」

 では最後に、思いっきり簡単なレシピと、思いっきり大変なレシピという、両極端なポテトサラダの作り方を紹介してもらおう。

「簡単なのは、皮を剥き、ラップでくるんでレンジでチンします。ラップのまま皿に入れてフォークで潰すと、マッシュポテトが楽にできます。そしてスーパーで買ってきたピクルスの瓶詰め、そのキュウリを中に入れます。キュウリを刻んで塩で揉む手間が省けますし、酢を入れる必要もなくなります。ピクルスの漬け液は美味しいですし、瓶にはオシャレなハーブが入っています。マヨネーズで和えたら皿に盛り付け、そのハーブを飾りに使えば、見た目も綺麗になります」

 次は休日の午後をまるまる潰すことになるレシピだ。

「まずは最低でも2種類のジャガイモを買います。ホクホクとねっとりなど、異なる食感のイモをブレンドさせると味わいが広がります。酢は高級なワインビネガーでも、塩もヨーロッパ産の岩塩でもなんでもいいですが、せっかく手間をかけるのですから、マヨネーズは自分で作りましょう。そして、スモークサーモンの付け合わせに出てくるケッパーはピクルスの一種ですから、これを中に入れます。ハーブはディルが合うと思います」

 更にフライドオニオンを入れると、香りが豊かになり、歯ごたえも面白くなるという。もちろん出来合いを買ってきてもいいが、どうせ凝るならこれも自作したほうがいい。

「キュウリは普通に切って塩で揉みますが、ニンジンは入れないほうがいいかもしれません。というのは、豪華な感じを出すために、マヨネーズで真っ白になったポテサラに、パウダーのパプリカを振りかけて彩りにしたいんです。パプリカもニンジンも赤色で重なってしまいますから、ここはニンジンを抜いちゃいましょう」

 もちろん、ニンジンが大好きという人は入れて構わない。日曜の夕方に完成すれば、アルコールの飲める人なら、至福の時間が待っているはずだ。

 それにしても「ポテトサラダくらい作ったらどうだ」と言った高齢の男性は、ポテサラの奥深さを知らないのではないだろうか。

週刊新潮WEB取材班

2020年7月13日 掲載

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